コンプエース版ヨスガノソラ 第10話「雨降って、地固まらず」
2010年6月26日 ヨスガノソラ
春日野穹bot→URL:http://twitter.com/sora_k_bot
表紙の影響か、結構売れてるみたいですね。巻頭のカラーページにヨスガノソラのアニメ化について載ってたけど、情報量としてはアニメ誌のそれと大差ありませんでした。ただ、記事としての文章がニュータイプより微妙だと感じてしまった。言いたいことというか、書きたいことは判るんだけど、なんかずれているというか、仮にもコミカライズやってるところがこれでいいの? という感じ。
一応、以下が引用になるけど、
なんかもう、私がなにか言うまでもなく突っ込みどころ満載な文章なんだけど、ヨスガに感動モノとしての、所謂泣きゲー要素なんてあったかしら。てっきり穹をはじめとしたヒロインの可愛らしさ、ハッシー原画が凄く受けた作品と認識してるんだけど。私はヨスガノソラのシナリオ好きだけど、それでも多くの感動を呼んだ名作がこの秋、ついにアニメで登場! なんて書かれると、違和感を感じずにはいられない。
まあ、それはともかくとしてコミカライズの第10話。重要なイベントをほとんど消化してしまったあとで、どのように穹ルートへ入るのかと思っていましたが、予想通りオリジナル展開で事を運び始めました。
夏休みはまだ続いていて、隣町のアーケード街に出かけたハルとその友人たち。なんの罰ゲームか、ハルが女装の刑にあっており、よりにもよってミニスカートを履いている。ハルの手足はやっぱり細めだなぁと思いつつ、ミニスカ履くぐらいだから毛もほとんど生えてないんでしょうね。ハルはよっぽど嫌なのか泣いてしまっていたけど、その可愛らしい姿に女性陣と亮平は絶賛。奈緒が盛り上がり、渚さんが顔を赤らめるのは判るんだけど、委員長が目を輝かせているのは意外だった。委員長はなんていうか、ハルにカッコ良さを求めていると思ったから。
「うぅ…なんで僕が…」
奈緒に可愛いと絶賛されるハルだけど、その反応はさらに嫌だと涙を流す。亮平に至っては食べちゃいたいぐらいと発言し、「亮平…ちょっと近づかかないでくれる?」と涙目のハル。
「ほんと…かわいい」
「似合ってるよ、ハル」
呟く穹の表情は、どこか余裕と優越感に満ちたもの。底の知れない笑みには違和感があり、可愛らしさ以上に感じるものがある。
「穹…」
穹の言葉に頬をかくハル。このときの穹の衣装はツインテールに黒スカート、銀十字のアクセサリーが付いた原作ではおなじみの私服だけど、実はコミカライズでは今回が初出になります。正確にはコミックスの描き下ろしで既に描かれてるけど、本編では初めて。前回、奈緒シナリオのバスの下りがあったけど、原作ではこの至福を着ているはずのシーンも、コミカライズではいつもの白一色の私服だったから、こんな風に縦ブチ抜きで穹の私服の全体像が描かれるのはいいもんですね。
「じゃあ次は私のセレクトで」
背景文字によるとゴスロリらしい服装をハルに差し出す穹。どこらへんがゴスロリなの? とかは言ってはいけません。
「いや、もういいって!!」
拒むハルだけど奈緒に捕まってしまい、虚しい叫び声だけが響くのだった。
「あの時は笑ったなー」
所変わって奥木染。どうやら改装だったらしい服屋での下りを、ハルが現像した写真を見ながら思い出し笑いをする亮平。その場には奈緒の姿もあり、口ぶりから察するに、となmり街へと出かけたのはちょっと前のことらしい。
「あれ? 女装写真が入ってない…」
「入れるわけないでしょ」
残念がる奈緒に、穹ちゃんも喜んでいたのにという亮平。
「そういえば、穹ちゃんは?」
「あ、ああ、家だよ…」
穹のことに触れられ、ハルの表情が微妙妙に変化する。歯切れも悪くなり、それ以上話したくないのかその場を後にしてしまう。
「…街に行ったとき思ったんだけどさ」
帰るハルの後ろ姿を見ながら、亮平が奈央に対して呟きます。
「穹ちゃん、悠のこと本当に好きなんだな」
「いまさら何言ってるのよ」
「まぁ、あの様子を見ればな」
街へ遊びに行ったときなにがあったのか、穹のハルへの思いを強く感じさせるような、そんな出来事があったのでしょうか? 原作にないイベントだけに想像するしかないけど、委員長シナリオにおけるデートシーンの穹とか、その辺りかな。せっかくのオリジナル展開なんだし、その部分をしっかり描いても良かった気がする。最初の罰ゲームシーンだけじゃ、イマイチ伝わりづらいし。
