アニメ版ヨスガノソラ 第1話「ハルカナキオク」
2010年10月5日 ヨスガノソラ
2回目も見終わったので、3回目を見ながらアニメ版ヨスガノソラ 第1話「ハルカナキオク」の感想を書きます。考察とか、まあ、色々書きたいことはあるんだけど、1日の日記ですべてを書くには限りがあるよね。実はヨスガ用のブログとか、専用HPという構想は前々から立ててたんだけど、アニメ版を見て決断しました。今月中に作ります。例え、それが自己満足だとしても。
PVと同じシーンから始まった第1話、しかし、流れている音楽は違います。原作のアレンジでしょうか、切なさが混じった曲調が電車内のハルと穹を包み込みます。同じはずなのに、同じじゃない。流れている曲が違うだけでここまで印象が変わるものなのかと、私は素直に驚いてしまいました。一つ一つのシーンが新しく生まれ変わったかのように、PVで使われいたのが原作でお馴染みの曲だったこともあってか、今まさにアニメが始まったという印象を私に与えてくれました。映像も作画も綺麗で、何度も見たはずなのに私は衝撃を受け続けた。
そして流れ始めたOP、eufoniusが歌う比翼の羽根です。
ラストカットがこの作品のすべてを物語っているかのような映像でしたが、詳しくは明日にさせてください。正直、主題歌と挿入歌だけで日記3日分ぐらいは書けそうな勢いなので、今日のところは本編に専念することにします。
ハルカナキオク
奥木染にハルと穹。到着した駅前のロータリーにはタクシーの一台もなく、円形の花壇と正面の道路に自販機があるだけ。売店すらない中で穹はコンビニを求めますが、ハルは簡単に「ないよ、そんなの」と言い放ちます。即座に踵を返す穹ですが、ハルは「すぐそこに大きなスーパーがあるからぁ!」と必死で引き留める。このときの下野弘の演技は若干高めで、少し安定感がないように思えた。うわずったような、とでも言うのだろうか? もう少し落ち着いた雰囲気が欲しかったけど、焦りをイメージしているという意味ではこれぐらいが良いのかもしれない。
穂見の道を奥木染へと目指して歩く2人。穹は右手でハルの服の裾を掴みながら、左手で携帯を打ちつつぬいぐるみを抱えるという器用なことをしています。
「ハル……」
「ん?」
「10分以上歩いてる」
「かな」
原作にもあったようなやり取りですが、ハルが実際に穹の背中を押そうとしている姿は良いものですね。恥ずかしそうに身動ぎする穹は、「いいよぉ!」と一人で歩いていってしまいます。そんな穹の態度にハルは頭を掻きますが、そこへ車がゆっくり目のスピードでやって来ました。田舎道だから法定速度とかないのかは知りませんが、それまで車など通りもしなかったもんだからハルと穹は思いっきり道路の真ん中を歩いていたのです。避けるハルはすかさず穹に声を掛けますが、穹は軽く鼻を鳴らしてハルを一睨み。
「ん?」
携帯の着信に気付いたハルが黒い折りたたみ式を取り出すと、そこには穹からのメールが届いていました。日付は6月20日、時刻は14時44分。本文は「とっとと来て」の一言だけ。
疲れたと言っていた割に1人でさっさと行ってしまう穹に、ハルはなんとも言えない表情を向けるのでした。
ハルと穹を追い越した車に乗っていたのは、渚さんとダメイドの2人。台詞ではダメイド、もとい初佳が他キャラでは一番最初となったわけですが、見かけたばかりのハルを話題に出し、「今の男の子と、すっごい可愛かったんですよ?」と話を振ります。見慣れない姿から旅人ではないかと予想しますが、渚さんは「まさか」と、それを否定します。なにもない町であることを分かっているからこその断言なのか、初佳が窓の外から視線を外さないため、渚さんも自然と身体を後ろへと向けます。ハルのことがモロタイプだというダメイドはまだなにかを話していましたが、空間が車内から車外に移ったので、なにを言っていたのかは不明です。
