いよいよ春日野穹シナリオについて書くときが来ました。発売日からやりこみまくって早数周。まだ全然足りません。この程度の深みでは春日野兄妹を、ハルと穹のすべてを理解するにはほど遠い。いっそ、一週間ぐらい休みを貰ってヨスガノソラとハルカナソラを延々とプレイし続けたいぐらいです。むしろ一ヵ月ぐらい休みを取って奧木染に行ってきたい。
蒼穹の果てに
ヨスガノソラにおける穹ルートの続編というシナリオ。長さも、質も、他のショートシナリオとは比較にならないほどのクオリティと完成度を誇っています。今回は昨日の委員長シナリオとは趣向を変えて、一つ一つのイベントやパートを書きだしていこうと思います。その方が良いというか、じっくり書けますしね。長短はあると思いますが、全体的な流れが伝わるんじゃないかと思う。それでは、早速書いていきますか。
~下山、仲間たちとの再会~
湖畔で一夜明かしたハルと穹は、明け方になって下山します。ハルが穹をおんぶしながら、とりあえずは瑛のいる神社まで。早朝ですし、瑛は寝てしまっているだろうと帰ってきた旨を報告すべきか悩むハルですが、なんと瑛が笑顔で現れて二人を出迎えます。自分でも言ってましたけど、瑛は二人が必ず帰ってくること、夜の内に下山は無理だから朝になるだろうことを、ちゃんと判っていたんでしょうね。瑛はなんでも判っているんです。ハルと穹の関係や、二人になにがあったのか。特に説明されてなくとも、瑛には理解することが出来る。彼女は人の顔色というか、他者の反応を窺って生きてきた少女だと思うんですよ。相手がなにを考え、なにを望み、自分はどうすればいいのか。奥木染で彼女が生きて行くにはそういう術を身につけるしかなくて、それがあの達観した性格と、鋭い洞察力や読心術になっているんじゃないかな。笑顔で和らげてはいるけど、瑛は物事の核心に辿り着くのが早いと思う。
神社には瑛の他にも亮平や渚さんといった友人が集まっていて、どうやら交代で二人が下山してくるのを待っていたらしい。けれど、みんな今回の件は壮大な姉弟喧嘩であると捉えていて、事情を知っている奈緒や委員長ほど深刻に考えてはいない。ハルは当然、説明しようとするんだけど、奈緒がその場は解散させてしまいます。今は止めておいた方が良い、確かにその通りですね。良かったねムードがぶち壊れますし。
学校を休むことにして、ハルと穹は自宅へと帰ります。もう帰ってこられないかと思った我が家、とりあえず泥だらけの身体ですから、風呂にはいることにしたんですけど……あると思っていたお風呂プレイがなかった。そりゃね、帰ってきて早々そういうことをするのも、それはそれでどうかと思うよ? でも、期待はしていたわけで! あらすじに書いてあった時点で、絶対にあると信じていたのに!
穹がお風呂に入っている間にご飯の仕度を仕様としたハルですが、力尽きて途中で寝てしまいました。無理もない、一晩中穹を探し回り、尚かつおぶって下山したわけですからね。心労が溜まっていたのでしょう。テーブルの上に突っ伏して、奈緒が途中様子を見に来たのにも気付かず夜近くまで寝てしまいます。穹もハルを起こすような真似はせず、それどころかハルのために夜ご飯を用意するというかいがいしさを発揮。おにぎりでしたけど、好きな人が作った物なら愛情スパイスで普通より美味しくなるから問題なし。
夜中になり、穹は就寝前のハルの部屋を訊ね、ふすま越しに一緒に寝て良いかと訊ねます。かつてハルは、そのふすま越しに穹を拒絶した。けれど、今のハルには穹に向けて閉ざす扉なんてなかった。了承するハルと、嬉しそうに準備する穹。微笑ましいとはまた違った、安心できる光景です。
ハルは夜まで寝ていたために目がさえてしまい、なかなか寝付けませんが、穹が隣にいることと、自分がなにを失うところだったのかを再認識します。明日からは学校に通い、理解して貰えるかはわからないけど、友人たちにすべてを話そう、僕らのこれからは、本当に“これから”なんだと穹を諭しながら、眠りにつこうとします。けれど、穹はハルが寝るまで見ているといい、自分の中にある不安を打ち明けます。
「……居なくなったりしない?」
「これが夢だって事はない? 起きたら私は一人湖畔で泣いてたりしない?」
後者は個人的に印象深い台詞で、穹の心境を良く物語っていると思います。
夜は人を不安な気持ちにさせるといいますけど、無事に夜は明け、朝となりました。穹の方が早く起きて、制服に着替え、身支度を調え、朝食まで用意してくれています。焼き加減を調べたり、味見をしたパンは美味しく、何枚かは失敗しましたけど、穹がしてくれることが嬉しいハルは苦笑しながらも受け入れます。失敗したのはホットサンドとして弁当へ。
二人仲良く、手を繋いで学校に行きます。多少は人目を気にしますが、意外にも学生に会うことなく、ハル自身、罪悪感のようなものは感じていません。吹っ切れたというか、本人も言っているとおり、穹への気持ちがハッキリしたからでしょう。もうハルとは手を繋げないと思っていた穹は喜び、胸の内を吐露します。誰も居ないときまで遠慮してたらもったいないとハルはいい、二人はギリギリまでそれこそ校門をくぐるまで手を繋いで登校しました。
校内に入って、職員室の前で委員長と再会。昨日の朝に会っているとはいえ、ハルの感覚では再会という言葉が相応しいでしょう。
~告白と理解、仲間たちの想い~
