水風天によるとコミックスの2巻は来年になるそうだけど、意外にペースが遅いですね。年に2冊ぐらいは出すのかと思ってたのに、コミックスもアニメ合わせで来るということかな。来月号で丁度2巻分の話数は溜まるけど、放送中に刊行するのではなく放送終了直後に出すつもりなのかも知れない。前例もあるし十分あり得ることだけど、話の展開が結構早いから3巻ではなく2巻完結も出来るんじゃないかとすら思えてきた。元々、ヨスガノソラは物語的に長いわけじゃないし。

前回はハルが穹の自慰行為を目撃するというところで終わっていましたが、そこから続くわけでもなく普通に後日から話しは始まります。ハルは瑛の手伝いで氏子のおばあさんの家を一緒に尋ねていて、その御礼にスイカを貰っています。スイカ自体は原作にも出てきたけど、あれは別に瑛関係ないんじゃなかったかな。瑛と委員長に上げていたのは覚えてますが。ハルは家にいてもやることがないからと瑛の手伝いをしていますが、実際は家にいると穹のことを意識してしまうからで、ハルの脳裏には穹の痴態が焼き付いて離れない。
瑛はそんなハルを無言で見つめるけど、ハルは話をそらすように奥木染は良いところだなどと言い出します。普段なら乗ってくるはずの瑛ですが、このときは「そうだね」と一言だけ呟いて、ハルに早く家へ帰るように促します。その反応にハルは驚くんだけど、次の一言でさらに驚くこととなる。
「帰りたくない?」
「…何で?」
なんとなく、と応える瑛に、わかりやすい? と訊ねるハル。
「割と」
余裕しかない笑みというのは、こういうのを言うんでしょうね。天女目には敵わないなとハルは頭をかくけど、まだそれほど深刻には考えていない。精々、複雑な感情が顔に出ていたのだろうと思ったぐらいで、瑛がさらに一歩踏み込んでくるとは思ってもいなかった。

「穹ちゃんはハル君のことちゃんとわかってるよ。だから安心して側にいられるんだね」

「ハル君も穹ちゃんのこと素直に感じてあげればいいんだよ」

空気を変える瑛の言葉。怖いほど澄んだ瞳から発せられる視線に、ハルは戸惑いながら冷や汗を流します。笑みを浮かべ、軽くお礼を言いながら去っていく瑛。ハルはここにきて、瑛に心の中を見透かされていることを気付き始めました。確かに今回の瑛は思うところでもあったのか、ハルに対して深いところまで踏み込んでくる。素直になればどうなるのか、穹は口はちょっと悪いけど、可愛くてハルのことをとても想ってくれている少女です。そんな穹のことが大切じゃないわけがないし、それ自体はハルも理解している。けど素直になれば……自分は穹を妹として見れなくなってしまう。そう、ハルは自身の中にある気持ちに気づきつつ合ったのです。だからこそ悩む、頭も抱える。
原作の場合、ハルが穹の気持ちに気づくのはキスをされたことが原因となっていました。そしてそこから穹のことを避け始めるわけだけど、自慰行為をしているのを目撃してしまい、改めて穹の気持ちの大きさを知ったことで、遂に穹のこと受け入れます。逆にコミカライズの場合はキス自体が割と早い段階で済まされて、尚且つそれが穹を避ける直接的な原因にはならなかった。自慰行為にしても、悩みはしても決断させるほどではなく、原作と違って穹の痴態に欲情もしていなかったしね。そう考えると、原作とコミカライズの流れの違いは結構目立つような気がする。まあ、この後もっと大きな違いが出てくるんだけど。

不意に現れた猫の師匠に誘われ、ハルは自分の家へと帰宅します。たまに出てくる師匠だけど、登場するときは高確率で白猫化しています。毛がよく生え変わったりするんですかね。まあ、大したことではないのでどうでもいいけど、原作版よりも神秘性に磨きがかかっている感じがする。
ハルが帰宅すると同時に家の電話がなって、出てみるとそれは親戚のおばさん。お葬式以来と言っているから、やっぱり初盆での帰宅はしてないみたいですね。そもそも未だに夏休みという時点で原作とは時間の流れが明確に違っています。気の無さそうな表情で親戚と会話するハルですが、親戚と一緒に暮らさないかという申し出を、穹が聞いていながら黙っていたことを知ります。ハルは穹の様子がここしばらくおかしかったのは、自分と離ればなれになるのを心配して、この話に自分が乗ると思ったからではないかと推測するけど、確かにそれはあるかも知れない。前回の話をよく読むと、穹に対して親戚はあの話と言ってますから、過去に幾度かそういう話があって、その度に穹は無視を決め込み、握りつぶしていたのかも知れません。原作でハルが思い悩んでいた部分を、穹は強制的にシャットダウンしたんですね。今回の電話もまた、唐突に現れた穹が強引に通話を切ることで遮りましたし。
ずっと一緒にいたいという穹の言葉に、気持ちは分かるも戸惑いを見せるハル。何故そこまで、どうしてこんな強引なやり方を? 本当は薄々気づいているのに、決定打がないため肯定できずにいるハルへ、遂に穹は告げてしまいます。

