ハルカナソラ、春日野穹シナリオ-蒼穹の果てに-感想日記第2弾です。どうせ、HPにも長々としたコンテンツを作ると思いますし、今回も1万字程度にしておこうと思います。でも、今日で最後まで書く予定だから、あるいは2万字近くなるのかも知れない。


~クッキーのお味はいかが?~
どうやら穂見学園では男子と女子で授業が分かれることがあるらしい。体育の授業は当然として、技術は男子、家庭科は女子、一般的には普通なのかも知れないけど、私には少し新鮮でした。というのも、私が中学時代は男女ともに技術、家庭科の授業をやっていたんですよ。高校にはあいにく技術の授業はなかったんですが、それでも家庭科は小中高と全部やったな。私がそれなりに料理出来るのも、経験を積んでいるからかな。
まあ、私の話はどうでも良いとして、瑛や穹はクラス合同の調理実習があるとかで、材料を抱えて調理室へと行きました。材料は昨日の買い物の際に買っていたと良い、対するハルは女子からのお裾分けを期待する亮平と共に技術室へ。DVD入れとやらを作るらしいです。はんだごてとかじゃないんですね。
午前中の授業だったようで、女子はそのまま調理室で昼食らしく、久しぶりに男二人で飯を食うことになったハルと亮平。グランドの隅に陣取って、普段は出来ない男同士の会話をします。亮平は自分がまだハルと穹について完全に理解できていないことを白状しつつも、友達をやめるつもりはないことだけは明確に宣言します。男同士の友情を感じつつも、亮平の年上としての一面を見たハルは、その姿に兄貴っぽさを憶えます。ハルは兄妹がいると言っても双子ですから、年上に対する憧れがあるのではないかと自己分析。まあ、この時点ではともかく、ハルは穹を妹として、年下扱いすることもあったみたいですからね。対等な関係とはいえ、年上に憧れる気持ちも判らないではない。
気恥ずかしい話はやめにして、女子が来るのでも待とうという亮平。まあ、期待の程度差はあれ、瑛は普通にくれそうですからね。お約束的展開とシチュエーションを想像する亮平ですが、先にやってきたのは瑛ではありませんでした。

「えいっ! ハル、こんな所にいたの?」

妙にテンションの高い穹が、背中からハルに抱きついてきました。じゃれつく仕草は、別人のように明るく、はつらつとしたもの。いや、可愛いというレベルを一瞬で突破しました。実習で作った物が上手くできたので持ってきたと言うことですが、先ほどまでのローテンションぶりとは見違えるように、楽しそうにはしゃいでいます。ハルは驚きつつも、上手くできたことがよっぽど嬉しかったのだろうと思います。穹が笑うと僕も嬉しくなる、そんな風に考えるハルが最高に可愛いです。照れてはいるけど、きっとニヤニヤしていたに違いない。
調理実習はクッキーとのことですが、これは結構意外でした。いや、CG自体は公式にもありますし、前々からクッキーであると知っていたんですけど、調理実習で作った物というのはここで初めて知りましたから。昼食も一緒に済ますぐらいだから、もっと食事的なもの、ご飯やおかずになるものを作るかと思ったんだけど、クッキーなんだ。穂見学園は弁当の持参が強制ではなく、学食はないけど購買はあるから、みんながみんな弁当持参できているとは限りません。一部女子は、わざわざ調理室から購買まで買いに出掛けたのだろうか?
まあ、実につまらない、些細な疑問なので考えないことにしましょう。でも、どうだったかな。私も調理実習でケーキを焼いたことがありますよ。ほとんどの班がホール型のケーキを焼いているのに対し、私が主導してロールケーキを作りました。チョコレートクリームロール、巻くのが結構楽しかった記憶があります。

話を戻して、クッキーを持ってきた穹は、上手に焼けたのでハルに食べて貰いたいと言います。ハルはまだ弁当の途中だったので、当然弁当を片付けてから食べるよというのですが、穹は今すぐ食べて欲しいと言います。確かに、クッキーは焼きたてが一番美味しいですからね。冷めても美味しい奴は美味しいんですけど、風味に劣るんですよ。焼いた後の保存法には、私もよく気を使います。
とまあ、さすがに弁当食いながらクッキーはつまめないと思ったハルは、とりあえず弁当を先に食べようとするのですが、それに対する穹といえば、

「いらないんだ……」

「そうなんだ……ハルはクッキー嫌いだったんだ」

凄いです。新手の攻撃法が実践されました。しょげて見せたところに力業を敢行し、さすがのハルも受け入れざるを得ません。その仕草がまたいじらしいというか、可愛いなぁもう!

