コンプエース版ヨスガノソラ 第8話「思い出の爪痕」
2010年4月26日 ヨスガノソラ
今月号は巻末にコミックスの表紙が載っていました。穹と瑛の二人が背中合わせで経っているという絵柄で、1巻が瑛シナリオであることを考えると当然ですね。瑛が笑顔なのは陶然としても、穹も微笑を浮かべており、水風天の絵で笑顔の穹を見たのは初めてかも知れない。どちらも可愛くて良い感じです。特典等は記載されてなかったけど、ペーパーとかポスカなんかついてくると嬉しいですね。この際、描き下ろしじゃなくてもいいし、そもそも描き下ろしを用意するだけの時間があったかどうか。その辺りは書店のページを逐一チェックするしかなさそうですね。
いきなりハルの逆レイプレイプシーンから始まった第8話。相手は当然奈緒であり、ハルはうめき声をあげながら涙を流しており、泣いています。背格好は幼少期を感じさせる原作と違い、コミカライズにこれまで登場したハルとあまり大差はない。下着が脱ぎ散らかされた部屋で、奈緒に犯されるハル。正直、コンプエースでこんな風に逆レイプを描写してくるとは思いませんでした。しかも絵で見ると、結合部などが描かれていないにもかかわらずかなり生々しい。原作の場合、逆レイプと騒がれてはいても、犯されているハルが絵として登場するわけじゃないですからね。けれど、水風天はこうして逆レイプとして描いているわけで、涙を流しているハルを犯し続ける奈緒は淫猥すぎる表情をしています。
「秘密だよ。二人だけの秘密…」
それは消えることのない記憶――ハルは悪夢から目を覚まします。息は荒く、片手で頭を抑える表情はどこか忌々しげ。
「あの時の…」
不快感を滲ませるハルの前に、穹が現れます。
「ハル、どうかした?」
心配そうな表情を浮かべる穹に、心配はかけまいとするハル。「何でもないよ」と答えてやり過ごしますが、穹の表情は沈んでいる。あるいは、うなされていたのかも知れませんね。それも一度や二度じゃないとか。穹が心配するほどには、ハルの中で過去の逆レイプはトラウマとなっているのでしょう。ハルはそれ以上の話題を避け、既に午前11時1分を回った時計を目に向ける。夏休みに入ってダラけていると感じながら、今日は移動スーパータカノが来る日ということでハルは出かけようとします。
「私が行く。今日は私が作る」
ハルのことが心配なのか、穹は率先して自分で動こうとします。コミカライズの穹は瑛に料理を教わっているという設定があるので、既にある程度の家事は出来るんですよね。
「本当に? 助かるよ。最近よく手伝ってくれるよなぁ」
「べ、別に…」
「でも一緒に行くよ。荷物重いだろ?」
「…うん」
このときの穹の微笑! 優しさと慈愛に満ち溢れた笑みは、水風天特有の線の細さも相成って見事なまでの可愛らしさを表現しています。いや、さすがとしか言いようが無い。
到着したスーパータカノで、ハルは大根を買います。いや、大根以外にも色々買ってるんだろうけど、なにせ次のシーンでは色々入っているはずの買い物袋がどこかに消えているから……まあ、それはいいとして原作でも茶目っ気を見せているタカノの親父が、「お、今日はカップルで買い物かい? うらやましいね~」なんて風にハルと穹を茶化してきます。
「ち、違います。こいつは妹で…」
焦るハルに対し、タカノ親父は軽く流してサービスしてくれます。このとき、ハルと対照的に穹の表情は見えません。
「カップルだって。まったく…次に行くとき恥ずかしいよ…」
「……私は…別に……」
帰り道、穹はカップルと間違われたことへまんざらでもない表情を見せます。このときの表情もまたいいんですけど、小さな呟きはハルに届かず、別の声が割り込んできます。
「あれ? はるちゃん!」
同じく買い物帰りの奈緒が現れました。挨拶程度の笑みを見せるハルに対して、穹は途端に険しい表情となります。
「奈緒ちゃんも来てたんだ」
「うん。入れ違いだったのかな」
仲睦まじそうに話す二人を、穹が遮ります。ハルの手をつかみ、引っ張っていく。
「行こう、ハル」
「ちょ…おい、穹!」
強引な穹に驚き、戸惑、ハルは穹の肩をつかんで引き止めます。
「穹! お前、奈緒ちゃんの前だと変だぞ?」