「はるちゃんのこと、大事に思ってるのよ」
「悠のヤツは、どう思ってるのかね」
穹はハルのことが好き、これに関しては亮平でなくても、例えば渚さんや委員長であっても気づいていることでしょう。しかし、それはあくまで兄妹としてであり、穹のハルに対する気持ちは度を越したブラコンのようなものだと思われているに違いありません。ブラコンやシスコンがどれぐらい珍しいのかは知りませんが、穹の感情の爆発を直接叩きつけられた奈緒でさえ、その深みに気づくことは出来ませんでした。これはハルと穹の境遇が関係していると思われ、原作の奈緒も言っていましたが、穹の言動は両親を失い、最後の家族となったハルを捕られまいとするため、そのように周囲は解釈していたのでしょう。親もおらず、頼れるものはハルだけ。そりゃあ、ブラコンにもなるさと、そんな感じで。
けれど、穹がハルに抱いていたのは、妹が兄に対して抱く親愛以上のものがあって、ハルはそれに気づきかけていたのです。
「なんか…入りづらいな…」
最近…穹の態度が変わってきた気がする。呟くハルの表情は重く、自宅に入るのさえためらってしまうほどだった。
「なんとなく…決まづいんだよな」
奈緒との関係を清算させてからなにがあったのか、キス以上にハルが困惑するような出来事が、二人の間で繰り広げられていたということでしょうか? 流れとしては判るんだけど、今回は少し唐突感のある展開が多かったかも。
「ただいまー」
恐る恐る家に入るハルだけど、それを聞きつけた穹がすぐさまドタドタと走ってきます。
「ハルッ。ハル! どこ行ってたの!?」
まさに血相を変えて、という表現がふさわしい穹の態度。怒ってはいないにせよ、その勢いにハルは焦ります。
「いや…みんなに写真渡しに…」
「そう…なんだ。もう…ひとこと言ってよね」
「あ…うん…」
穹に行き先も告げずに黙ってだけてしまう辺り、ハルは穹と会話することにかなりの気まずさを、一方的ではあるにせよ感じているのかもしれません。
「お昼ごはん作ったから、早く食べてね」
「……」
穹が自分から料理をすることは、原作でもあったことです。あれは朝食だったけど、普段は面倒くさがりで自分からなにをしようともしない穹が、積極的に家のことを手伝ってくれる。喜んでもいいはずのことに、ハルはなぜだか困惑が隠せない。
「おいしい?」
「う、うん」
「ハルの好きな物ばかりだから、たくさん食べてね」
数日前からの違和感。
「ほら、こっちも」
「いいから」
「むぐっ」
無理矢理、穹にスプーンを突っ込まれるハル。積極さを通り越した、強引さ。
「ふふっ」
満面の笑みを浮かべている穹。
どこか…甘えるような、すがるような、正直どう接していいのか戸惑っていると、ハルは妹の変化に動揺しています。
穹は珍しく、というより原作・コミカライズ通して初めて髪を一つ縛りにして洗い物をし始める。
「ねぇハル、午後なんだけどいっしょに…」
「え!? あ…えっと…」
穹がなにを言おうとしたのか、ハルと一緒にどこかへ行きたかったのか、それともなにかしたかったのか、それはわかりません。
「そうだ!! 天女目にも写真を渡さないと」
「そんなの、いつでも…」
ハルの行動は、明らかに穹の言葉を遮る目的で発せられたもの。
「いや、早めに渡しときたいしさ。今から行ってくるよ」
「あっ、ハル!」
バタンと扉が閉まり、逃げるように家を出て行ってしまうハル。穹には、そんなハルを止めることができませんでした。
「あ…」
ぎりっと、歯ぎしりをする穹。先程まで満面の笑みを見せていたはずなのに、それが吹き飛んでしまうほどきつく強烈な表情をみせている。怒りと苛立、思い通りに行かないことへの不満。穹がここまでの表情を見せるとは、正直思いませんでした。
「ハル…」
真っ暗な画面に、ただ名前を呟くふき出しだけが映る。まるで心が闇に紛れたような、そんな穹の心境や深みを映し出しているようで、寒気を覚えた。
瑛に写真を渡すといった手前、ハルは叉依姫神社を訪れていました。
「逃げてる…よな。どう見ても…」
自分が穹から逃げたことに、ハルは自覚を持っていました。兄が妹から逃げるなんて、普通であればあり得ないこと。だけどハルは穹と一番近くにいるせいか、穹が見せ始めた危険性を、ある種の違和感として肌で感じ始めていたのでしょう。それは6話におけるキスもそうだし、この数日間でもっと色々なことがあったのかもしれません。
ハルは神社の境内で、猫の師匠を見つけます。相変わらず堂々とした姿に、腰をかがめて話しかけてみることに。