「ふふふっ、はーいハルっ、あーんして?」

半ば強引に押し切られる形で、ハルは食べさせて貰います。
そしてビックリ、これが凄い美味しかったらしい。舌の上でさくっと溶ける食感に、まだ温かく、ふんわりとしていたようです。クッキーの王道というか、焼きたてそのままの描写ですね。市販のクッキーではなかなか味わえませんよ。ハルは羨ましい奴だ。
穹はかなり頑張ったらしく、みんなの材料を全部使い切りつつも、上手に焼くことが出来たらしい。朝のパンもそうですけど、穹は材料消費が激しいですね。それでも最終的に上手く完成させることが出来るのは、穹のセンスがいいからなんでしょうけど。
また一つ料理を憶えたことが嬉しい穹は、弁当を食べるのを再開しようとするハルに、もっと食べてとクッキーを食べさせようとします。
時間にして何分経ったのか、穹が現れてから無言だった亮平が躊躇いつつも発言。ハルは折角だからと、亮平にもお裾分けするように言うのですが……

「誰?」

「ハル……変なこと言わないで。誰もいない」

丸無視もいいとこですが、ここは笑ったなぁ。巧みな動作で亮平を視界に入れない穹って、そこまで嫌いなのかw ハルはなにせ先ほど亮平に友情を感じたばかりですし、穹の反応はあまりに失礼と思ったのかお裾分けするように諭します。

「……ハル、今何か言った?」

ハルの言葉に、あろうことかつまんだ指先でクッキーを粉砕する穹。ま、まあ、焼きたてのクッキーは柔らかいからね。冷えて硬くなったのならともかく、焼きたてならば指先の力だけで粉々にすることも……いや、凄いことに変わりはないけど。ハルじゃなくてもビックリですよ。
穹の焼いたクッキーは4種類の味があって、ネットでレシピを調べたそうです。どれも美味しいことは美味しいのですが、クッキーばかり食べ続けるのも辛いです。そこでハルは飲み物がないので買いに行くことで時間を稼ごうと思い、亮平にアイコンタクト。先ほど友情を確かめ合っただけあって、亮平はハルの意図を察し、穹へ一緒に飲み物を買いに行こうと誘います。しかし、上手くいくわけもなく、「じゃあ、クッキー一掴みあげるから、私たちの飲み物も買ってきて」と逆に懐柔されてしまう。紅茶以外いらない、というのはハルも紅茶を飲むと言うことですけど、良い好みしてますね春日野兄妹は。コーヒーも飲むようですけど、やっぱり紅茶でしょう。
亮平という邪魔者がいなくなったことで、穹はこれでもかと言うぐらいハルにじゃれつきます。ハルは亮平を追いかけようとしますが、またもや指先で粉々となるクッキー!

「あ、これはちょっと失敗作だったかな」

ハラハラさせてくれるというか、決して怖くはないんだけど、ハルはかなり動揺しています。単にじゃれ合ってるだけならともかく、穹の積極性というか感情の発露に驚いてるのかも。一番苦労したというバニラ味のクッキーを、穹にほっぺたをプニプニされながら食べるハル。可愛い、この二人の可愛さは凄まじすぎる。
このイベント、白波遥がちゃんと演じ分けているというか、穹が明るくなったらこんな感じなんだろうな、という声を見事に出してるんですよ。役者はやっぱりこうでなくっちゃ。
一人で食べきれる量でもないから、ハルアは改めて穹へ一緒にお昼にしようと良い、なんとか落ち着くことが出来ました。切り返し様に穹にも食べさせてあげると、ハルの奴、いつのまにこんな高等テクを!?
ハルは若干、穹の心理を勘違いしているというか、確かに穹はクッキーが美味しく焼けたことも嬉しいんだけど、それをハルに食べて貰い、ハルが美味しいと言ってくれることに喜びを覚えているんですよ。ハルから食べさせて貰うと美味しいというのも、穹の心理的には凄く重要なことなんです。
クッキーよりも甘いいちゃつきを展開する二人ですが、ハルもなかなか独占欲が強いというか、可憐で儚げな穹の笑顔を自分だけに向けさせることは出来ないか、なんてことを考えたりしています。心配するなというか安心しろ、元からハルにしかその笑顔は見せてないから。
珍しく、ハルが穹に圧倒されています。苦笑しつつも、今日の穹には敵わないとぼやくハル。口移しでクッキーを食べさせて貰おうとしたら、フェイクで口元にかすめるようなキスをされたり、そのときのハルが、

べっ、別にキスしたかったとか、そういうわけじゃないんだからな

萌える、萌えるよ。主人公なのに、男の子なのに、なんでハルはこんなに萌えキャラなんだ!
穹じゃなくて認めてしまう可愛さだよ! ハルは不本意というか、格好いいといって欲しいんだろうけど、このときばかりは可愛さが上回った。
あまりのイチャラブっぷりに戻ってきた亮平が倒れ伏しますが、渚さんですら同情してしまう光景だったらしい。確かにまあ、これは強烈だよ。見ているこっちが恥ずかしくなってしまうもの。そんな亮平は素直にも紅茶を買ってきており、穹も仕方ないのでクッキーを上げます。4枚しか持って行かないところが亮平らしいというか、気を使っているつもりのようです。まあ、瑛からも貰えますからね。最初に委員長のを食べたのは、運がいいのか悪いのか。委員長的には最悪みたいだけど。
和やかだよね、無理に作っている空気という見方も出来るけど、ハルがいて穹が居て、友人という名の仲間たちに囲まれて、それまであった重苦しい雰囲気は一時的にも消えました。jハルはこの先も苦い思いをすることは沢山あるのでしょうが、今はそれも、クッキーの甘みが忘れさせてくれます。微笑ましい、そう表現できるだけの一幕でした。