いい加減、ハルだって穹の態度がおかしいことに気づいたのでしょう。奈緒の前だと態度を翻し、瑛などとは違い敵意を剥き出しにする。なにかあったのか、あったとしてそれはなんなのか、気づくことの出来ないハルは問いかけますが……
「何で? 何でそんなヤツに優しくするの?」
態度に思うところがあったのは、穹も同じです。奈緒に対するハルの態度、それは彼女にとって許容出来ないものだった。
「ハルはそいつのせいで…」
「何言って…」
「知ってる。私見てたもん」
「二人がセックスしてるとこ」
突きつけられた言葉は、ハルに言いようの無い衝撃をもたらしました。言葉もなく、目の色すら失ってハルは穹の言葉を聞きます。
「最初は何してるかわからなかった。遊んでるだけかと思った」
「でもの、その後パパたちに話したら大騒ぎになって、その時悪いことだってわかった」
「やっぱりこの町に来なければ良かった」
「私はあたなを許さない! 絶対に!!」
断言する穹に、奈緒は血の気を失って言葉もなく立ち尽くします。衝撃が身体を駆け抜けたハルは、それでも穹に言葉をかけようとしますが、穹は取り合わない。
「ほら、早く帰ろ!! もう二度とハルの前に現れないで!!」
叫ぶ穹に、ハルが掴みかかりました。自分ではなく奈緒を避難する穹に、忌まわしい過去を知っていた妹に、自分が被害者なのかすらもわからない少年は怒りと焦りをにじませた。
「言い過ぎだぞ穹! 奈緒ちゃんに謝れ!!」
ハルの形相に穹は圧倒されかけますが、滲みでる怒りは、この期に及んで奈緒を庇おうとする姿に穹も言葉を叩きつけます。
「バカハルッ!!!」
激昂し、その場を駆け去る穹にハルの声は届かない。引き止めることもかなわず、穹はどこかへ行ってしまった。
「穹ちゃん、知ってたんだね」
「……僕も…知らなかった」
穹の去った道端で、バス停のベンチに腰掛けるハルと奈緒。二人は、消せない記憶、忌まわしい過去を振り返る。
「身勝手だよね…私。あの日のことをなかったことにしようとしてた」
「あの頃、うちの家族の仲がギスギスしてて…つらくて。居場所なんてないと思った」
「だからあの日、はるちゃんに甘えたんだ」
明かされる奈緒の真実は、原作とはまた違う理由。原作と違ってそれらしい理由付けがなされています。奈緒が両親と不仲であることは変わりませんが、原作ではハルへの思いの増大による暴走という側面が強く出ていたから、ハルに逃げたという表現は結構新鮮かもしれない。
「……でも、すぐにとんでもないことをしたってと思った」
後悔するぐらいなら初めからするなといいたいが、この件が親バレして検査等を受けることになった流れは原作と変わらない。けれど、親に怒られた奈緒に手を差し伸べたのは、ハルの両親ではなく祖父だった。
「春日野先生は優しかった。みんなが君をしかるのは、君のことが大切だからだよって」
怒ってもらえてよかったな、そのように言ったハルの祖父の言葉を思い出し、奈緒は泣き出します。レイプ被害者であるハルとしてはなんとも言えない話であるが、奈緒はかなり思い詰めている。
「でも、やっぱり私は許されちゃいけないんだね。私は…はるちゃんだけじゃなくて、穹ちゃんまで傷つけて…」
「大丈夫」
奈緒の言葉をハルが遮りました。ハルにとっては微妙かつ複雑な話題ですが、踏み込まないわけにいきません。
「ちゃんと話せば穹だって…僕も同じだ。穹のことずっと傷つけてた」
「何も知らなかった。知ろうともしてなかった。奈緒ちゃんのことも、穹の気持ちも」
「はるちゃ…」
「行こう。きっと家だよ」
家に戻ったハルと奈緒ですが、どうやら買い物袋は穹が持って帰ってきたらしい。手ぶらで立ち去ったような気がしたけど、実はそうじゃなかったのか。探した方がいいという奈緒の言葉を受け、一先ず二手に別れます。
穹を探し回るハルですが、その名を叫んでも穹は一向に見つかりません。やがて雨も降ってきて、ハルの心は焦りを覚え始めます。
――僕はバカだ。今までずっと逃げてたんだ
――あいつの奈緒ちゃんへの態度は全部…全部…僕のせいじゃないか
レイプ被害者の妹がレイプ犯を嫌っても何ら問題はないし、不思議もないと思いますが、ハルは自分のせいだと思ったらしい。この辺のハルの心情が、少し弱いような気もした。どうしたって合意の上じゃないんだし、原作の穹ルートじゃあたかも興味本位で行為に及んだみたいに書かれたけど、それはどうしたって嘘でしかないわけで。