「気楽でいいねぇ。悩みなんかないんだろ?」
師匠がなにかを悩んでいるかはともかく、少なくともハルには悩みごとがあります。
「なにやってるの?」
「天女目…」
「いらっしゃい、ハル君」
瑛もまた笑顔を浮かべているが、それは穹の浮かべていたものと、まったく異なるもの。この前の写真を渡そうと思って、と立ち上がるハルに、瑛は感謝の言葉を示します。
「……女装の写真はないの?」
「ないよ!!」
そのまま帰らず、縁側にてお茶を頂くハル。今日も暑いねぇなんて、平凡なことを呟きながらお茶を飲むハルに、瑛はなにかを感じたのでしょう。
「……何か悩み?」
瑛の鋭い指摘に、ハルの表情が固まります。
「何か言いたそうな顔してるよ」
「天女目…」
「あたしでよければ、相談にのるけど」
「ありがと」
人の心を読むのが上手い瑛に見透かされ、ハルはポツリポツリと自分の悩みを打ち明けます。
「穹のことなんだけどさ」
「穹ちゃん?」
「なんか最近、様子がおかしいんだ。家のこと手伝ってくれるのはうれしいけど…妙に僕にかまってくるし……どうしたんだろうなって…」
普通であれば考えすぎ、悩みであるとさえ思われないようなハルの悩み。家のことを手伝ってもらっているのだからそれでいいじゃないか、贅沢な奴だと、そんなことを言われてもおかしくはない。
「……そうだね、あたしに言えるのは」
瑛は穹の気持ちにどこまで気づいているのか、それが許されることではないと分かっているからなのか、悩みを打ち明けるハルに対し、僅かながら悲痛な表情を見せます。おそらく瑛はハルよりも早く、穹の心の中や感情を読み取っていたのでしょう。
「穹ちゃんのことをちゃんと見てあげて」
「そうなった理由が何かあるはずだよ。ちゃんとそばで見てあげて」
「どんな形であれ、穹ちゃんにはハル君が必要なんだよ」
この時点で、瑛はさり気なくですが、穹が兄以外の形としてハルを必要としていることに言及しています。けれど、ハルはそこまで気づくことができません。
「ありがと。少し気が楽になったよ」
「そう? 良かった」
「天女目は何でもお見通しな気がするなぁ」
ハルもまた、何気なくですが瑛という少女の本質を理解し始めていました。それは瑛が少々深く春日野兄妹と関わっているからでしょうが、渚さんでも気づけなかった瑛の本質にハルが気づいたのは、ハルが穹の内心に気づけなかったのと同じ理由なのでしょう。要するに距離感と関係性。近ければ近いほど、見えにくくなるものもある。
「それより! 早く帰ってあげないと」
「あっ、う、うん」
半ば強引にハルを送り出す瑛。手を振って見送りますが、ふいに師匠の様子がおかしいことに気づきます。
「どうしたの師匠?」
動物は、特に猫はとても敏感な生き物だといいます。このときの師匠がなにを感じていたのかは分かりませんが、ざわめく木々の音に身を任せながら、じっと空を眺めている。何かが起こりそうな、そんな予感を覚えていたのかもしれません。
ハルのいない春日野家では、親戚からの電話を穹が受けていました。原作ではハルが応対するはずの電話。穹は不安そうに見つめているだけだったのに、コミカライズではまるで違いました。
『あの話は考えてくれた?』
「考えてません」
『でも、二人だけで暮らしていくのも大変でしょう?』
「問題ありません」
原作で、ハルと穹が両親の初盆のため都会へと戻った際、穹は援助の手を差し伸べようとする親戚の言葉を、半狂乱に近い形で嫌がり、振り払ったといいます。それとはまた違ったコミカライズにおける穹のキツさと固さ。自室に戻った穹は、電話での親戚の言葉を思い返します。
――穹ちゃんはそうでも…悠くんはどうかしら? もっと私たちを頼ってくれてもいいのよ
確かに、ハルの気持ちがどうであれ、穹が自分の感情を押し通していることに変わりはありません。そんなことは穹だって分かっていますが、ベッドでうずくまる穹はそれでも相手の好意を否定します。
「頼ったら…離ればなれになっちゃうじゃない」
コミカライズだけ読んでいるとこの発言も納得がいきそうなものですが、実は原作だと少し事情が変わります。頑ななハルと穹に対して、親戚は妥協案として二人が元々住んでいたマンションで一緒に暮らしてもいいとさえ言うのですが、穹はそれすらも拒否したのです。まるで、ハルとの二人きりの生活を邪魔されたくないとでも言いたげに。
「ハル…ハル」
ハルの名前を呟きながら、右手を自分のスカートの中へと入れる穹。