~ヒキコモリ、なめないでよね~
同日の放課後、帰宅途中の穹の携帯が鳴り響きます。ハルは最初自分の携帯かと思ったようですが、この双子は着メロも同じなんでしょうか。それとも、着メロは設定していないのか。ハルは穹にメールが届いたことに驚きます。自分へのメールと、ネット以外には利用していないと思っていたそうです。まあ、その考え自体は間違ってないというか、穹にはメル友いないんですけどね。穹にも友達ぐらい居るし、とハルは思い直しますが、私は余り居ないと思うなぁ。入院していたときに知り合った人は皆無じゃないだろうけど、それほど深い繋がりが残っているかどうか。
メールをチェックした穹は、ハルに明日は買い物などをするかと訊ねてきます。昨日穹に買ってきて貰ったばかりですし、特にするつもりはないというハル。穹も欲しい物はポテチなどのお菓子ぐらいで、昼間のクッキーはあくまでハルに食べて貰いたいようです。当のハルは昼間に食べ過ぎて全然お腹が減っておらず、穹が家でもクッキーを作り出したらどうしようと、贅沢な悩みを抱えるのでした。そうなんだよね、新しい料理を実習とかで憶えると、家でもチャレンジしてみたくなっちゃう。私も家でケーキとかクッキー作りましたよ。そういや、最近は全然作らなくなったなぁ。

翌日になって、授業休みの合間に穹がハルの元を訪れます。亮平が居ないから堂々と入ってくるというのも、それはそれでどうなんだろう。なんでも英語の辞書を忘れた、というより重いので持ってこなかったらしい穹。置き勉とかしてないんですかね? どうやら毎日持って帰っているようですけど、私は高校時代はロッカーに突っ込んでたな。鍵付きだったから、盗まれることもなかったし。
穹は良いこと思い付いたと、教科書を貸し合えば持ってくるのが半分で済むと双子ならではの提案をします。穹が現代文、日本史、グラマーと、明らかに少ない数を担当し、残りがハルとのことですが……グラマーって、穂見学園では英語の授業がリーダーとグラマーに分けられてるのか。もしかしたらリスニングも? 田舎なのに進んでいるというか、私の母校は英語で一纏めにされていただけにビックリだ。それとも、世代差なのかなw
ハルはこんな非建設的な提案を当然拒否しますが、逆に瑛が乗っかろうとします。渚さんを誘いますが、同じクラスでは意味がありません。だったら穹とすればいいと、瑛は穹を見つめながらその手をひしと掴み、辺りには絶対運命黙示録的な空気が漂い……漂ったところを渚さんに叩かれました。反射的に、穹も叩いてしまった渚さん。謝りますが、実は大して痛くもないらしい。今後の貸し借りはともかく、とりあえず今は英語の辞書が必要ということで、ハルは貸そうとするわけですが、その直前に彼の携帯が鳴り響きます。電話を掛けてきたのは郵便局で、以前の住所から手紙などが転送されてきたらしい。引っ越しの経験がない私にはイマイチピンと来ないのですが、なんでも1年間は旧住所から新住所に手紙などを届けてくれるそうで。ハルの元に届くのは大半がダイレクトメールだけど、中には亡き両親宛のもあるとか。両親の不幸を知らない人もいて、ハルにとっては気の重い話でもあるようです。
郵便局員が直接届けてくれるらしいので、ハルは土曜日の午前中を指定します。あぁ、穂見学園は週休二日制なんですね。今はどこもそうか。

下校時間となり、なにかのお稽古ごとがある渚さんが一足先に帰り、ハルも教室まで迎えに来た穹が、何故か帰りを急いでいるので足早に帰宅。ぬくもった室内に、穹はエアコンが欲しいと漏らします。私の予想通り、春日野家は引っ越しの際に大半の便利家電を処分してしまったようです。テレビもありがちな液晶じゃないですし、でも、エアコンぐらいはあっても良いような気が。奥木染は冷涼な気候って感じもしませんし。秋や冬は違うのかな。
夜になって、食事の仕度が行われている春日野家に訪問客が。聞き覚えのない声にハルは戸惑いを憶えますが、逆に穹はスッと玄関に向かいます。穹だけで対応するのかと思いきや、ハルも着いてくるようにいいます。言われるがままに着いていくハルは、まさか穹の知り合いが訊ねてきたのかと動揺します。なにせ声は男のものですし、しかも夜訊ねてくるなんて……そんなことを考えつつも玄関のドアを開けます。
ハルの心配は杞憂に終わり、玄関の先にいたのは宅配会社のコウノトリ便でした。ペリカン便の分家かなにかでしょうか、春日野穹さん宛のお荷物が代引手数料込みで1638円だそうです。意外に安いですね。
当然の如くハルに払わせた穹は、そそくさと部屋に退散します。分けが分からぬハルは勢いで料金を払ったものの、穹がなにを購入したのか気になり部屋へと乗り込みます。ここでのやり取りがなかなか可愛らしいんだけど、昨日携帯で注文した物が、奥木染のような田舎でも翌日配送だなんて、特急お届け便は速さが違いますね。
ハルは穹にお小遣いを渡していなかったこともあって、それほど強くは叱りません。そりゃ、穹だって年頃の女の子だから、日用品以外にも欲しい物ぐらいあるでしょう。ハルは元々物欲が少ないのか、それとも自制心が強いのか、娯楽などにはあまり手を出していない印象を受けます。現に、春日野家にはゲーム機がないみたいですし。
なにを買ったのか、穹は食事が終わったら自分の部屋に来て欲しいとハルに頼みます。もしかしてなにかくれるのか、買い物はプレゼントだったのか、とりあえずハルはご飯の仕度に戻ることにします。そんなハルを見送りつつも穹は――