昼休み、ハルは友人たちに囲まれながらも、自分と穹の間になにがあったのかを打ち明けることにしました。すべてを知っている瑛は、ハルがなにか言う前から「おめでとう」などと言っては祝福します。既に事情を知っている委員長と奈緒はともかく、反応はやはり人それぞれ。亮平はチャラけているようで芯の通った男だから、問題の深刻さに気付きますが、渚さんは作中随一の常識人であるため、すぐには理解することが出来ません。近親愛について無理解ではないにせよ、近親相姦ともなれば話は別です。常識人であればこそ、ハルが打ち明けている最中に感情が高ぶった委員長が逃げ出したように、受け入れることが困難なのも判ります。それが普通なんですよ。
奈緒はなにせ春日野兄妹に対して負い目があるし、性的な関係についてとやかく言える立場じゃありません。瑛の真意は不明瞭ですけど、彼女は倫理的や道義的な問題よりも優先すべき事があると思っていたのかも知れません。
「誰にだって大切な人を想う気持ちがあるよ。ハル君の想いは一番穹ちゃんに向いてたってことだよね。ハル君は、穹ちゃんを捜しているときに、それに気付くことが出来た」
「その気持ちは二人だけのものだよ。ハル君が気にしている周りの目っていうものと、別の問題」
このような言葉で二人の関係を受け入れる瑛は、いつもと変わらぬ笑みを浮かべていて、亮平もそれとなく悟ったようです。奈緒は逃げ出してしまった委員長を追いかけて、亮平はハルを誘ってその場を少し離れます。
「俺はこれからもお前と親友でいたいと思っている。お前が間違ったことや、つまんねーことをしたら、ぶん殴るぐらいのことはするつもりだ」
ハルと穹がなにをしたのか、大体判ったという亮平は、言葉を選びながらも語りかけます。逃げ出さず、自分たちの元に戻ってきたハルを否定せず、見捨てることもないと言い、自分の過去を振り返る。形はまるで違えども、ハルは亮平に出来なかったことやったわけですから。この辺で語られる亮平の過去については、ヨスガノソラの初佳ルートが詳しく描かれています。亮平って意外に裏があるっていうか、よっぽどのことがないと留年なんてしないわけですし、そこには深い事情があるんですよ。いや、ほんと良い奴ですよね。なんだかんだいっても、やっぱり年上なんですよ。ハルも感じたことですけど。
一方で、渚さんは瑛と二人きりになったとき、ハルと穹の関係について問いただします。すぐには思い至らなくても、委員長の反応などから察し始めてきたんでしょう。大切な友達であるが故に、いつかは理解したいと考える渚さんですが、ハルに対して常に一定の距離を保ってきただけに、思いは複雑です。瑛ほど単純になれればと言いつつも、当の瑛はこれでも色々考えていると苦笑します。渚さんは笑って流しますけど、実際として瑛は相当考え込んでると思うんですよね。渚さんを諭したときもそうですが、ハルと穹、二人の友人のために自分がなにをするべきで、なにが出来るのかをずっと考えてるんだと思う。
渚さんは自分と瑛の関係、人に知られてはいけないけど、いつかは理解して貰いたい事情を抱えているだけに、理解は出来なくともある種の共感をハルに覚え、その強さを見習いたいと思いますが、二人に対する距離の取り方に悩むこととなります。それが当然というか、普通なんですよ。渚さんは常識人で、当たり前の世界の住人ですから。
~委員長の想いと、初恋の決着~
放課後となり、帰り支度をしているハルを委員長が呼び止めます。倉永梢としてではなく、クラス委員長として先生から頼まれた言伝、職員室にて提出して欲しいプリントがあるという旨を伝えます。断るわけにも行かず、ハルは買い物を穹と瑛に任せて職員室へ。穹の分まで書いていたため時間を取られ、1時間ほど拘束されました。
解放され、鞄を取りに教室まで戻ると、そこでは委員長が一人黄昏れていました。成り行きで一緒に帰る流れとなり、ハルは委員長と共に帰宅の途に着きます。
帰り道、改めて謝罪するべきか考えるハルに、逆に委員長の方が謝ります。すみません、ごめんなさいと。すべての原因は自分にあるのではないかと思い悩み、そんな自分が許せなくて、責任を感じてしまう。ハルのことを嫌いになりたくないのに、穹との関係を認めることが怖くて出来なかった。認めてしまえば、自分の中にあるハルに対する気持ちが、想いが、永遠に届かないと判ってしまうから。
委員長の謝罪と、吐露されるハルへの想い。単なる好意を超えた恋愛感情の発露に、ハルは自分が委員長を深く傷つけていたことを再認識します。けれど、ハルはそんな委員長の強く純粋な好意に答えることが出来ません。
何故ならハルは、穹を選んだから。
初恋に、決着が付いた瞬間でした。昼休み、一度は事実から逃げ出した委員長ですが、彼女の初恋は失恋に変わり、苦みの効いた想い出となりました。受け入れて貰うか、拒絶されるか、その二択しか提示できないハルは、委員長を慰めることすら出来ません。謝ることすら、偽善でしかない現実。そもそも、謝るような問題でもないのだから。
ハルに出来たのは、物事をハッキリさせること、委員長の想いに対し明確な答えを出すことだけでした。委員長の、倉永さんの想いには応えられないと。例え彼女に嫌われようと、軽蔑されようと、それでも自分は穹を選んだ。だから、自分や穹のために自らを傷つけないで欲しい。
ずっと好きだった、けれど、例え時計の針が何度戻ったところで穹には敵わない。委員長は、倉永梢という少女はそれを悟ったのです。
「私の気持ち……聞いてくれてありがとう……」
明日からは、いつもの私に戻ります。委員長はそう心に決めて、ハルと別れます。涙ぐんだ声と表情だったけど、そこには確かな強さがあって、ハルにはそれが羨ましかった。ハルは買い物を終えた穹にそっけない返事を出し、穹はハルの心境を感じ取ったかのように、大丈夫? と返信してきます。驚き、しかし、ハルは更なる返事を出すことが、出来なかった。