「んっ」
「ハルは私のこと迷惑なんかじゃないよね?」
頬を赤らめ、切なそうに、穹はハルへの思いを叫ぶ。
「私はこんなに…愛しているのに」
「ハルのためなら…何だってしてあげられるのに…」
「好きだよ、ハル。ずっと…いっしょにいて…」
穹がハルのことを愛していると言葉にするのは、原作でもなかなかありません。特にこのシーンでそこまで言うとは思ってなかっただけに、少々驚きました。直接的というか、ストレートですよね。
ハルがいないからこそいえた言葉であり、出来た行為。けれど、穹は多分気づいていない。
――ソ…ラ?
部屋の外に、茫然自失となったハルがいることに。
――穹が…僕のことを? 兄としてではなくて?
――そんな…そんな…
冷や汗を流すハルは、原作と違って愕然としているイメージが強いです。これは原作とコミカライズにおける認識度の差であり、原作でのハルはキスをされた際に穹が自分を想っていることを強く認識してしまい、そこから穹のことを避け始めるのですが、コミカライズでは今まさに、この瞬間に穹の想いに気づいたのです。だからこそ原作のように興奮するわけでもなく、ハルは衝撃と驚きに打ちのめされたのです。
そんな事実を前にしてハルはどう動くのか、ということろで次回に続く。
まあ、感想としては大きく分けて二つですね。
水風天は流石だね! というのがまず最初に来ると思う。やっぱりエロ漫画も描いてる人はちがうというか、これってコミックスでは右手首の先が見えたりしないんですかね?w 下着は脱いでいないんだから、そこを描写しても大丈夫だと思うんだけど、コミックスで加筆修正とかされたら最高だよね。いや、もしかしたら予め描いてあるかもしれないし。原作と違って短いし、特に下着とか指使いが見えたわけでもないのに、何故だか凄くエロイ。足か、白い足のせいなのか。
原作と違って角度がなく、ほぼ真正面から自慰をする穹を描いた、というのも大きいのかな。この切なそうな表情がたまりません。
後もう一つは、やはり穹が徐々に病みつつあるということでしょうか? ハルに対してでさえ、直接ではないにしろ激しい怒りや苛立ちを見せる穹。歯ぎしりをするなんて、原作だとちょっと考えられませんよね。ハルがそんな穹に戸惑い、若干引き気味なのは、上に書いた通り穹の気持ちを人気ししきれてないからだと思います。この時点でハルが穹を避けているのは本能的なものですし、原作のそれと理由は大きく違う。故にコミカライズのハルがこの先どうするのか、それには結構興味が有ります。突き放すのか、受け入れるのか、それとも逃げ出してしまうのか。
例えば次回も穹の自慰が続いていて、それに言いようのない興奮をハルが感じ始めるとか、そういう流れも悪くはないと思うんですよ。ハルが一線を越えるには、明確に穹へ欲情する必要がありますから。今の時点では、引き気味ということもあってそれが薄いよね。おそらくは次回のラストで一線は越えてしまうんだろうけど、それをどこまで描くことが出来るのか。水風天に技術があるといっても、雑誌としての規制もあるだろうし、あまり期待しない方はいいのかな。アニメがTVアニメになった時点で、動作的なエロとは無縁になってしまったし、コミカライズには頑張って欲しいんだけど……あぁ、ヨスガもエロアニメとかにならないかな。TVアニメってネタとしてのエロには寛容なのに、割とマジなエロは避ける傾向にある気がするし。
まあ、コミカライズは次回が山場だと思います。ハルと穹はどうなるのか、出来ればぼかすことなく描ききって欲しいです。
表紙の影響か、結構売れてるみたいですね。巻頭のカラーページにヨスガノソラのアニメ化について載ってたけど、情報量としてはアニメ誌のそれと大差ありませんでした。ただ、記事としての文章がニュータイプより微妙だと感じてしまった。言いたいことというか、書きたいことは判るんだけど、なんかずれているというか、仮にもコミカライズやってるところがこれでいいの? という感じ。
一応、以下が引用になるけど、
のどかな田舎風景のもと紡がれる「縁」の物語
不慮の事故により両親を亡くした主人公・春日野悠は、妹の穹を連れてかつて祖父の暮らしていた奥木染へと移り住む。幼少のころ遊んでくれたお姉さん・奈緒との再会や、新しい友人たちとの出会い。優しく流れていく時間は、しだいに彼らの心に変化をもたらしていく……
感動的なストーリーが人気を博したAVGが今秋TVアニメに。今後の続報に乞うご期待!