「だって、ハルのことが好きだから」

ハルがいてくれるだけでいい、他にはなにも望まないという穹に、兄妹としての倫理観で踏みとどまろうとするハル。けれど、そんなものは理性の濁流を前には無力でしかない。

「お願いハル、私を見て。聞かせて……ハルの本当の気持を…」

瑛の、穹を素直に感じてあげてという言葉。それが後押しになったのか、吹っ切る材料にしたのかはわかりませんが、ハルもまた穹を抱きしめ、自分の想いを伝えます。離れたくない、ずっと一緒にいようと。望んでいたけど得られるとは思っていなかった告白に穹は驚きを隠せませんが、ハルは約束するといい、二人は唇を交わします。そしてそのまま……契りを結びました。
行為自体は明確に描写されなかったけど、間違いなくしたであろうという事後を描き、全裸の穹は静かに寝息を立てています。シャワーを浴びるハルは、双子の妹をこの手で抱き、その処女の純潔を散らしたことにゾクリとしたものを覚えますが、もう既に覚悟は決まっていました。問題はこの後どうするかということであり、ハルの中には様々な考えが浮かびます。奥木染にいれば自分たちを邪魔する人はいない、その発想は正しいけど、次に思い浮かんだことが駄目だった。
――幸い両親もいない…
言葉として発しなかったにせよ、ハルは一瞬でも自分の頭に過ぎった考えが信ずられず、片膝をついて倒れかけます。顔を手のひらで押さえ、自分はなんと愚かな考えを抱いてしまったのかと、後悔と衝撃に打ちのめされたのです。これではまるで、両親がいない方がいいみたいではないかと。生々しいというか、現実的話をすればその通りだし、ハルと穹の関係というのは両親がいないからこそ成り立っているんだけど、それを本人たちが、実の子供たちであるハルと穹が肯定するのは間違っている。それがどんなに、正しい認識でも。
動揺するハルへ追い打ちを掛けるように、委員長と奈緒が尋ねてきました。今にはまだ穹が寝ていて、しかも全裸のままです。見つかるわけにはいかないし、すぐに帰ってもらうしかない。動揺をひた隠しにしながら応対するハルと、新学期用のプリントを配り歩いているという委員長。原作とはシチュエーションが若干違うので、どうして奈緒がいるのかはわかりませんが、そこで会ったからついて来ちゃったということらしい。
なんのプリントかは知りませんがハンコがいるものだそうで、家の中に二人を入れたくないハルは焦り始めます。今どこにあるのか分からないと適当なことを言い、待たせるのも悪いから直接委員長の家に届けると言って、その場を収めようとする。コミカライズでも委員長はハルに好意を持っていますから、当然その申し出を喜ぶんだけど、私はハンコを取りに行くべきだったと思う。家の中に上げなくとも、玄関で待っていてもらうことは出来たはずで、ハルはその僅かな時間を使って穹の様子を確認するべきだった。

「ハル、どうしたの?」

そうすれば、原作と同じような展開にはならなかったでしょう。シーツを一枚羽織った穹が、ハルたちの前に現れたことろで次回に続く。原作と違うところはほとんどなく、構図はほぼ完璧に再現していました。

水風天という人は成人誌でも活動をしている方で、言ってしまえばエロ漫画には定評があります。むしろ、一般向けの方が少ないぐらいですし、先日のコミケでも超電磁砲の初春本を出してましたね。エロかったけど、寸止めはあんまりだよ。
つまりなにが言いたいのかというと、ハルと穹がエロかったということなんだけど、わずかに描かれた裸体が結構綺麗で、特に足のあたりが良かったと思う。性的に濃い描写はなかったけど、コンプエースは一応少年誌だし、角川書店は秋田書店なんかと違って、限界レベルが低いですから、セックスシーンが描かれなかったこと自体は仕方ないと思う。コミックスでの加筆も、おそらくはないでしょう。
ただ、疑問なのは最初の契の翌日に、委員長や奈緒にバレてしまったということです。話の展開が急というか、もう少し段階を踏むかと思ったんですよ。ハルと穹が情欲に溺れ、周りのことなんて一切考えなくなり、その結果委員長とかにバレるわけじゃないですか? 別にバレること自体は構わないんだけど、例えば来月号でハルが「やっぱりいけなかったんだ!」とか言い出したら、いくらなんでも早過ぎるでしょう。早まったことをした、というのなら分からなくもないけど、原作は情欲や情事に溺れすぎた自分への後悔もあったわけだしね。そう考えると、たった1回セックスしただけでハルがいきなりすべてを後悔しだすかのかと、一瞬前までの決意はどこへ消えたんだと、そういうことになってしまう。原作でさえその辺りのハルは非難されることもあるのに、コミカライズが今の段階で同じことをすると、原作以上に叩かれるかも知れない。柱には一応、「誤魔化しきれるか!?」なんて書いてあるけど、まさかここで誤魔化しきるとは思えないし、そんなことしたらそこから先はコミカライズのオリジナル展開じゃないですか。まあ、今の段階で十分オリジナル入ってはいますけど、大筋のレベルで変わっているとは思えないので……いや、でもこのまま続けるぐらいならオリジナルやってもらったほうがいいのかもな。原作以上にイケメンな部分が強調されていたハルだけど、ここにきてとてつもなく危ういことになっている気がする。

しかし、コミックスは本当に来年なんですかね? 来月は9月だけど、年末まで3ヵ月もあるのに出さないというのだろうか。アニメ化との兼ね合いがあるといっても、10月にはもう放送が開始するわけだし、別に11月や12月に出してもいいと思うんだが……大人の事情って奴ですかね。放送終了後に出す商法は間違っちゃいけないけど、それもアニメが人気になった場合でしょう? 前評判は今のところどっこいどっこいだけど、こけたらどうするつもりなんだろうか。コミカライズはまだしもファンが付いてるんだし、もうちょっとコンスタントにやっていってもいいんじゃないかな。

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