「…………フッ」

と、小さな微笑を漏らすのでした。

食事と後片付けを終え、穹の部屋へと訪れたハル。ハルが穹の部屋を訪れるのは、その逆に比べるとさして多くもないような気がします。見るとこまで見た間柄といっても、女の子の部屋ですからね。遠慮もあって、気軽には入れないのでしょう。
で、そんな穹の部屋と招き入れられたハルが見たものは……ひたすらパソコンでネットサーフィンをする穹の姿。ハルをノーパソの正面に座らせて、自身はその膝の上に腰掛けるという可愛らしい体勢です。双子でも、二人には体格差があるのでハルが穹を抱え込む感じ。微笑ましい光景だね。
穹は片腕でお気に入りのぬいぐるみ、初回版にも小さなレプリカが入っていた黒うさぎを抱き寄せながら、時折頭を撫でたりしています。どうにも母親から買って貰ったものらしく、肩身の品のようです。ハルは良いものを見せてくれるというので付き合ってるのですが、この状況で自分に椅子以外の役目や意味があるのかと疑問に思います。例しに訊いてみますが、穹は久しぶりのネットなので巡回が忙しいらしい。基本的にはファッションなど、洋服関連のサイトや掲示板を見るのが趣味のようです。アパレルって奴ですかね。ハル曰く、穹が好んで着ているゴシックロリータ、正確にはゴシック・アンド・ロリータを扱うお店のページや、それに類する物が主らしい。
ゴスロリ、ゴスロリですか……穹ってゴスロリ着てたっけ? いや、ゴスロリって例外はあれど基本的に黒じゃないですか。いや、白もあるよ、白ゴシックもあるにはあるけど、穹の服装のどこら辺がゴスなんだろうか。私には単なる白ロリにしか見えないというか、ゴス要素が見えてこない。いやまて、外出着の方はそうでもないか? 確かあれと似た感じの服を白ゴスロリとして見たことがある気も……ダメだ、ムックで良いから設定資料が欲しい。ロリータファッションは、以前現代日本文学を研究する過程で、物のついでに勉強したことがあります。身内がはまりまくっていたってのもあるんだけど、あれは良いサブカルチャーだと思う。勉強や研究が意外なほど楽しくできます。
話を戻して、眺めているだけのハルは困惑しつつも、核心的な質問を穹にぶつけます。