なんかもう、私がなにか言うまでもなく突っ込みどころ満載な文章なんだけど、ヨスガに感動モノとしての、所謂泣きゲー要素なんてあったかしら。てっきり穹をはじめとしたヒロインの可愛らしさ、ハッシー原画が凄く受けた作品と認識してるんだけど。私はヨスガノソラのシナリオ好きだけど、それでも多くの感動を呼んだ名作がこの秋、ついにアニメで登場! なんて書かれると、違和感を感じずにはいられない。
まあ、それはともかくとしてコミカライズの第10話。重要なイベントをほとんど消化してしまったあとで、どのように穹ルートへ入るのかと思っていましたが、予想通りオリジナル展開で事を運び始めました。
夏休みはまだ続いていて、隣町のアーケード街に出かけたハルとその友人たち。なんの罰ゲームか、ハルが女装の刑にあっており、よりにもよってミニスカートを履いている。ハルの手足はやっぱり細めだなぁと思いつつ、ミニスカ履くぐらいだから毛もほとんど生えてないんでしょうね。ハルはよっぽど嫌なのか泣いてしまっていたけど、その可愛らしい姿に女性陣と亮平は絶賛。奈緒が盛り上がり、渚さんが顔を赤らめるのは判るんだけど、委員長が目を輝かせているのは意外だった。委員長はなんていうか、ハルにカッコ良さを求めていると思ったから。
「うぅ…なんで僕が…」
奈緒に可愛いと絶賛されるハルだけど、その反応はさらに嫌だと涙を流す。亮平に至っては食べちゃいたいぐらいと発言し、「亮平…ちょっと近づかかないでくれる?」と涙目のハル。
「ほんと…かわいい」
「似合ってるよ、ハル」
呟く穹の表情は、どこか余裕と優越感に満ちたもの。底の知れない笑みには違和感があり、可愛らしさ以上に感じるものがある。
「穹…」
穹の言葉に頬をかくハル。このときの穹の衣装はツインテールに黒スカート、銀十字のアクセサリーが付いた原作ではおなじみの私服だけど、実はコミカライズでは今回が初出になります。正確にはコミックスの描き下ろしで既に描かれてるけど、本編では初めて。前回、奈緒シナリオのバスの下りがあったけど、原作ではこの至福を着ているはずのシーンも、コミカライズではいつもの白一色の私服だったから、こんな風に縦ブチ抜きで穹の私服の全体像が描かれるのはいいもんですね。
「じゃあ次は私のセレクトで」
背景文字によるとゴスロリらしい服装をハルに差し出す穹。どこらへんがゴスロリなの? とかは言ってはいけません。
「いや、もういいって!!」
拒むハルだけど奈緒に捕まってしまい、虚しい叫び声だけが響くのだった。
「あの時は笑ったなー」
所変わって奥木染。どうやら改装だったらしい服屋での下りを、ハルが現像した写真を見ながら思い出し笑いをする亮平。その場には奈緒の姿もあり、口ぶりから察するに、となmり街へと出かけたのはちょっと前のことらしい。
「あれ? 女装写真が入ってない…」
「入れるわけないでしょ」
残念がる奈緒に、穹ちゃんも喜んでいたのにという亮平。
「そういえば、穹ちゃんは?」
「あ、ああ、家だよ…」
穹のことに触れられ、ハルの表情が微妙妙に変化する。歯切れも悪くなり、それ以上話したくないのかその場を後にしてしまう。
「…街に行ったとき思ったんだけどさ」
帰るハルの後ろ姿を見ながら、亮平が奈央に対して呟きます。
「穹ちゃん、悠のこと本当に好きなんだな」
「いまさら何言ってるのよ」
「まぁ、あの様子を見ればな」
街へ遊びに行ったときなにがあったのか、穹のハルへの思いを強く感じさせるような、そんな出来事があったのでしょうか? 原作にないイベントだけに想像するしかないけど、委員長シナリオにおけるデートシーンの穹とか、その辺りかな。せっかくのオリジナル展開なんだし、その部分をしっかり描いても良かった気がする。最初の罰ゲームシーンだけじゃ、イマイチ伝わりづらいし。
「はるちゃんのこと、大事に思ってるのよ」
「悠のヤツは、どう思ってるのかね」