帰宅した我が家では穹と、穹の相手をしてくれていた瑛がいました。このとき瑛が穹とどんな話をしたか、少しだけ気になりましたけど、ハルは楽しくお喋りをしていたんだろうと深くは考えませんでした。確かに、瑛が核心的な話題を好き好んでするとは思えず、かといって穹が望めばある程度は話したのかも知れない。
ハルは良い時間であるし、瑛を夕食へと誘いますが、やひろのところで食事を作らなければいけない瑛はこれを笑って謝絶します。避けた、というわけではないでしょうが、あるいは委員長となにかあったことを見抜き、今はまだ穹と二人きりにした方が良いと感じたのかも知れません。穹がハルを心配していたことを、それとなくハル本人に伝えていましたから。瑛は、否定者ではなく肯定者で、ハルと穹のことを無条件で受け入れ、認めてくれます。それはかつて、否定されるだけの存在だった自分を、受け入れてくれた人がいたからで、瑛にも思うところがあるのでしょう。
瑛なりの気を利かせ方とハルは言うけど、それが出来るのもまた瑛だけで、彼女の感性や感覚、感情のような物が見え隠れしています。前からずっとお互いのことが好きだった、ハルと穹の関係を瑛はそのように言いますが、思い返してみれば彼女は幼少期の二人に会ったことがあるんですよね。その頃から感じていたのか、それとも再会後にそう考え始めたのか……瑛からすれば、自分は人の気持ちに少しだけ敏感なだけだ、とでも言いそうですが。
新しいメニューに挑戦し、失敗つつも夕食を終えたハル。風呂上がりの彼の元へ、同じく風呂上がりの穹が昨晩と同じように訪れます。
一緒に寝る二人、電気を消しても羊を数えても、羊が瑛の家の猫だろうと、一向に眠気がやってこないハル。穹もそんなハルが気になり、何故ハルが悲しそうな顔をしているのか、どうして作り笑いをしてごまかそうとしているのかを、問いつめてしまう。これじゃあ一緒にいる意味がない、ハルだけが苦しむなんておかしいと穹は嘆き、ハルを助け、同じように自分も悩みたいんだと懇願します。どうして判ったのかと問い返すハルに、メールの返事が変だったから、ただそれだけのことで気付いたと明かす穹。嫌な予感がした、ハルになにかあったんじゃないかと。
しかし、ハルは委員長との間になにがあったかを話すことが出来ません。話せば、穹をまた傷つけてしまいそうだったから。それでもすがりつく穹に、ハルの気持ちを楽にしてあげたいと願う穹に、ハルは遂に折れそうになります。けれど、先に核心を突いたのは穹のほうでした。
「もしかして……委員長のことなの?」と、穹は見抜いたのです。
委員長となにがあったかを、彼女の気持ちに応えられなかったことまで、ハルは話します。穹は言います、私はそんなことでは傷つかない、だから、自分一人でなんでも背負わないで。それでもハルからすれば、委員長を振ったのは自身の決断であり、理由が穹の存在にあったにせよ、引き合いには出せないと考えます。
「ハルが応えられなかった理由は、私にもあるじゃない……」
「私がハルのこと、好きだから……」
穹の言葉は、ハルの迷いを完全には振り払いませんでした。けれど、ハルと一緒に嫌われてもいい、ハルの苦しみを自分にも分けて欲しいと訴える穹に、ハルは少なからず救われます。胸の痛みを忘れることは出来ない、けれど、彼はもう一人じゃなかった。傷つけ合っても、二人は生きていくしかない。彼女は、そんな彼の痛みを感じようとしてくれるのだから。彼も、ハルもまた、それに応えなければいけない。
穹と最後まで添い遂げること、自分たちが取った道が間違っていなかったことを証明することで、応えられなかった想いに対するケジメをつけようと、ハルは改めて誓ったのでした。
ここで最初のエロイベントなわけですが、さすがに濃厚というか、長すぎず短すぎず、それでいてゆったりとした流れでした。穹は意外に積極的というか、前作ヨスガノソラでハルが穹を強く求めたように、穹もハルを激しく求めていた。
さすがはハッシーというべきか、短い時間の中で見事なイラストを描き上げてきました。グラフィッカーの塗り具合に関しては少しだけムラがある気もしましたが、それを僅かにしか感じさせない見事な出来映えです。
意外な話のように思えますが、エロゲの場合、寝間着でのプレイって結構少ないんだよね。それこそ相手が妹とか身近な相手だったときにしかお目にかかれないシチュエーションです。まあ、二人ともパジャマってわけではないんだけど、夜の静寂に包まれた部屋の中で、乱れる双子の兄妹。いやー、エロい、エロ過ぎる。
穹も少しSっ気が出てきたというか、なるほど、ハルをいじめてみたりとはこういうことだったのか。春日野兄妹は状況に応じて互いがSにもMにもなれるというか、要するにいちゃつきっぷりが半端ないんだよね。エロシーンですらニヤニヤが止まらなくなるというか、お風呂イベントがなかったのは残念だけど、別にいいかなーという気分にならないでもない。穹→ハルという流れから、ハル→穹に切り替えるのがなかなかに上手いよね。どちらも主導を握っているというか、二人は本当に対等なんだなって思う。そう考えると、ヨスガノソラのときは少し一方的な感じがあった。強引に求めてしまったことはハルも認めてるけど、でも、それを拒絶しなかったのも穹なんだよね。そういう発想が穹には存在しなかった。
ハルカナソラはそう考えると、やや穹が前に出ている印象はあるものの、互いに互いを尊重しあった性交をしていると思う。
明けて、昨日と同じように手を繋いで登校するハルと穹。それを遠目に見つめる亮平と渚さんは、躊躇いからか声を掛けることが出来ません。けれど、そこに現れた瑛が二人を諭します。
「あたしら、ハル君と穹ちゃんとお友達じゃなかったんだっけ?」