「あのさ……ウチって、いつネット回線引いたんだっけ?」

いつもは携帯でネットしているのに、今日はなんでパソコンなのか。回線がない以上、パソコンでネットは出来ないはずなのに、なんで今出来ているのか。

「で、パソコンにケーブルで携帯がつながってるんだけど、これっていつ買ったの?」

穹は膝に抱えていたぬいぐるみを抱きしめながら押し黙りますが、

「とっ……トイレ………」

形勢不利を悟ったのか、一時避難を決めた様子。当然の如くハルに阻止されますが、コウノトリ便の中身はパソコン用のネットケーブルだった模様です。携帯を使ってネットに接続するあれです。
部屋に誘われたことでなにかいかがわしい期待をハルはしてしまったようですが、彼の勝手な憤りはどうでも良いとして、携帯でパソコン繋ぐともなればパケット代が馬鹿になりません。確かに、電話料金の仕組みは判りづらいから、気がつけば莫大な料金を請求されることもあります。とはいえ、そもそもの原因はあれこれとごまかしつつ家にネット回線を引くことを怠ったハルにあるわけで、そこを指摘されるとなにも言えません。ハルとしては都会時代の、ネットひきこもりな穹に憂いを憶えてそのような処置をし取っていたのですが、どうにもネットジャンキーの禁断症状が出たらしい。強硬手段を執ったというわけです。
とはいっても、どうして今になってという疑問もあります。おそらくですが、穹にも精神的なゆとりが生まれたんじゃないでしょうか。色々あって奥木染に越してきて、最初の内は生活するだけで精一杯、嗜好品はともかくとして、贅沢や娯楽が制限された暮らしでした。対人関係における問題もありましたし、のんびりネットを楽しむ余裕がなかったんだと思います。自身とハルを取り巻く様々な問題が、一応の解決を見せたことで、穹にとっての期が熟したんじゃないかなと。
現に穹は、ハルと一緒に楽しむためにネットを導入したと言ってますし。発売前のカウントダウンで明かされていましたが、ハルの趣味はファッション、お洒落みたいです。さすが、今時の都会っ子だっただけに、ハルは洒落者というわけですね。私はファッション関係はまるで興味がないし、関心も向かないので全くと言っていいほど用語や種類を憶えません。ロリータみたいにサブカル研究の一環としてならともかく、一般的な服装はなぁ……親が昔アパレル関係の仕事をしていましたけど、親や知人に言わせるとセンスだけはあるらしい。センスがあるのに興味を持とうとしないから、一向に磨きが掛からないとかなんとか。私としては服装に金と時間を使うぐらいなら、もっと本に注ぎ込みますけどね。数少ない趣味ですから。
誰にだって趣味の一つや二つ合って、穹の趣味はネットです。数日でここまで用意してしまった行動力に呆れつつも、穹にだって趣味を楽しむ権利ぐらいあるとハルも思い直します。ましてや、自分と一緒に見たいというなら尚更です。
気を取り直して、穹が見せたがっていた服のページを見せて貰うハル。穹の行きつけのようですが、男物も扱っているらしい。あれですかね、MILKで言うところの、MILKBOYみたいな感じなんでしょうか。例えが安直というか、貧相な気がしないでもないけど。
ハルは服を選ぶセンスだけはあるらしく、早速お洒落シャツに目を付けます。最近は洋服も通販で普通に買えますが、服はお金が掛かる趣味ですからね。ハルは躊躇いますが、穹はハルもたまにはお洒落をするべきだと諭します。Tシャツを着てても格好いいのがハルだけど、そればかりでも嫌なのが正直なところ。
ズボンや靴、帽子などに目移りしていくハルですが、穹は一式購入することを勧めます。ハルに似合う帽子を薦め、ハルからもそのセンスを褒められます。なんでも穹曰く、亡くなった母親からコツのようなものを習ったそうです。穹がよく着ている服も、母親と一緒に選んだらしい。コツというのはハルも以前聞いたことがあるらしく、着た後のシルエットも考えてみるのが良いのだとか。これは少し、判る気がするな。私は服は組み合わせ重視だけど、服というパーツを組み合わせて、最終的にどんな形で完成されるのかは思い浮かべたりします。基本的だけど、なかなか見落としがちなことなんでしょうね。着るのは自分なんだから、自分で思い浮かべないと。
過去の想い出に浸るハルに、穹は黒うさぎのぬいぐるみも母親が選んでくれたものだと言います。ヨーロッパ土産だったらしく、何個かある候補の内、穹が選んだのがうさぎのぬいぐるみだったらしい。偶然か、感性の一致か、母親も同じ物が良いと思っていたらしく、穹は嬉しかったそうです。大事にしていることは知っていましたが、穹にとっては形見以上のものであることを認識し、自分にそういうものがないハルは、少しだけ羨ましく思います。
穹の気になっている服を訊ねるハルに、穹は欲しいと思っていた白い服を見せます。ハルのそれと大して変わらぬ値段でしたが、残念ながら完売していました。服屋にありがちな1回限りで売り切る店らしく、再入荷は見込めない。そこで穹は服屋のサイトを横断検索しながら、どこかに残っていないかと探し始めます。個人的に、オークションで落とすのは嫌らしい。まあ、着るものオークションで買うのはあまりいい気分じゃないかも。しかし、ハルのオークションの発想が、一般的な競売だったのが笑えた。ネットに縁がないと、そういう思考に結びつくんだ。
ハルが良いと言ってくれたものを新品で買いたい、穹はムキになって検索を続けます。30分ほど検索を続け、いい加減に足の痺れなどに参ってきたハルは、ネットではなく店舗で買うことを勧めます。すると、偶然にも隣町のアーケード街のショップに、小さなコーナーがあることが発覚。今度のお休みに行くことになりました。一緒に買い物へ行けることとなって、穹の表情に笑顔が戻ります。
そんな穹に安心しつつ、ハルは頃合いを見て部屋を抜け出し、ネットジャンキーな穹に付き合うことの大変さを思い知ります。

「ヒキコモリ……なめないでよね………」

注意したところでそう言い返されることは目に見えているので、ハルはとりあえず思いっきり趣味に走らせてみようと自身を納得させます。自分とのお出かけプランを楽しげに立てている穹を見ながら、あるいは穹の禁断の封印の一つを解いたのではと思いながら。