ニアミスと言うほどのものではないにせよ、最初に登場したヒロインが渚さんというのは興味深かった。メガマガの記事もありましたし、瑛より早いって言うのはね。初佳の方が早い? 既にヒロイン落ちしてるからなぁ……
「これが大きなスーパー?」
一方、穹はハルに連れられスーパーにやってきますが、それはスーパーとは名ばかりの個人商店が少し規模を大きくした程度の物。
「多分、この辺ではね」
店名が、大木奈なのはネタだとしても、そういったことも含めた上でか穹は「最悪……」と肩を下ろします。いや、気持ちは判るよ。その内タカノも出てくるんでしょうけど、私の地元にある一番小さいスーパーより狭いもの。まあ、作りが違うんだけどさ。
店内には瑛がいて、驚くべき事に買い物カゴを4つ同時に持ち上げていました。器用とかそういうレベルじゃなく、確かに店員の佐野さんが言うとおり惚れ惚れとする姿だ。どのカゴも商品が沢山入っているのに、瑛って力持ち設定はあったんだっけ? 運動は得意な方だったと思うけど、店員の反応から奥木染の人がみんなこれぐらい出来るってわけではないでしょう。
レジは全部で2台、後ろに並んでいる客も、隣のレジとお姉さんと客のおばちゃんも、瑛を温かい目で見ています。その後方には、既に店内へと入った穹がお菓子の棚を見上げたり見下ろしたりしていました。瑛が買ったのはどうやら町の爺さんや婆さんのものらしく、足腰が弱ったりして外出がしにくいご老人のために、買い物の代行ってところでしょうか? まあ、原作でもそんなシーンはあった気がするし、特に違和感はありません。
スナック菓子を中心に籠の中へと詰め込む穹と、それを注意するハル。そんな光景を瑛は目撃し、ハルのことを一瞬で誰だか理解したのか、頬を赤らめ見つめています。とはいえ買った物を届けるという仕事の最中、瑛はハルたちに話しかけることなく、「またね、ハル君」とその場を去りました。
「買いすぎだよ穹。普通の食料買いに来たんだから」
持ち合わせがそんなにないのか、財布の中を確認しながらハルが苦言を呈します。
「知らない……それと、ここからはホント歩きたくない」
駄々をこねる穹ですが、返ってきたのは意外な言葉。
「いいよ」
「ここからはもう歩かなくていい」
スーパーを出て、隣の地井サイクルという店に移動したハルと穹。「下見に来たとき買っといたんだ」と、中古らしい自転車を疲労するハル。荷台を穹専用と称するも、穹は「ダサ過ぎ」と素っ気ない。しかし、自転車が走り出すとハルの腰に手を回して、恥ずかしがりながらも2人で穂見サイクリングへと洒落込みます。
少し大回りして行くからな、と自転車を穂見学園に向けるハル。今度来る学校だと紹介しますが、穹はまだ行く気がない様子。無理強いはしないと決めたのか、軽く相づちを打ちながら再び走り出そうとするハルですが、そこに校門から飛び出してきた委員長の自転車と接触しそうになります。PVを見たときは言い争っているのか? と思えなくもないシーンでしたが、そんなこともなく互いに謝罪。
「す、すみません!」
「い、いえ、こちらこ……そ」
ハルの顔を確認した委員長の顔が、見る見る朱色に染まっていきます。さすが個別ルートで妄想癖が明らかになっただけあり、委員長の目に映ったハルは物凄くキラキラしています。一瞬でノックアウトされたのか声を裏返しながら、食い入るようにハルを見つめます。穹はその一目惚れを察したのか、鋭い視線を委員長へと向けるのですが、当の委員長にはまったく見えていないという。
改めて謝罪をするハルに、手を振りながら送り出す委員長。出会いの衝撃としては、確かに大きいのかも知れない。渚さんや瑛と違って、直接的な接触をしたわけだし。