軽く言っているようで、その言葉には結構な深みがあります。瑛はこの時点で、明確な意思表示をしてるんですよ。二人がどうであれ、自分は友達であることをやめるつもりもないし、距離置くような真似もしないと。瑛が二人の関係をどう思っているかには不明瞭な点が多いけど、ハルや穹が誰かを騙したとか、犯罪を犯したとか言うならともかく、ときには道義や倫理よりも優先するべき事があると、瑛は判っているんでしょう。
渚さんはそんな瑛の真意が読めず、どう思っているのかを問いただします。さすがに本当は良く判っていないじゃないか? というのは瑛に失礼な気もするけど、普段があんな感じだと仕方ないんだろうか。亮平は瑛の内面を、全容は知らなくても一部理解しているから、それとなく察してましたけど。
瑛は渚さんの問いに、やはり自分の意思を明確にはせず、考えを和らげるように提案します。難しく考えすぎることはない、ようはハルと穹と一緒にいたいかどうか、友達であり続けたいかどうかだと。亮平も悟りましたが、難しいことはとりあえず置いて、簡単な意識調査、意思表示こそが大事なんだと言うことです。ハルと穹はすべてを、真実をさらけ出した。ならば、自分たちはそれにどう答えるべきなのか? 他がどう思うかなんて関係ない、まずは自分の気持ちを整理して、相手に伝えるのが先決なのだから。
あたしはハル君たちを応援してあげたいなと、瑛は笑顔で言い切ります。断言しても構わないだけの関係性を、ハルと穹の間に築けているのでしょうか。確かに、瑛にとってハルや穹は貴重な友人なのかも知れない。過去のしがらみや、今もある複雑な事情に捕らわれることなく、普通に接することが出来る相手ですし。
そんな瑛に心動かされ、一時的にも弱気になった自身を亮平は叱咤します。渚さんも同じように、自分はハルと穹の友人であることを再認識。実はこのとき、渚さんがここまでハルと穹を強く思って、友情を感じていたことには意外さを憶えました。自分のルート以外では、常に一定の距離を保っていると感じていましたから、結構踏み込んでいるなと。もっともそれは、人にはいえない事情、瑛との本当の関係についてを照らし合わせた上で、ある種の共感を抱いているからでもあるのでしょうけど。
瑛、亮平、そして渚さんの三人は友達として、ハルと穹の元へ駆けます。それが三人の出した結論であり、瑛の影響力があったとは言え、ハルと穹に対してあった複雑にもつれた糸は、解きほぐされました。ギクシャクした部分はまだまだあるとはいえ、いつもの日常が戻ってきたのです。
登校途中に現れた瑛や亮平、渚さんや委員長といった面々と登校するハルと穹。なんとか穹と委員長も和解し、一応の理解を得ました。自らを未練がましいと自嘲する委員長は、穹を選んだハルに対し、すぐに納得することが出来なかったことを打ち明けます。今現在も、決してすべてを受け入れたわけじゃないんだと思います。心を整理して、とりあえず形を整えて、自分自身を無理やり納得させて……委員長の出した答えはとても脆く壊れやすいもので、けれど彼女は努力すると言います。すぐには無理でも、もう一度仲のいい友人になりたいから。
さて、日記も過去最長の文量になりましたが、ここで一区切り付けようと思います。本当は2万字ギリギリまでハルと穹のことを書こうかと思ったんですが、私の自己満足はともかく、それじゃあ読む人が読みにくいと思うので。
このようにハルカナソラの穹シナリオ、蒼穹の果てには、序盤から少し重めで、暗めの流れから始まっています。前作の穹ルートをそのまま再開させたようなものですし、その辺りは仕方ないでしょう。友人、仲間と呼べる人たちとの関係が見直され、各人が困惑や複雑な思いを抱える中で、一番始めに乗り越えたのが委員長というのは、ある意味では必然だったのかも知れません。失恋で、悲恋だけど、委員長とは決着を付けないといけなかったんですよ。
委員長シナリオとは随分落差があるというか、昨日の日記で二人の委員長の対比について書いたけど、私は穹シナリオにおける倉永梢の方が好きです。悲恋だから、というわけではないけど、片思いにせよ横恋慕にせよ、いい形での決着が付けられたと思うんですよ。結末があり得ないほど悲痛なものでも、ないよりはマシだと思うから。
けれど、委員長は自分が変わらない限り穹には敵わないと漏らしていましたが、変わった結果が委員長シナリオでの彼女なら、かなり首を傾げずにはいられない。あれは変わったというか、最初からなにかおかしいというレベルだと思う。そういう意味で、あのシナリオはどこか好きになれなかった。
だから私は穹シナリオの委員長を認めるし、正しい姿だったのかはともかくとして、好感が持てた。引き立て役とか踏み台とか言われるだろうけど、サブキャラである委員長に本来課せられた役目がそれである以上、映えるのも仕方がないというか、当然なんだと思う。ヨスガで付けられなかった決着を、失恋という形で表したのは、委員長のためでもあったんですよ。思えばヨスガでは奈緒との間に一応の決着は付けたけど、次に現れた委員長とは和解せずに終わりましたから。まあ、和解とかそういう問題でもないのかも知れないけどさ。
重苦しい風に来も後少しと言うことで、これを抜ければ当分はハルと穹のイチャラブが見られます。正直、日記とはいえ文章で書き表すのも恥ずかしいんですけど、あまりの可愛さにやられてしまいました。いや、マジで凄いよあれは。
私の乏しい文章表現能力で、あの素晴らしさをどこまで伝えられるかは不明ですが、とにかく書きまくってみようと思います。この日記も、しばらくはハルカナソラ祭りです、ハル&穹フィーバーです!