~かっ飛ばせホームラン! すっころべしりもち~
「さてと……」という台詞で繋ぐことが多いハルの学校生活。何時間目、何時限目かは判りませんが、次の授業は体育だそうです。穂見学園では男女別々の教室で着替えるそうなので、ハルと亮平は隣のクラスへ移動。ほとんどの学校では形骸化してるよね、着替えるときの移動って。高校時代は教室の目の前に女子用の更衣室があったにもかかわらず、誰も使っていなかった。なんのために存在していたんだろう。
隣のクラスから着替えのために穹が来るも、なんだか眠そう。ハルが言うには昨晩は遅くまでネットしていたとかで、きっと気付いたら明け方とかそんな感じだったに違いない。電話料金と穹の体調を気にするハルですが、穹は多分大丈夫だといいます。とにかく女子が着替える教室にいつまでも居られないので亮平と共に廊下へ出ますが、亮平は穹が夜更かししていたらしいことに興味を覚えます。
携帯を持っていない学生が多いように、ネットの普及率も奥木染ではまだまだ少ないらしい。ただ、ネットで夜更かしがイコールでゲームに結びつくぐらいは、亮平にも知識があるみたい。とはいえ、穹はネトゲをやらないので亮平の想像は外れてます。パズルとか、静かなのしかやらないらしい。なんか穹はパソコンに入っているゲームだけで満足してそうなタイプだよね。
男子の体育はソフトボールと言うことで、ハルと亮平は守備についています。こういう場合、大抵ピッチャーを務めるのは軟式、硬式、もしくはソフトボール部に所属しているクラスメイトとなるのですが、ハルのクラスも例外ではないのか、ピッチャーが優秀なためちっともボールが飛んできません。あまりにも暇なので女子の方を見ると、女子はバレーボールをやっていました。穹、瑛、渚さんのチームみたいですが、穹は対球技用の結界を張っているのか全くボールを寄せ付けない。まあ、私もこの世にある球技とはボールから逃げることだと思っていますけど。
気を聞かせたのか、棒立ち状態の穹に瑛がボールをトスしてパスします。穹は突然のことに慌てふためきますが、ボールを落とすことなく片手で返します。遅球だったためか、相手チームが受け損なって得点に。しかもマッチポイント。瑛と渚さんだけで、どんだけ点数を取ったんだ。
ハルは穹が役立っていることに対し、純粋に感心しています。確かに珍しいけど、ここは亮平の言うとおり素直に喜んでおいた方が良いかと思う。ハルとしては、もう少し活発に動いて貰いたいようです。
そんな話をしている矢先、遂にピッチャーが打たれてボールが飛んできます。話に夢中になって、それも女子の方を見ていたハルと亮平は反応に遅れました。それどころかボールを避けてしまい、ハルは慌ててボールを取りに行きます。ボールは女子のほうまで転がっていき、ハルは恥ずかしさを憶えつつもボールを取ってくれるようにお願いしますが……

「何やってんの?」

低い声で応対したのは、穹でした。ボールは穹の爪先に辺り、静止しています。ハルが穹を見ていたように、穹もハルを見ていたのか、女子の体操服を眺めていたと勘違いされます。不機嫌な穹ですが、他のクラスメイトには会話の声が聞こえるわけもなく、試合中ということもあって男子からはハルを急かす声が。
もたもたしているわけにもいかず、ハルは正直にさっき見ていたのは穹だと言います。すると、穹の顔が見る見る赤らんでいき、表情が緩みます。まったく、判りやすいですね。ボールを返してもらい、亮平へと投げ返すハル。

「ハル……ボール投げるときだけは格好いいね」

委員長シナリオで明確に描写されてましたが、ハルは都会っ子であってもやしっ子ではないらしく、スポーツもそれなりに出来るみたいです。勉強よりは身体を動かす方が好きなんでしょうか、委員長の視線では筋肉もあるとかないとか。やひろシナリオでも、線が細いと思っていたら意外と……なんてことを言われてましたね。ただ、これは委員長及びやひろの主観であって、ハル本人は運動が得意じゃないと言っていますし、上記の台詞から察するに穹もそれは知っているはずです。つまり、実力はともかくフォームは良いよねってこと。
攻守交代して、ハルは2番目の打席に立ちます。運動は出来ても、野球やソフトボールの経験があまりないから、ボールをちゃんと見て打つことすらままならない。多分、相手のピッチャーも野球系の部活なんでしょう。速球を持ってハルを仕留めに掛かります。
女子のほうも試合の決着が付いたのか、穹はハルの打席を遠目に見ています。手なんか振っちゃって、ハルは自分に頑張れと言ってくれているのだと確信します。運動が得意ではないのを知っているのに期待してくれる穹、好きな人前では良いところを見せたくなるのが男というものです。ハルは気合いを入れて次なる打球に望みます。けれど、寸前まで穹に見とれていたせいか、今度は見逃しのストライク、2ストライクです。ラスト一球にすべてが掛かると言うことで、ピッチャーが放ったアンダースロー気味の打球を見事に捉えます。
不安そうな顔をする穹の前で、それを振り切るかのような軽快なヒット。すかさずハルは一塁めがけて走ります。ボールは二塁を越え、センター当たりに落下中。ハルは意を決して二塁ベースに向かいますが、そこで事件発生。

「きゃぁぁぁっ!?」

穹の悲鳴が、グラウンドに響き渡ります。二塁ベースを踏む直前、ハルも慌てて悲鳴のした方に振り向く。そこには、なんと穹が仰向けに倒れています。もはや試合どころではなく、軽く呻き声すら上げる穹に慌ててハルは駆け寄ります。まさか自分が打ったボールが当たったのか? 走るのに夢中だったハルはボールが最終的にどこに落ちたのかをみていません。痛みに蹲る穹と、心配するハル。けれど、そんなハルとは対照的に普段通りの笑顔を見せる瑛。拾ったボールを手渡します。
自分が打ったボールが、よりにもよって穹に当たってしまった。項垂れるハルですが、瑛は穹に声を掛けます。