家に帰る前にハルは叉依姫神社へと寄ることにします。買い物の荷物もあるので境内までは上がりませんでしたが、ハルは「夏祭りに来たの憶えてるか?」と穹に語りかけます。穹はいつでもハルの背中に隠れていたそうだけど、ここには少し疑問を憶えた。確か、原作でもコミカライズでも穹は夏祭りに参加したことがなく、作中が初めてでした。別に子供の頃行っていたからといって、なにかイベントが成立しなくなるとか、そんなことはないんですけど、原作設定との際はチラホラ見受けられますね。
「また一緒に行こうよ、浴衣来てさ」
浴衣フラグが立ったのは良いけど、そういや穹は絵こそないものの巫女服も一度着たんだっけ。その辺りのイベントには期待しても良いのかな。
家に帰る頃にはすっかり辺りも暗くなっており、穹は虫の多さに文句をいいます。そういや、バッタとか出てきませんでしたね。映像に出てこなかっただけでちゃんと遭遇はしているのだろうか。白い服は虫を寄せ付けるというし、色々大変でしょう。帰路につく最中、穹は隣家の灯りを見て表情を強ばらせます。そこが誰の住んでいる家なのかは、しっかりと憶えているようです。
「懐かしいだろ? 4年ぶりだっけ」
ハルが最後に奥木染を訪れたのは奈緒に逆レイプをされた年です。それが4年前だとするなら、現在高校1年生であるハルは早生まれであることも考慮すれば当時11歳ということになります。今15歳だというのにもビックリですけど、そうか逆レイプされたのは11歳か……小6ですかね? 原作の描写だと精通はおろか皮すら剥けてなかったと思うけど、小学生なら当然かな。ちなみに逆レイプシーンはOPや挿入歌の映像で少しだけ見ることが出来ます。
まあ、それについては追々書いていくにしても、今日から我が家となる春日野医院には既に引っ越しの段ボールが置かれており、どうやらハルが先に送っていたらしい。原作では引っ越し業者に来て貰い、穹の部屋決めなどがあるんだけど、そういう部分を一切省略して奥木染案内とヒロイン紹介に当てた感じかな。
「ネットは?」
「ごめん、まだ掛かりそうなんだ」
「ないと生きていけない」
アニメでは穹のネットジャンキーな部分を全面に出すのか、それとも原作みたいにハルカナソラまで置いておくのか、その辺りが気になりますね。当面は携帯のネットで、というのは同じですけど。
「どこ行くの?」
徐に包み紙で包んだ箱を持って出掛けようとするハルを、穹が呼び止めます。
「隣だよ、引っ越しの挨拶。すぐ戻るから」
「あっ……」
1人家に置いて行かれた穹は、暗い廊下を見つめながらポツンと立っているのでした。
隣の家というのは依媛さんちですが、奈緒の母親は原作の疲れ果てた感じと違い、割とまともそうな方でした。ハルに対しても、少々余計なことを言っている気はしないでもなかったけど親身でしたし、ハルの祖父である先生へ世話になったというのは、色々な意味で事実なのでしょう。
挨拶をしている最中に奈緒が帰ってきて、ハルがいることに驚きます。しかし、ハルの反応はぎこちなく、あくまで他人行儀。奈緒はどうやら感極まっているらしいですが、避けるように母親の方へ挨拶を済ませます。このときの母親は、当然視線を娘の方へと向けていましたが、やはり思うところがある模様です。
依媛家を後にするハルですが、奈緒と遭遇したことに複雑そうな表情を浮かべます。しかし、なにかに感じ入る間もなく、穹からの催促のメールで家へと帰るのでした。
ここまでが丁度10分程度で、アイキャッチはないのですが多分CMなんじゃないかと思います。丁度シーンが大きく切り替わるしね。10分にしては随分と濃密だったけど、駆け足と言うほどではなかったかな。原作のヒロイン登場シーンがすべてなくなったのは残念ですが、アニメーションという媒体の1話であることを考えれば、これも仕方のないことでしょう。顔見せの必要性がありますからね。その割に亮平は出てきませんでしたが。
舞台は学校へ移り、ハルの転校初日です。原作の描写から、てっきり前の学校の制服で登校するのかと思いきや、普通に黒系の私服でした。担任も意外なほど若く、黒髪おかっぱで眼鏡という今日日珍しい出で立ちをしています。シンプルなハルの自己紹介に少々呆れたようですが、気に触ったという風でもなく軽く流します。結構な好青年というか、ハルの対人能力値が高いからなのかな。教師相手に微笑んで会釈をするとは、さすがハルだ。