蒼穹の果てに
ヨスガノソラにおける穹ルートの続編というシナリオ。長さも、質も、他のショートシナリオとは比較にならないほどのクオリティと完成度を誇っています。今回は昨日の委員長シナリオとは趣向を変えて、一つ一つのイベントやパートを書きだしていこうと思います。その方が良いというか、じっくり書けますしね。長短はあると思いますが、全体的な流れが伝わるんじゃないかと思う。それでは、早速書いていきますか。
~下山、仲間たちとの再会~
湖畔で一夜明かしたハルと穹は、明け方になって下山します。ハルが穹をおんぶしながら、とりあえずは瑛のいる神社まで。早朝ですし、瑛は寝てしまっているだろうと帰ってきた旨を報告すべきか悩むハルですが、なんと瑛が笑顔で現れて二人を出迎えます。自分でも言ってましたけど、瑛は二人が必ず帰ってくること、夜の内に下山は無理だから朝になるだろうことを、ちゃんと判っていたんでしょうね。瑛はなんでも判っているんです。ハルと穹の関係や、二人になにがあったのか。特に説明されてなくとも、瑛には理解することが出来る。彼女は人の顔色というか、他者の反応を窺って生きてきた少女だと思うんですよ。相手がなにを考え、なにを望み、自分はどうすればいいのか。奥木染で彼女が生きて行くにはそういう術を身につけるしかなくて、それがあの達観した性格と、鋭い洞察力や読心術になっているんじゃないかな。笑顔で和らげてはいるけど、瑛は物事の核心に辿り着くのが早いと思う。
神社には瑛の他にも亮平や渚さんといった友人が集まっていて、どうやら交代で二人が下山してくるのを待っていたらしい。けれど、みんな今回の件は壮大な姉弟喧嘩であると捉えていて、事情を知っている奈緒や委員長ほど深刻に考えてはいない。ハルは当然、説明しようとするんだけど、奈緒がその場は解散させてしまいます。今は止めておいた方が良い、確かにその通りですね。良かったねムードがぶち壊れますし。
学校を休むことにして、ハルと穹は自宅へと帰ります。もう帰ってこられないかと思った我が家、とりあえず泥だらけの身体ですから、風呂にはいることにしたんですけど……あると思っていたお風呂プレイがなかった。そりゃね、帰ってきて早々そういうことをするのも、それはそれでどうかと思うよ? でも、期待はしていたわけで! あらすじに書いてあった時点で、絶対にあると信じていたのに!
穹がお風呂に入っている間にご飯の仕度を仕様としたハルですが、力尽きて途中で寝てしまいました。無理もない、一晩中穹を探し回り、尚かつおぶって下山したわけですからね。心労が溜まっていたのでしょう。テーブルの上に突っ伏して、奈緒が途中様子を見に来たのにも気付かず夜近くまで寝てしまいます。穹もハルを起こすような真似はせず、それどころかハルのために夜ご飯を用意するというかいがいしさを発揮。おにぎりでしたけど、好きな人が作った物なら愛情スパイスで普通より美味しくなるから問題なし。
夜中になり、穹は就寝前のハルの部屋を訊ね、ふすま越しに一緒に寝て良いかと訊ねます。かつてハルは、そのふすま越しに穹を拒絶した。けれど、今のハルには穹に向けて閉ざす扉なんてなかった。了承するハルと、嬉しそうに準備する穹。微笑ましいとはまた違った、安心できる光景です。
ハルは夜まで寝ていたために目がさえてしまい、なかなか寝付けませんが、穹が隣にいることと、自分がなにを失うところだったのかを再認識します。明日からは学校に通い、理解して貰えるかはわからないけど、友人たちにすべてを話そう、僕らのこれからは、本当に“これから”なんだと穹を諭しながら、眠りにつこうとします。けれど、穹はハルが寝るまで見ているといい、自分の中にある不安を打ち明けます。
「……居なくなったりしない?」
「これが夢だって事はない? 起きたら私は一人湖畔で泣いてたりしない?」
後者は個人的に印象深い台詞で、穹の心境を良く物語っていると思います。
夜は人を不安な気持ちにさせるといいますけど、無事に夜は明け、朝となりました。穹の方が早く起きて、制服に着替え、身支度を調え、朝食まで用意してくれています。焼き加減を調べたり、味見をしたパンは美味しく、何枚かは失敗しましたけど、穹がしてくれることが嬉しいハルは苦笑しながらも受け入れます。失敗したのはホットサンドとして弁当へ。
二人仲良く、手を繋いで学校に行きます。多少は人目を気にしますが、意外にも学生に会うことなく、ハル自身、罪悪感のようなものは感じていません。吹っ切れたというか、本人も言っているとおり、穹への気持ちがハッキリしたからでしょう。もうハルとは手を繋げないと思っていた穹は喜び、胸の内を吐露します。誰も居ないときまで遠慮してたらもったいないとハルはいい、二人はギリギリまでそれこそ校門をくぐるまで手を繋いで登校しました。
校内に入って、職員室の前で委員長と再会。昨日の朝に会っているとはいえ、ハルの感覚では再会という言葉が相応しいでしょう。
~告白と理解、仲間たちの想い~
昼休み、ハルは友人たちに囲まれながらも、自分と穹の間になにがあったのかを打ち明けることにしました。すべてを知っている瑛は、ハルがなにか言う前から「おめでとう」などと言っては祝福します。既に事情を知っている委員長と奈緒はともかく、反応はやはり人それぞれ。亮平はチャラけているようで芯の通った男だから、問題の深刻さに気付きますが、渚さんは作中随一の常識人であるため、すぐには理解することが出来ません。近親愛について無理解ではないにせよ、近親相姦ともなれば話は別です。常識人であればこそ、ハルが打ち明けている最中に感情が高ぶった委員長が逃げ出したように、受け入れることが困難なのも判ります。それが普通なんですよ。