「穹ちゃん、大丈夫? おしり打ったみたいだけど」

おしりにボールが命中したのか? と訝しがるハルですが、瑛が言うには穹はボールを蹴ろうとして失敗しただけらしい。足下に転がってきたボールを蹴ろうとして、見事に空振りしりもちをついたみたい。ボールが当たっていなくてハルは安堵しますが、どうして穹がそんな行動に出たのかが判りません。念のため保健室へ、という流れになって、穹はハルが連れて行ってくれと言い出します。こうなったのは、ハルのせいらしい。
なんでも、穹はハルが打ったボールを蹴り飛ばして、ホームランにしたかったらしい。その子供っぽい発想にハルは呆れますが、それでも自分のことを思ってしてくれたに違いはありません。ハルは穹の頼みを聞いて、保健室へと連れて行きます。

到着した保健室に人の気配はなく、校医もいませんでした。会議に出席していてお昼まで戻らないとのメモが残されています。特にすりむいたりしたわけでもないので、患部、つまりおしりを冷やせばいいだけと考えたハルですが、勝手に湿布とかを使っていいのかと悩みます。保険委員の子を呼んできたほうが良いのかなと考えますが、穹は無視してベッドに寝ころびます。湿布は臭いから嫌らしい。判る、判るよその気持ち。
おしりを打って悲鳴を上げた割には元気そうで、ベッドの上で足をパタパタ。あくまで心配するハルは、だったら氷で冷やそうかと提案しますが、穹はそれもいらないという。しかし、先ほど悲鳴を上げられたことが効いたのか、ハルは簡易的な氷嚢を用意すると、渋る穹をうつぶせに寝かせておしりに押し当てます。
冷たいと抗議する穹は、あろうことか「……もう痛くないもん……」と言い切ります。驚くハルですが、穹はおしりを打って悲鳴を上げ、変に注目されてしまったから逃げたかったそうです。そりゃ、恥ずかしいよね。ハルは脱力感に苛まれますが、「もっ、元はといえば……ハルがホームラン打たないからじゃない!」と穹は怒ります。理不尽なようにも聞こえますが、ハルが穹にいい格好を見せたかったように、穹もハルの格好いいところが見たかったんでしょうね。ぷーっと頬を膨らませます。
なんともなかったならそれで良し、それじゃあグラウンドに戻ろうかとハルは言いますが、それを聞いた穹は「やっぱり…痛い……」とベッドに寝ころびます。まだ照れが残っているのか、確かにすぐ戻ってもみんなから心配されるだけだからね。今度は自分からおしりに氷嚢を乗せるように良い、ハルはそれに従います。ここでハルがいたずら心を働かせ、他に痛いところはないかと探すついでに、穹のおしりの上に置いた手を撫でるように動かします。ここでのハルと穹のやり取り、穹は可愛いんだけどハルが少し単調だった。「はぁ?」っという聞き返しを2回も使うんだもの。
穹は疲れたから授業が終わるまで保健室で休んでいくと良い、ハルにも付き添うように言います。兄妹だから問題ないという理論です。押し切られ、思わず「うん」と言ってしまうハル。相変わらず甘いというか、穹には弱い。
落ち着いたところで、穹はハルが先ほど自分のおしりを撫で回したことを非難します。ハルは弁解しますが、穹はエッチな目で見ていたと、疑いようのない事実を突き付ける。そんなこと言われると余計に意識してしまうのが男というもの。穹の身体は何度も見たから、どこが色っぽくて可愛いとか、ぷにぷにしたやわらかさも知っていると、羨ましすぎることを考え出すハル。先ほども、ふっくらとした臀部を撫でたといい、ブルマのふくらみや細い足、さらには股まで見たそうです! ハルにしか許されないこととはいえ、さすがに羨ましくなってきた。
穹からは想像しているのがバレバレだと言われ、エッチとも言われますが、ハルとしては否定のしようもありません。そこに不意打ちで穹がキスをしてきて、動揺する間もなくベッドに押し倒されます。馬乗りになった穹がキスを繰り返し、保健室でのプレイを敢行します。

ヨスガノソラは学園物でしたが、校内で事に及ぶことは意外に少なく、校舎内と限定すれば渚さんのときに一度あっただけです。なので、穹との保健室エッチはシチュエーション的には王道ですが、ここまでの流れ的には珍しいとも言えるでしょう。
ハルカナソラの穹シナリオに特徴があるとすれば、エッチの際は必ず穹から始めると言うことです。穹がハルを攻めて、イカして、その後ハルが穹を攻めたてる。こういうところも対等というか、ハルと穹の関係性が良く表れている。
保健室でのフェラという、いつ誰が来るかも判らない状況。先生が戻ってくるかも知れないし、クラスメイトが様子を見に来るかも知れない。もしかしたら別の怪我人、病人が入ってくる可能性だってある。ハルはそんなシチュに興奮し、それを感じ取った穹もハルへの愛撫を強めます。穹曰く、ハルのあそこはいつも可愛いらしい。見た感じ、モノは大きいというより長めのようですが、穹曰く口の中で更に大きくなるらしい。
エロいシーンを事細かに書いても仕方がないので、ここら辺は実際にプレイしてください。ちなみにハルはバックからでした。かなりエロいよコンチクショウ。
思えばヨスガのときは誰一人としてブルマーでのイベントがなかったから、穹が初めてなんですよね。いや、良いもの見せて貰った。