穹はハルのことが好き、これに関しては亮平でなくても、例えば渚さんや委員長であっても気づいていることでしょう。しかし、それはあくまで兄妹としてであり、穹のハルに対する気持ちは度を越したブラコンのようなものだと思われているに違いありません。ブラコンやシスコンがどれぐらい珍しいのかは知りませんが、穹の感情の爆発を直接叩きつけられた奈緒でさえ、その深みに気づくことは出来ませんでした。これはハルと穹の境遇が関係していると思われ、原作の奈緒も言っていましたが、穹の言動は両親を失い、最後の家族となったハルを捕られまいとするため、そのように周囲は解釈していたのでしょう。親もおらず、頼れるものはハルだけ。そりゃあ、ブラコンにもなるさと、そんな感じで。
けれど、穹がハルに抱いていたのは、妹が兄に対して抱く親愛以上のものがあって、ハルはそれに気づきかけていたのです。
「なんか…入りづらいな…」
最近…穹の態度が変わってきた気がする。呟くハルの表情は重く、自宅に入るのさえためらってしまうほどだった。
「なんとなく…決まづいんだよな」
奈緒との関係を清算させてからなにがあったのか、キス以上にハルが困惑するような出来事が、二人の間で繰り広げられていたということでしょうか? 流れとしては判るんだけど、今回は少し唐突感のある展開が多かったかも。
「ただいまー」
恐る恐る家に入るハルだけど、それを聞きつけた穹がすぐさまドタドタと走ってきます。
「ハルッ。ハル! どこ行ってたの!?」
まさに血相を変えて、という表現がふさわしい穹の態度。怒ってはいないにせよ、その勢いにハルは焦ります。
「いや…みんなに写真渡しに…」
「そう…なんだ。もう…ひとこと言ってよね」
「あ…うん…」
穹に行き先も告げずに黙ってだけてしまう辺り、ハルは穹と会話することにかなりの気まずさを、一方的ではあるにせよ感じているのかもしれません。
「お昼ごはん作ったから、早く食べてね」
「……」
穹が自分から料理をすることは、原作でもあったことです。あれは朝食だったけど、普段は面倒くさがりで自分からなにをしようともしない穹が、積極的に家のことを手伝ってくれる。喜んでもいいはずのことに、ハルはなぜだか困惑が隠せない。
「おいしい?」
「う、うん」
「ハルの好きな物ばかりだから、たくさん食べてね」
数日前からの違和感。
「ほら、こっちも」
「いいから」
「むぐっ」
無理矢理、穹にスプーンを突っ込まれるハル。積極さを通り越した、強引さ。
「ふふっ」
満面の笑みを浮かべている穹。
どこか…甘えるような、すがるような、正直どう接していいのか戸惑っていると、ハルは妹の変化に動揺しています。
穹は珍しく、というより原作・コミカライズ通して初めて髪を一つ縛りにして洗い物をし始める。
「ねぇハル、午後なんだけどいっしょに…」
「え!? あ…えっと…」
穹がなにを言おうとしたのか、ハルと一緒にどこかへ行きたかったのか、それともなにかしたかったのか、それはわかりません。
「そうだ!! 天女目にも写真を渡さないと」
「そんなの、いつでも…」
ハルの行動は、明らかに穹の言葉を遮る目的で発せられたもの。
「いや、早めに渡しときたいしさ。今から行ってくるよ」
「あっ、ハル!」
バタンと扉が閉まり、逃げるように家を出て行ってしまうハル。穹には、そんなハルを止めることができませんでした。
「あ…」
ぎりっと、歯ぎしりをする穹。先程まで満面の笑みを見せていたはずなのに、それが吹き飛んでしまうほどきつく強烈な表情をみせている。怒りと苛立、思い通りに行かないことへの不満。穹がここまでの表情を見せるとは、正直思いませんでした。
「ハル…」
真っ暗な画面に、ただ名前を呟くふき出しだけが映る。まるで心が闇に紛れたような、そんな穹の心境や深みを映し出しているようで、寒気を覚えた。
瑛に写真を渡すといった手前、ハルは叉依姫神社を訪れていました。
「逃げてる…よな。どう見ても…」
自分が穹から逃げたことに、ハルは自覚を持っていました。兄が妹から逃げるなんて、普通であればあり得ないこと。だけどハルは穹と一番近くにいるせいか、穹が見せ始めた危険性を、ある種の違和感として肌で感じ始めていたのでしょう。それは6話におけるキスもそうだし、この数日間でもっと色々なことがあったのかもしれません。