奈緒はなにせ春日野兄妹に対して負い目があるし、性的な関係についてとやかく言える立場じゃありません。瑛の真意は不明瞭ですけど、彼女は倫理的や道義的な問題よりも優先すべき事があると思っていたのかも知れません。
「誰にだって大切な人を想う気持ちがあるよ。ハル君の想いは一番穹ちゃんに向いてたってことだよね。ハル君は、穹ちゃんを捜しているときに、それに気付くことが出来た」
「その気持ちは二人だけのものだよ。ハル君が気にしている周りの目っていうものと、別の問題」
このような言葉で二人の関係を受け入れる瑛は、いつもと変わらぬ笑みを浮かべていて、亮平もそれとなく悟ったようです。奈緒は逃げ出してしまった委員長を追いかけて、亮平はハルを誘ってその場を少し離れます。
「俺はこれからもお前と親友でいたいと思っている。お前が間違ったことや、つまんねーことをしたら、ぶん殴るぐらいのことはするつもりだ」
ハルと穹がなにをしたのか、大体判ったという亮平は、言葉を選びながらも語りかけます。逃げ出さず、自分たちの元に戻ってきたハルを否定せず、見捨てることもないと言い、自分の過去を振り返る。形はまるで違えども、ハルは亮平に出来なかったことやったわけですから。この辺で語られる亮平の過去については、ヨスガノソラの初佳ルートが詳しく描かれています。亮平って意外に裏があるっていうか、よっぽどのことがないと留年なんてしないわけですし、そこには深い事情があるんですよ。いや、ほんと良い奴ですよね。なんだかんだいっても、やっぱり年上なんですよ。ハルも感じたことですけど。
一方で、渚さんは瑛と二人きりになったとき、ハルと穹の関係について問いただします。すぐには思い至らなくても、委員長の反応などから察し始めてきたんでしょう。大切な友達であるが故に、いつかは理解したいと考える渚さんですが、ハルに対して常に一定の距離を保ってきただけに、思いは複雑です。瑛ほど単純になれればと言いつつも、当の瑛はこれでも色々考えていると苦笑します。渚さんは笑って流しますけど、実際として瑛は相当考え込んでると思うんですよね。渚さんを諭したときもそうですが、ハルと穹、二人の友人のために自分がなにをするべきで、なにが出来るのかをずっと考えてるんだと思う。
渚さんは自分と瑛の関係、人に知られてはいけないけど、いつかは理解して貰いたい事情を抱えているだけに、理解は出来なくともある種の共感をハルに覚え、その強さを見習いたいと思いますが、二人に対する距離の取り方に悩むこととなります。それが当然というか、普通なんですよ。渚さんは常識人で、当たり前の世界の住人ですから。
~委員長の想いと、初恋の決着~
放課後となり、帰り支度をしているハルを委員長が呼び止めます。倉永梢としてではなく、クラス委員長として先生から頼まれた言伝、職員室にて提出して欲しいプリントがあるという旨を伝えます。断るわけにも行かず、ハルは買い物を穹と瑛に任せて職員室へ。穹の分まで書いていたため時間を取られ、1時間ほど拘束されました。
解放され、鞄を取りに教室まで戻ると、そこでは委員長が一人黄昏れていました。成り行きで一緒に帰る流れとなり、ハルは委員長と共に帰宅の途に着きます。
帰り道、改めて謝罪するべきか考えるハルに、逆に委員長の方が謝ります。すみません、ごめんなさいと。すべての原因は自分にあるのではないかと思い悩み、そんな自分が許せなくて、責任を感じてしまう。ハルのことを嫌いになりたくないのに、穹との関係を認めることが怖くて出来なかった。認めてしまえば、自分の中にあるハルに対する気持ちが、想いが、永遠に届かないと判ってしまうから。
委員長の謝罪と、吐露されるハルへの想い。単なる好意を超えた恋愛感情の発露に、ハルは自分が委員長を深く傷つけていたことを再認識します。けれど、ハルはそんな委員長の強く純粋な好意に答えることが出来ません。
何故ならハルは、穹を選んだから。
初恋に、決着が付いた瞬間でした。昼休み、一度は事実から逃げ出した委員長ですが、彼女の初恋は失恋に変わり、苦みの効いた想い出となりました。受け入れて貰うか、拒絶されるか、その二択しか提示できないハルは、委員長を慰めることすら出来ません。謝ることすら、偽善でしかない現実。そもそも、謝るような問題でもないのだから。
ハルに出来たのは、物事をハッキリさせること、委員長の想いに対し明確な答えを出すことだけでした。委員長の、倉永さんの想いには応えられないと。例え彼女に嫌われようと、軽蔑されようと、それでも自分は穹を選んだ。だから、自分や穹のために自らを傷つけないで欲しい。
ずっと好きだった、けれど、例え時計の針が何度戻ったところで穹には敵わない。委員長は、倉永梢という少女はそれを悟ったのです。
「私の気持ち……聞いてくれてありがとう……」
明日からは、いつもの私に戻ります。委員長はそう心に決めて、ハルと別れます。涙ぐんだ声と表情だったけど、そこには確かな強さがあって、ハルにはそれが羨ましかった。ハルは買い物を終えた穹にそっけない返事を出し、穹はハルの心境を感じ取ったかのように、大丈夫? と返信してきます。驚き、しかし、ハルは更なる返事を出すことが、出来なかった。
帰宅した我が家では穹と、穹の相手をしてくれていた瑛がいました。このとき瑛が穹とどんな話をしたか、少しだけ気になりましたけど、ハルは楽しくお喋りをしていたんだろうと深くは考えませんでした。確かに、瑛が核心的な話題を好き好んでするとは思えず、かといって穹が望めばある程度は話したのかも知れない。