~土曜の朝は、デートに行こう~
穹と出掛ける約束をしていた土曜日、ハルは普段学校に行くときよりも早くに目覚めます。早く起きた分、おめかしに時間を使えるとか、なんか発想が乙女です。というか、おめかしという表現が既にあれだ。
朝はコーヒーとかにして、出先でなにか食べようかと考えながら、ハルはキッチン兼食堂に向かう。するとビックリ、そこには既に穹がいて、朝食の仕度をしているではありませんか。髪を綺麗に纏めて、うっすらと化粧までしている穹。朝から気合い十分です。
朝食を取りながら、穹はハルに本日の行動プランのようなものを話します。電車の発車時刻と、目的地への到着時刻、お店の開店時間に効率よく回るための地図も用意。いつの間にそんなスケジュールを立てたのかとハルは驚きますが、穹はハルが行きたいお店もプランに組み込むから教えて欲しいといいます。普段は自分が段取りをするだけに、ハルは違和感に気持ち悪さを憶えています。いや、確かにいつもの穹とは声からして明らかに違うけど、好き相手に気持ち悪いという感想はどうなんだ。さすがに失礼だろうw
それでも自分と出かけることが楽しそうな穹に、ハルも頑張って楽しい一日にしようと思います。急いで朝食を取り、早速準備開始です。

「ハルぅ、まだ行かないの?」

電車の時間に間に合わない、と文句をいう穹。こういう場合、男女どちらがもたつくことのほうが良いのか知りませんが、ハルの場合は理由が凄いです。窓に映る自分の姿を確認して、ギリギリまで髪の手直しをしているという……いや、本当にお洒落さんなんだね。
玄関の鍵を閉めて、さて行くかというところにやってきたのは郵便屋さん。ハルはすっかり忘れていたようですが、例の転送されてきた郵便物です。とりあえず時間もないから届いた手紙の束をポストに入れますが、ハルは英字で書かれた手紙に興味を覚えます。
郵便屋さんとのやり取りもあったためか時間は割とギリギリで、穹はハルが髪を弄っていたせいだと言います。なかなか決まらなかったと言い返すハルですが、そうなんだ、髪って決めるものなんだ。ダメだね、自身の外見に対して興味が持てないってのは。
早足で家から出ると、今度は瑛と出会します。仕事の途中か、自転車乗っている瑛に目を付けた穹は、駅まで乗せてくれるように頼みます。あっさり了承する瑛に、穹は荷台にちょこんと座ると、ハルに先に行っているからと宣言します。二人乗りとはいえ、自転車はさすがに速い、速い、ハルは折角セットした髪が乱れることに嘆きながらもダッシュで追いかけます。追いつくことは意外に容易で、というか瑛の自転車は道ばたで何故か停車中。訝しがるハルですが、瑛はハルを待っていたと言います。

「二人ともっ、じゃーんけーん!」

驚く二人に、瑛はジャンケンを要求し、勢いに飲まれた二人は思わずジャンケン。ハルが勝って、穹が負け。だから今度はハルを乗せてあげると瑛は言います。30回漕いだら、また交代だと。
ハルと穹のジャンケン&追い駆けっこが始まった! 穹は体力あるわけでもないのに朝から凄いハードですね。瑛の当てつけ、というわけではないでしょうが、瑛もなかなか厳しい仕打ちです。
穹が勝ち、ハルが勝ち、そんなことを繰り返しながらも駅の近くに辿り着き、最後のジャンケンには瑛も参加します。三人によるジャンケンの結果、ハルと穹が勝ったので二人で自転車に。機嫌が悪かった穹も、ヨスガの頃から期待していたハルが漕いでくれる自転車に乗るという願いを果たすことが出来て、若干気分が良くなります。もはや、瑛が負けたことすら彼女の計算ではないかと思えてくるハル。確かに、穹はハルと瑛が二人乗りをすることにも気を悪くしていたようですし、瑛がそれを察した可能性もなくはない。
自転車乗せて貰ったおかげで遅刻するようなこともなく、電車が来る10分前に駅へと到着します。追いついてきた瑛に礼を言いつつ、「今日は二人ともデートなんだね」と指摘を受けます。特に意識していなかったのか、それとも気恥ずかしかったのか、穹は乗せて貰ったお礼にお土産を買ってくると言いますが、瑛は笑ってそれを謝絶、用事を済ませたら渚さんとデートをするといってその場を立ち去りました。
改めて人からデートといわれると、二人とも強く意識してしまうようで、穹の顔は真っ赤になっています。「デート……ハルと……デート」と恥ずかしがる姿は絶品ですね。


さて、2万字を突破してもまだ書き上がらないので、次の日記に回そうと思います。さすがに後2万字もあれば書き上げることも出来るでしょうし、今週中にはなんとか終わらせたいと思います。それではまた次回、蒼穹の果てに完結編で。

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