ハルは神社の境内で、猫の師匠を見つけます。相変わらず堂々とした姿に、腰をかがめて話しかけてみることに。
「気楽でいいねぇ。悩みなんかないんだろ?」
師匠がなにかを悩んでいるかはともかく、少なくともハルには悩みごとがあります。
「なにやってるの?」
「天女目…」
「いらっしゃい、ハル君」
瑛もまた笑顔を浮かべているが、それは穹の浮かべていたものと、まったく異なるもの。この前の写真を渡そうと思って、と立ち上がるハルに、瑛は感謝の言葉を示します。
「……女装の写真はないの?」
「ないよ!!」
そのまま帰らず、縁側にてお茶を頂くハル。今日も暑いねぇなんて、平凡なことを呟きながらお茶を飲むハルに、瑛はなにかを感じたのでしょう。
「……何か悩み?」
瑛の鋭い指摘に、ハルの表情が固まります。
「何か言いたそうな顔してるよ」
「天女目…」
「あたしでよければ、相談にのるけど」
「ありがと」
人の心を読むのが上手い瑛に見透かされ、ハルはポツリポツリと自分の悩みを打ち明けます。
「穹のことなんだけどさ」
「穹ちゃん?」
「なんか最近、様子がおかしいんだ。家のこと手伝ってくれるのはうれしいけど…妙に僕にかまってくるし……どうしたんだろうなって…」
普通であれば考えすぎ、悩みであるとさえ思われないようなハルの悩み。家のことを手伝ってもらっているのだからそれでいいじゃないか、贅沢な奴だと、そんなことを言われてもおかしくはない。
「……そうだね、あたしに言えるのは」
瑛は穹の気持ちにどこまで気づいているのか、それが許されることではないと分かっているからなのか、悩みを打ち明けるハルに対し、僅かながら悲痛な表情を見せます。おそらく瑛はハルよりも早く、穹の心の中や感情を読み取っていたのでしょう。
「穹ちゃんのことをちゃんと見てあげて」
「そうなった理由が何かあるはずだよ。ちゃんとそばで見てあげて」
「どんな形であれ、穹ちゃんにはハル君が必要なんだよ」
この時点で、瑛はさり気なくですが、穹が兄以外の形としてハルを必要としていることに言及しています。けれど、ハルはそこまで気づくことができません。
「ありがと。少し気が楽になったよ」
「そう? 良かった」
「天女目は何でもお見通しな気がするなぁ」
ハルもまた、何気なくですが瑛という少女の本質を理解し始めていました。それは瑛が少々深く春日野兄妹と関わっているからでしょうが、渚さんでも気づけなかった瑛の本質にハルが気づいたのは、ハルが穹の内心に気づけなかったのと同じ理由なのでしょう。要するに距離感と関係性。近ければ近いほど、見えにくくなるものもある。
「それより! 早く帰ってあげないと」
「あっ、う、うん」
半ば強引にハルを送り出す瑛。手を振って見送りますが、ふいに師匠の様子がおかしいことに気づきます。
「どうしたの師匠?」
動物は、特に猫はとても敏感な生き物だといいます。このときの師匠がなにを感じていたのかは分かりませんが、ざわめく木々の音に身を任せながら、じっと空を眺めている。何かが起こりそうな、そんな予感を覚えていたのかもしれません。
ハルのいない春日野家では、親戚からの電話を穹が受けていました。原作ではハルが応対するはずの電話。穹は不安そうに見つめているだけだったのに、コミカライズではまるで違いました。
『あの話は考えてくれた?』
「考えてません」
『でも、二人だけで暮らしていくのも大変でしょう?』
「問題ありません」
原作で、ハルと穹が両親の初盆のため都会へと戻った際、穹は援助の手を差し伸べようとする親戚の言葉を、半狂乱に近い形で嫌がり、振り払ったといいます。それとはまた違ったコミカライズにおける穹のキツさと固さ。自室に戻った穹は、電話での親戚の言葉を思い返します。
――穹ちゃんはそうでも…悠くんはどうかしら? もっと私たちを頼ってくれてもいいのよ
確かに、ハルの気持ちがどうであれ、穹が自分の感情を押し通していることに変わりはありません。そんなことは穹だって分かっていますが、ベッドでうずくまる穹はそれでも相手の好意を否定します。
「頼ったら…離ればなれになっちゃうじゃない」