ハルは良い時間であるし、瑛を夕食へと誘いますが、やひろのところで食事を作らなければいけない瑛はこれを笑って謝絶します。避けた、というわけではないでしょうが、あるいは委員長となにかあったことを見抜き、今はまだ穹と二人きりにした方が良いと感じたのかも知れません。穹がハルを心配していたことを、それとなくハル本人に伝えていましたから。瑛は、否定者ではなく肯定者で、ハルと穹のことを無条件で受け入れ、認めてくれます。それはかつて、否定されるだけの存在だった自分を、受け入れてくれた人がいたからで、瑛にも思うところがあるのでしょう。
瑛なりの気を利かせ方とハルは言うけど、それが出来るのもまた瑛だけで、彼女の感性や感覚、感情のような物が見え隠れしています。前からずっとお互いのことが好きだった、ハルと穹の関係を瑛はそのように言いますが、思い返してみれば彼女は幼少期の二人に会ったことがあるんですよね。その頃から感じていたのか、それとも再会後にそう考え始めたのか……瑛からすれば、自分は人の気持ちに少しだけ敏感なだけだ、とでも言いそうですが。
新しいメニューに挑戦し、失敗つつも夕食を終えたハル。風呂上がりの彼の元へ、同じく風呂上がりの穹が昨晩と同じように訪れます。
一緒に寝る二人、電気を消しても羊を数えても、羊が瑛の家の猫だろうと、一向に眠気がやってこないハル。穹もそんなハルが気になり、何故ハルが悲しそうな顔をしているのか、どうして作り笑いをしてごまかそうとしているのかを、問いつめてしまう。これじゃあ一緒にいる意味がない、ハルだけが苦しむなんておかしいと穹は嘆き、ハルを助け、同じように自分も悩みたいんだと懇願します。どうして判ったのかと問い返すハルに、メールの返事が変だったから、ただそれだけのことで気付いたと明かす穹。嫌な予感がした、ハルになにかあったんじゃないかと。
しかし、ハルは委員長との間になにがあったかを話すことが出来ません。話せば、穹をまた傷つけてしまいそうだったから。それでもすがりつく穹に、ハルの気持ちを楽にしてあげたいと願う穹に、ハルは遂に折れそうになります。けれど、先に核心を突いたのは穹のほうでした。
「もしかして……委員長のことなの?」と、穹は見抜いたのです。
委員長となにがあったかを、彼女の気持ちに応えられなかったことまで、ハルは話します。穹は言います、私はそんなことでは傷つかない、だから、自分一人でなんでも背負わないで。それでもハルからすれば、委員長を振ったのは自身の決断であり、理由が穹の存在にあったにせよ、引き合いには出せないと考えます。
「ハルが応えられなかった理由は、私にもあるじゃない……」
「私がハルのこと、好きだから……」
穹の言葉は、ハルの迷いを完全には振り払いませんでした。けれど、ハルと一緒に嫌われてもいい、ハルの苦しみを自分にも分けて欲しいと訴える穹に、ハルは少なからず救われます。胸の痛みを忘れることは出来ない、けれど、彼はもう一人じゃなかった。傷つけ合っても、二人は生きていくしかない。彼女は、そんな彼の痛みを感じようとしてくれるのだから。彼も、ハルもまた、それに応えなければいけない。
穹と最後まで添い遂げること、自分たちが取った道が間違っていなかったことを証明することで、応えられなかった想いに対するケジメをつけようと、ハルは改めて誓ったのでした。
ここで最初のエロイベントなわけですが、さすがに濃厚というか、長すぎず短すぎず、それでいてゆったりとした流れでした。穹は意外に積極的というか、前作ヨスガノソラでハルが穹を強く求めたように、穹もハルを激しく求めていた。
さすがはハッシーというべきか、短い時間の中で見事なイラストを描き上げてきました。グラフィッカーの塗り具合に関しては少しだけムラがある気もしましたが、それを僅かにしか感じさせない見事な出来映えです。
意外な話のように思えますが、エロゲの場合、寝間着でのプレイって結構少ないんだよね。それこそ相手が妹とか身近な相手だったときにしかお目にかかれないシチュエーションです。まあ、二人ともパジャマってわけではないんだけど、夜の静寂に包まれた部屋の中で、乱れる双子の兄妹。いやー、エロい、エロ過ぎる。
穹も少しSっ気が出てきたというか、なるほど、ハルをいじめてみたりとはこういうことだったのか。春日野兄妹は状況に応じて互いがSにもMにもなれるというか、要するにいちゃつきっぷりが半端ないんだよね。エロシーンですらニヤニヤが止まらなくなるというか、お風呂イベントがなかったのは残念だけど、別にいいかなーという気分にならないでもない。穹→ハルという流れから、ハル→穹に切り替えるのがなかなかに上手いよね。どちらも主導を握っているというか、二人は本当に対等なんだなって思う。そう考えると、ヨスガノソラのときは少し一方的な感じがあった。強引に求めてしまったことはハルも認めてるけど、でも、それを拒絶しなかったのも穹なんだよね。そういう発想が穹には存在しなかった。
ハルカナソラはそう考えると、やや穹が前に出ている印象はあるものの、互いに互いを尊重しあった性交をしていると思う。
明けて、昨日と同じように手を繋いで登校するハルと穹。それを遠目に見つめる亮平と渚さんは、躊躇いからか声を掛けることが出来ません。けれど、そこに現れた瑛が二人を諭します。
「あたしら、ハル君と穹ちゃんとお友達じゃなかったんだっけ?」
