今の小学生のお小遣いって、平均いくらぐらいなんですかね? 私は割といい年まで小遣い制ではなかったので、自分のことを思い返してというわけにもいかないのですが、高学年なら1500円ぐらいは貰ってるのかな? いや、しかし娯楽の多い今の世の中だ。1000円~1500円程度で1ヵ月過ごすなんて出来るのだろうか。私なんかはコミックボンボンさえ買えれば、後は図書館で済ませるような生活を送っていたからともかく……でも、今は不景気だからそんなに多くはないのかな。子供によっては携帯代だって掛かるんだろうし、となると1200円ぐらいが妥当か。大人である私からすれば少ないけど、子供にとっては大金になるのかな?

私は今も昔もケチな人間だから、買い食いとか飲食に対して金を使うことをあまりしません。食事は基本的に自炊だし、職場にも弁当持参で食費を出来る限り抑えてます。だから、子供のころも駄菓子屋に行ってとか、今の子供なら基本はコンビニですか? そういう場所で飲んだり食べたり、ジュース買ったり、お菓子を買ったりという経験がほとんどありません。ファーストフードにしたところで、地元には寂れたモスバーガーが一店舗あったぐらいで特に興味もわきませんでしたし、マクドナルドが駅の向こうに出来たのもそこまで昔の話ではありません。横浜の僻地ですからね。
モスも潰れて、マックも一年の内ごくたまに利用する程度の私は飲食に対してどケチなわけですけど、それでも子供のころは金が有り余っているという印象はなかった。なにに使っていたのか、エロゲか、同人誌か、大方そんな気もするけど、そもそも小遣いというものをなにに利用するかが実体験としてあまり見えてこない。
今はもう、大抵の小学生は携帯を持っている時代みたいですし、それを踏まえて考えると世代の差、時代の違い、そういうものを認識せざるをえません。感覚が違うんですよ。自分の世代とは。かつて自分が子供の頃、小学生だった頃の常識と、今の世の中を生きる現役小学生の常識では違いがあり過ぎる。時代や文化は常に新しいものへと流れて、切り替わっていくわけだから、いつまでも古い感覚が通用するかと思ったら大間違いなわけですよ。例えば、私が小学生のころは三学期制といって一年を三つの学期に分けて授業を行う方式がとられていましたが、いつの間にか横浜市すべての小学校で二学期制が採用されています。つまり、その学校に通う子供たちは三学期制がなんたるかなんてまるで知らないわけで、ここに意識と認識、感覚の差が生じるわけです。

なんでこんな話を書いているかと言うと、実は前々から若い物書きの間で議論が続いている一種の悩みみたいなものなんですよ。少し前までのブームを引きずっているせいか、未だにライトノベル作家を目指す人間という奴は多いもんで、彼らにしろ現役のライトノベル作家にしろ、現代社会なり世界が舞台の話を書く人間、特に多いであろう学生や学校をメインにした作品を作る人間にとって、上記の問題は決して看過出来るものじゃありません。私の師匠なんかもよく言ってますが、ライトノベル作家なんてのは長続きしないんですよ。早くにデビューすればその分燃え尽きるのも早いし、かといって遅くデビューしても、何年、何十年も続けられるかと言われるとそんなのは無理です。神坂一みたいな人はともかく、一般的に四十代、五十代にもなって中高生が主役の学園物を書き続けることができると思いますか? どんなに情報収集したって、勉強を試みたって、感覚の差は開くばかりですよ。
だからこう、現在のライトノベルにおける学園モノ一辺倒みたいな流れは作家潰しにもほどがあると思うんですがねぇ。おっさんに若い子の気持ちなんてわからないんだよ。私はまだまだ若いけど。
ライトノベルが中高生を対象としている以上、舞台が彼らの身近なものになるのはある意味では仕方ないことで、ありきたりと言われようが重要なことではあるんですけど、それを持続させることの難しさ、保つことへの限界のようなものはやはりあって、ライトノベル作家も一生ライトノベル作家やっているわけにもいかないというわけです。ここで方向転換できれば生き抜くことも可能ですが、大抵はそれが出来ずに沈んでいってしまう。
まあ、上にも少し書いたけど今は新人賞が多くなったせいか若くして賞を取ってデビューなんてのも目立ちますけど、そういう人に限って書きたいものが定まってない、もしくは書きたいものが限られているからすぐにダメになってしまうんですが。そこがライトノベル作家の難しいところというか、ある程度書き続ける、良いもの書くには経験が必要で、二十代も前半のような若者にはそれが欠けている。かといって二十代後半、三十代前半になってくると段々とではあるけどライトノベルというものが書けなくなってくる。
だから、踏み台として考えるのが一番いいんですよ。ライトノベルで一生食っていこうなんてのは90年代の発想だから、適当なところで切り上げて普通のエンタメ、SF、ミステリーにいくのが一番なんです。桜庭なんてその典型じゃないですか。あの人がラノベにあっさり見切りをつけたのをファミ通文庫経由で聴いたときはさすがと思いましたし。

なんか最後の辺りはずいぶん話が脱線してるけど、今度小学生が主人公の話を書こうとしてまして。上ではライトノベルを例題にしたけど、実はこれが児童書だった場合はまた状況が変わってきます。児童書を書くのは私の夢の一つだけど、残念ながらこれから書くのはそうじゃない。勝手なイメージだけど、児童書に関しては人間的な深みがとても重要だと思っているので。さて、とりあえず横浜の街に繰り出すか。

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