「くそっ、そ――」
「ハルッ」
ハルの後ろから、穹が駆け寄ってきました。どこに行っていたのか、それを訊ねる間も与えられず、穹が先に言葉を紡ぎます。
「ハル、お願い! 早く来て!!」
呆気にとられるハルの手を引き、穹が向かった先はバス停でした。停車中のバスは穹が止めていたもので、ハルは車内へと押し込まれた。いつにない行動力に、ハルは流されることしか出来ません。
発車するバスの車内で、ハルは穹の真意を問いただそうとします。
「穹…お前」
「帰ろうハル。ここに居ちゃだめなの」
浮かべるその表情はどこまでも冷たく、瞳は鋭くハルを見据えている。
「戻ろう、私たちの街へ」
穹の決意と決断にハルはどう応えるのか、ということろで次回に続く。
急展開、というほどでもなかったと思います。やっときたかという感じではあるし、奈緒編も次回で終わりでしょう。少なくとも、ハルと奈緒の間では既に決着がついている。いや、ハルが強制的につけたと言ってもいいでしょう。今回の話を見て思うのは、奈緒による逆レイプを、ハルは受け入れきれてない部分があるということです。忌々しい夢と思うほどにはトラウマとなっており、ハルが穹に掴みかかったのは、あるいは奈緒を庇うためではなく、思い出したくない過去から目を背けるためではなかったのか?
いずれにせよ穹は動いた。後はハルがどのように対応するかであり、私としては一度奥木染を離れて二人でゆっくり話しあうのも手ではないかと。原作にあった両親の初盆もあることだし、都会に行く理由がないわけじゃない。
まあ、その可能性は低いだろうけど、奈緒の決着がつくにしても、それだけで春日の兄弟の結び付きが強いものになるだろうか? 今ひとつ、足りないような気がする。まさか穹がハルを押し倒すわけにもいかないだろうし、キスを既に済ませたい上、なにをキッカケとするつもりなのか。再来月には委員長こと倉永梢がハルにアプローチを掛けてくるのか、夏祭りも済ませたのになにかイベントはあったか、オリジナル展開による導入も十分ありえますね。
コミックスの表紙も出て、私は凄い満足しています。唯一残念なのは日記でのレビューが一日遅れてしまったことですが、某大型電子掲示板と合わせて素早い更新を心がけたいものです。
いきなりハルの逆レイプレイプシーンから始まった第8話。相手は当然奈緒であり、ハルはうめき声をあげながら涙を流しており、泣いています。背格好は幼少期を感じさせる原作と違い、コミカライズにこれまで登場したハルとあまり大差はない。下着が脱ぎ散らかされた部屋で、奈緒に犯されるハル。正直、コンプエースでこんな風に逆レイプを描写してくるとは思いませんでした。しかも絵で見ると、結合部などが描かれていないにもかかわらずかなり生々しい。原作の場合、逆レイプと騒がれてはいても、犯されているハルが絵として登場するわけじゃないですからね。けれど、水風天はこうして逆レイプとして描いているわけで、涙を流しているハルを犯し続ける奈緒は淫猥すぎる表情をしています。
「秘密だよ。二人だけの秘密…」
それは消えることのない記憶――ハルは悪夢から目を覚まします。息は荒く、片手で頭を抑える表情はどこか忌々しげ。
「あの時の…」
不快感を滲ませるハルの前に、穹が現れます。
「ハル、どうかした?」
心配そうな表情を浮かべる穹に、心配はかけまいとするハル。「何でもないよ」と答えてやり過ごしますが、穹の表情は沈んでいる。あるいは、うなされていたのかも知れませんね。それも一度や二度じゃないとか。穹が心配するほどには、ハルの中で過去の逆レイプはトラウマとなっているのでしょう。ハルはそれ以上の話題を避け、既に午前11時1分を回った時計を目に向ける。夏休みに入ってダラけていると感じながら、今日は移動スーパータカノが来る日ということでハルは出かけようとします。
「私が行く。今日は私が作る」
ハルのことが心配なのか、穹は率先して自分で動こうとします。コミカライズの穹は瑛に料理を教わっているという設定があるので、既にある程度の家事は出来るんですよね。