軽く言っているようで、その言葉には結構な深みがあります。瑛はこの時点で、明確な意思表示をしてるんですよ。二人がどうであれ、自分は友達であることをやめるつもりもないし、距離置くような真似もしないと。瑛が二人の関係をどう思っているかには不明瞭な点が多いけど、ハルや穹が誰かを騙したとか、犯罪を犯したとか言うならともかく、ときには道義や倫理よりも優先するべき事があると、瑛は判っているんでしょう。
渚さんはそんな瑛の真意が読めず、どう思っているのかを問いただします。さすがに本当は良く判っていないじゃないか? というのは瑛に失礼な気もするけど、普段があんな感じだと仕方ないんだろうか。亮平は瑛の内面を、全容は知らなくても一部理解しているから、それとなく察してましたけど。
瑛は渚さんの問いに、やはり自分の意思を明確にはせず、考えを和らげるように提案します。難しく考えすぎることはない、ようはハルと穹と一緒にいたいかどうか、友達であり続けたいかどうかだと。亮平も悟りましたが、難しいことはとりあえず置いて、簡単な意識調査、意思表示こそが大事なんだと言うことです。ハルと穹はすべてを、真実をさらけ出した。ならば、自分たちはそれにどう答えるべきなのか? 他がどう思うかなんて関係ない、まずは自分の気持ちを整理して、相手に伝えるのが先決なのだから。
あたしはハル君たちを応援してあげたいなと、瑛は笑顔で言い切ります。断言しても構わないだけの関係性を、ハルと穹の間に築けているのでしょうか。確かに、瑛にとってハルや穹は貴重な友人なのかも知れない。過去のしがらみや、今もある複雑な事情に捕らわれることなく、普通に接することが出来る相手ですし。
そんな瑛に心動かされ、一時的にも弱気になった自身を亮平は叱咤します。渚さんも同じように、自分はハルと穹の友人であることを再認識。実はこのとき、渚さんがここまでハルと穹を強く思って、友情を感じていたことには意外さを憶えました。自分のルート以外では、常に一定の距離を保っていると感じていましたから、結構踏み込んでいるなと。もっともそれは、人にはいえない事情、瑛との本当の関係についてを照らし合わせた上で、ある種の共感を抱いているからでもあるのでしょうけど。
瑛、亮平、そして渚さんの三人は友達として、ハルと穹の元へ駆けます。それが三人の出した結論であり、瑛の影響力があったとは言え、ハルと穹に対してあった複雑にもつれた糸は、解きほぐされました。ギクシャクした部分はまだまだあるとはいえ、いつもの日常が戻ってきたのです。
登校途中に現れた瑛や亮平、渚さんや委員長といった面々と登校するハルと穹。なんとか穹と委員長も和解し、一応の理解を得ました。自らを未練がましいと自嘲する委員長は、穹を選んだハルに対し、すぐに納得することが出来なかったことを打ち明けます。今現在も、決してすべてを受け入れたわけじゃないんだと思います。心を整理して、とりあえず形を整えて、自分自身を無理やり納得させて……委員長の出した答えはとても脆く壊れやすいもので、けれど彼女は努力すると言います。すぐには無理でも、もう一度仲のいい友人になりたいから。
さて、日記も過去最長の文量になりましたが、ここで一区切り付けようと思います。本当は2万字ギリギリまでハルと穹のことを書こうかと思ったんですが、私の自己満足はともかく、それじゃあ読む人が読みにくいと思うので。
このようにハルカナソラの穹シナリオ、蒼穹の果てには、序盤から少し重めで、暗めの流れから始まっています。前作の穹ルートをそのまま再開させたようなものですし、その辺りは仕方ないでしょう。友人、仲間と呼べる人たちとの関係が見直され、各人が困惑や複雑な思いを抱える中で、一番始めに乗り越えたのが委員長というのは、ある意味では必然だったのかも知れません。失恋で、悲恋だけど、委員長とは決着を付けないといけなかったんですよ。
委員長シナリオとは随分落差があるというか、昨日の日記で二人の委員長の対比について書いたけど、私は穹シナリオにおける倉永梢の方が好きです。悲恋だから、というわけではないけど、片思いにせよ横恋慕にせよ、いい形での決着が付けられたと思うんですよ。結末があり得ないほど悲痛なものでも、ないよりはマシだと思うから。
けれど、委員長は自分が変わらない限り穹には敵わないと漏らしていましたが、変わった結果が委員長シナリオでの彼女なら、かなり首を傾げずにはいられない。あれは変わったというか、最初からなにかおかしいというレベルだと思う。そういう意味で、あのシナリオはどこか好きになれなかった。
だから私は穹シナリオの委員長を認めるし、正しい姿だったのかはともかくとして、好感が持てた。引き立て役とか踏み台とか言われるだろうけど、サブキャラである委員長に本来課せられた役目がそれである以上、映えるのも仕方がないというか、当然なんだと思う。ヨスガで付けられなかった決着を、失恋という形で表したのは、委員長のためでもあったんですよ。思えばヨスガでは奈緒との間に一応の決着は付けたけど、次に現れた委員長とは和解せずに終わりましたから。まあ、和解とかそういう問題でもないのかも知れないけどさ。
重苦しい風に来も後少しと言うことで、これを抜ければ当分はハルと穹のイチャラブが見られます。正直、日記とはいえ文章で書き表すのも恥ずかしいんですけど、あまりの可愛さにやられてしまいました。いや、マジで凄いよあれは。
私の乏しい文章表現能力で、あの素晴らしさをどこまで伝えられるかは不明ですが、とにかく書きまくってみようと思います。この日記も、しばらくはハルカナソラ祭りです、ハル&穹フィーバーです!
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