コミカライズだけ読んでいるとこの発言も納得がいきそうなものですが、実は原作だと少し事情が変わります。頑ななハルと穹に対して、親戚は妥協案として二人が元々住んでいたマンションで一緒に暮らしてもいいとさえ言うのですが、穹はそれすらも拒否したのです。まるで、ハルとの二人きりの生活を邪魔されたくないとでも言いたげに。
「ハル…ハル」
ハルの名前を呟きながら、右手を自分のスカートの中へと入れる穹。
「んっ」
「ハルは私のこと迷惑なんかじゃないよね?」
頬を赤らめ、切なそうに、穹はハルへの思いを叫ぶ。
「私はこんなに…愛しているのに」
「ハルのためなら…何だってしてあげられるのに…」
「好きだよ、ハル。ずっと…いっしょにいて…」
穹がハルのことを愛していると言葉にするのは、原作でもなかなかありません。特にこのシーンでそこまで言うとは思ってなかっただけに、少々驚きました。直接的というか、ストレートですよね。
ハルがいないからこそいえた言葉であり、出来た行為。けれど、穹は多分気づいていない。
――ソ…ラ?
部屋の外に、茫然自失となったハルがいることに。
――穹が…僕のことを? 兄としてではなくて?
――そんな…そんな…
冷や汗を流すハルは、原作と違って愕然としているイメージが強いです。これは原作とコミカライズにおける認識度の差であり、原作でのハルはキスをされた際に穹が自分を想っていることを強く認識してしまい、そこから穹のことを避け始めるのですが、コミカライズでは今まさに、この瞬間に穹の想いに気づいたのです。だからこそ原作のように興奮するわけでもなく、ハルは衝撃と驚きに打ちのめされたのです。
そんな事実を前にしてハルはどう動くのか、ということろで次回に続く。
まあ、感想としては大きく分けて二つですね。
水風天は流石だね! というのがまず最初に来ると思う。やっぱりエロ漫画も描いてる人はちがうというか、これってコミックスでは右手首の先が見えたりしないんですかね?w 下着は脱いでいないんだから、そこを描写しても大丈夫だと思うんだけど、コミックスで加筆修正とかされたら最高だよね。いや、もしかしたら予め描いてあるかもしれないし。原作と違って短いし、特に下着とか指使いが見えたわけでもないのに、何故だか凄くエロイ。足か、白い足のせいなのか。
原作と違って角度がなく、ほぼ真正面から自慰をする穹を描いた、というのも大きいのかな。この切なそうな表情がたまりません。
後もう一つは、やはり穹が徐々に病みつつあるということでしょうか? ハルに対してでさえ、直接ではないにしろ激しい怒りや苛立ちを見せる穹。歯ぎしりをするなんて、原作だとちょっと考えられませんよね。ハルがそんな穹に戸惑い、若干引き気味なのは、上に書いた通り穹の気持ちを人気ししきれてないからだと思います。この時点でハルが穹を避けているのは本能的なものですし、原作のそれと理由は大きく違う。故にコミカライズのハルがこの先どうするのか、それには結構興味が有ります。突き放すのか、受け入れるのか、それとも逃げ出してしまうのか。
例えば次回も穹の自慰が続いていて、それに言いようのない興奮をハルが感じ始めるとか、そういう流れも悪くはないと思うんですよ。ハルが一線を越えるには、明確に穹へ欲情する必要がありますから。今の時点では、引き気味ということもあってそれが薄いよね。おそらくは次回のラストで一線は越えてしまうんだろうけど、それをどこまで描くことが出来るのか。水風天に技術があるといっても、雑誌としての規制もあるだろうし、あまり期待しない方はいいのかな。アニメがTVアニメになった時点で、動作的なエロとは無縁になってしまったし、コミカライズには頑張って欲しいんだけど……あぁ、ヨスガもエロアニメとかにならないかな。TVアニメってネタとしてのエロには寛容なのに、割とマジなエロは避ける傾向にある気がするし。
まあ、コミカライズは次回が山場だと思います。ハルと穹はどうなるのか、出来ればぼかすことなく描ききって欲しいです。
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