「本当に? 助かるよ。最近よく手伝ってくれるよなぁ」
「べ、別に…」
「でも一緒に行くよ。荷物重いだろ?」
「…うん」
このときの穹の微笑! 優しさと慈愛に満ち溢れた笑みは、水風天特有の線の細さも相成って見事なまでの可愛らしさを表現しています。いや、さすがとしか言いようが無い。
到着したスーパータカノで、ハルは大根を買います。いや、大根以外にも色々買ってるんだろうけど、なにせ次のシーンでは色々入っているはずの買い物袋がどこかに消えているから……まあ、それはいいとして原作でも茶目っ気を見せているタカノの親父が、「お、今日はカップルで買い物かい? うらやましいね~」なんて風にハルと穹を茶化してきます。
「ち、違います。こいつは妹で…」
焦るハルに対し、タカノ親父は軽く流してサービスしてくれます。このとき、ハルと対照的に穹の表情は見えません。
「カップルだって。まったく…次に行くとき恥ずかしいよ…」
「……私は…別に……」
帰り道、穹はカップルと間違われたことへまんざらでもない表情を見せます。このときの表情もまたいいんですけど、小さな呟きはハルに届かず、別の声が割り込んできます。
「あれ? はるちゃん!」
同じく買い物帰りの奈緒が現れました。挨拶程度の笑みを見せるハルに対して、穹は途端に険しい表情となります。
「奈緒ちゃんも来てたんだ」
「うん。入れ違いだったのかな」
仲睦まじそうに話す二人を、穹が遮ります。ハルの手をつかみ、引っ張っていく。
「行こう、ハル」
「ちょ…おい、穹!」
強引な穹に驚き、戸惑、ハルは穹の肩をつかんで引き止めます。
「穹! お前、奈緒ちゃんの前だと変だぞ?」
いい加減、ハルだって穹の態度がおかしいことに気づいたのでしょう。奈緒の前だと態度を翻し、瑛などとは違い敵意を剥き出しにする。なにかあったのか、あったとしてそれはなんなのか、気づくことの出来ないハルは問いかけますが……
「何で? 何でそんなヤツに優しくするの?」
態度に思うところがあったのは、穹も同じです。奈緒に対するハルの態度、それは彼女にとって許容出来ないものだった。
「ハルはそいつのせいで…」
「何言って…」
「知ってる。私見てたもん」
「二人がセックスしてるとこ」
突きつけられた言葉は、ハルに言いようの無い衝撃をもたらしました。言葉もなく、目の色すら失ってハルは穹の言葉を聞きます。
「最初は何してるかわからなかった。遊んでるだけかと思った」
「でもの、その後パパたちに話したら大騒ぎになって、その時悪いことだってわかった」
「やっぱりこの町に来なければ良かった」
「私はあたなを許さない! 絶対に!!」
断言する穹に、奈緒は血の気を失って言葉もなく立ち尽くします。衝撃が身体を駆け抜けたハルは、それでも穹に言葉をかけようとしますが、穹は取り合わない。
「ほら、早く帰ろ!! もう二度とハルの前に現れないで!!」
叫ぶ穹に、ハルが掴みかかりました。自分ではなく奈緒を避難する穹に、忌まわしい過去を知っていた妹に、自分が被害者なのかすらもわからない少年は怒りと焦りをにじませた。
「言い過ぎだぞ穹! 奈緒ちゃんに謝れ!!」
ハルの形相に穹は圧倒されかけますが、滲みでる怒りは、この期に及んで奈緒を庇おうとする姿に穹も言葉を叩きつけます。
「バカハルッ!!!」
激昂し、その場を駆け去る穹にハルの声は届かない。引き止めることもかなわず、穹はどこかへ行ってしまった。
「穹ちゃん、知ってたんだね」
「……僕も…知らなかった」
穹の去った道端で、バス停のベンチに腰掛けるハルと奈緒。二人は、消せない記憶、忌まわしい過去を振り返る。
「身勝手だよね…私。あの日のことをなかったことにしようとしてた」
「あの頃、うちの家族の仲がギスギスしてて…つらくて。居場所なんてないと思った」
「だからあの日、はるちゃんに甘えたんだ」
明かされる奈緒の真実は、原作とはまた違う理由。原作と違ってそれらしい理由付けがなされています。奈緒が両親と不仲であることは変わりませんが、原作ではハルへの思いの増大による暴走という側面が強く出ていたから、ハルに逃げたという表現は結構新鮮かもしれない。
「……でも、すぐにとんでもないことをしたってと思った」
後悔するぐらいなら初めからするなといいたいが、この件が親バレして検査等を受けることになった流れは原作と変わらない。けれど、親に怒られた奈緒に手を差し伸べたのは、ハルの両親ではなく祖父だった。
「春日野先生は優しかった。みんなが君をしかるのは、君のことが大切だからだよって」
怒ってもらえてよかったな、そのように言ったハルの祖父の言葉を思い出し、奈緒は泣き出します。レイプ被害者であるハルとしてはなんとも言えない話であるが、奈緒はかなり思い詰めている。
「でも、やっぱり私は許されちゃいけないんだね。私は…はるちゃんだけじゃなくて、穹ちゃんまで傷つけて…」
「大丈夫」
奈緒の言葉をハルが遮りました。ハルにとっては微妙かつ複雑な話題ですが、踏み込まないわけにいきません。
「ちゃんと話せば穹だって…僕も同じだ。穹のことずっと傷つけてた」
「何も知らなかった。知ろうともしてなかった。奈緒ちゃんのことも、穹の気持ちも」
「はるちゃ…」
「行こう。きっと家だよ」
家に戻ったハルと奈緒ですが、どうやら買い物袋は穹が持って帰ってきたらしい。手ぶらで立ち去ったような気がしたけど、実はそうじゃなかったのか。探した方がいいという奈緒の言葉を受け、一先ず二手に別れます。
穹を探し回るハルですが、その名を叫んでも穹は一向に見つかりません。やがて雨も降ってきて、ハルの心は焦りを覚え始めます。
――僕はバカだ。今までずっと逃げてたんだ
――あいつの奈緒ちゃんへの態度は全部…全部…僕のせいじゃないか
レイプ被害者の妹がレイプ犯を嫌っても何ら問題はないし、不思議もないと思いますが、ハルは自分のせいだと思ったらしい。この辺のハルの心情が、少し弱いような気もした。どうしたって合意の上じゃないんだし、原作の穹ルートじゃあたかも興味本位で行為に及んだみたいに書かれたけど、それはどうしたって嘘でしかないわけで。
「くそっ、そ――」
「ハルッ」
ハルの後ろから、穹が駆け寄ってきました。どこに行っていたのか、それを訊ねる間も与えられず、穹が先に言葉を紡ぎます。
「ハル、お願い! 早く来て!!」
呆気にとられるハルの手を引き、穹が向かった先はバス停でした。停車中のバスは穹が止めていたもので、ハルは車内へと押し込まれた。いつにない行動力に、ハルは流されることしか出来ません。
発車するバスの車内で、ハルは穹の真意を問いただそうとします。
「穹…お前」
「帰ろうハル。ここに居ちゃだめなの」
浮かべるその表情はどこまでも冷たく、瞳は鋭くハルを見据えている。
「戻ろう、私たちの街へ」
穹の決意と決断にハルはどう応えるのか、ということろで次回に続く。
急展開、というほどでもなかったと思います。やっときたかという感じではあるし、奈緒編も次回で終わりでしょう。少なくとも、ハルと奈緒の間では既に決着がついている。いや、ハルが強制的につけたと言ってもいいでしょう。今回の話を見て思うのは、奈緒による逆レイプを、ハルは受け入れきれてない部分があるということです。忌々しい夢と思うほどにはトラウマとなっており、ハルが穹に掴みかかったのは、あるいは奈緒を庇うためではなく、思い出したくない過去から目を背けるためではなかったのか?
いずれにせよ穹は動いた。後はハルがどのように対応するかであり、私としては一度奥木染を離れて二人でゆっくり話しあうのも手ではないかと。原作にあった両親の初盆もあることだし、都会に行く理由がないわけじゃない。
まあ、その可能性は低いだろうけど、奈緒の決着がつくにしても、それだけで春日の兄弟の結び付きが強いものになるだろうか? 今ひとつ、足りないような気がする。まさか穹がハルを押し倒すわけにもいかないだろうし、キスを既に済ませたい上、なにをキッカケとするつもりなのか。再来月には委員長こと倉永梢がハルにアプローチを掛けてくるのか、夏祭りも済ませたのになにかイベントはあったか、オリジナル展開による導入も十分ありえますね。
コミックスの表紙も出て、私は凄い満足しています。唯一残念なのは日記でのレビューが一日遅れてしまったことですが、某大型電子掲示板と合わせて素早い更新を心がけたいものです。
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