即座に委員長が指名され、その際に教室の全体が映ります。モブキャラはともかくとして、そうか委員長は瑛の隣だったのか。何故だろう、委員長的な人は席が後ろの方だと思っていたんだけど、そういや亮平がいませんね。ハルの席の前にいるはずの彼ですが、授業をフケているのか姿を見せません。序盤のあのやり取り、ほんの数瞬で友情を確立させた2人のシーンは好きだったんだけど、ここもカットされてしまうとは。
委員長とは先日会っていますが、緊張のせいか彼女の笑みは震えています。思わず挨拶の拍子につくへとおでこを接吻させてしまうぐらいに。笑いが漏れる教室ですが、委員長の近くに座る渚さんはハルに興味津々なようです。あそこからだとハルの顔は視認できなかったようですが、初佳の言葉と照らし合わせてハルであると直感的に気付いたんでしょう。すごく可愛かったという、あのときの初佳の言葉に「確かに……」と声を漏らします。
瑛の自己紹介は、何気に切ないシーンでしたね。
「やっほー、ハル君! あっきらだよ!」
と、一見するとお調子者の瑛が勢いに任せて馬鹿をやっていると見えなくもないんでしょうが、いや、実際にハルを含めた教室の大半はそう思ったことでしょう。けど、瑛はこのとき敢えて大げさに自己紹介をすることでハルを試したんです。試したと言うよりは確認か、要するに自分のことをハルが憶えているかどうか。結果は普通のリアクションを返されたこともあり、ハルは瑛のことを憶えていませんでした。僅かに残念そうな表情を見せる瑛に気付いたのは、渚さんだけ。先程までハルに興味を向けていた彼女ですが、すぐに瑛へと関心が移ったようです。
その頃、穹は自宅の使われなくなって久しい医院スペースでアルバムを眺めていました。写真とはいえハルと穹の両親が初登場したわけですが、やはり双子は母親似なんですね。髪色や肌の色を考えれば母親に北欧かどこかの血が混じっていてもおかしくなさそうですが、実写ならまだしもアニメの写真だけで判別するのは無理があるってもんだ。父親の方は眼鏡を掛けていますが善良そうな男性で、奥さんや双子に比べると地味な印象を受ける。きっと優しい人だったんだろうね……勿論、両親揃ってですけど。
幼少期のハルと穹がお風呂に入っている写真も残っていましたが、穹の方が見えていなければ大丈夫と言うことなんだろうか。穹は特に気恥ずかしさを憶えるわけでもなく淡々とした表情でアルバムを眺めていますが、ふいに幼少期のハルの写真に指を当てると、そのまま椅子の上で自慰を始めます。
「ハルぅ……」
思い出されるのは幼少期。春日野医院まで避暑に来ていた穹は、部屋から姿を消したハルを探し回っています。ハルは子供らしいイタズラ心からか、単に隠れてからかっているだけなのですが、穹は向きになって探します。しかし、見つからないことに段々と不安を覚えてきたところに背中からハルにおどかされ、驚きのままに薬品棚へと背中をぶつけてしまう。
「危ない!」
自分で驚かしといて危ないもないだろうと思いましたけど、直撃したら重傷では済まなかったかも知れないNo.3069と書かれた薬品の瓶をハルは見事にキャッチ。ちなみに、幼少期のハルの声は下野弘ではなく松元恵さんで、まあ、知っている人は知っている声優さんですね。
薬品瓶をキャッチしたハルは安堵のため息を付きますが、恐怖で頬を上気させ、瞳に涙を浮かべている穹と目が合います。見つめること数秒、ハルの頬も熱くなっていき、彼は迷うことなくそのままキスをしました。妹の唇に、自らの唇を交じあわせたのです。段々と穹の足が開いていくのが細かいというか、かなり衝撃的なシーンです。場所が場所だけにこのままお医者さんごっこと洒落込んでもおかしくはないけど、果たしてこれは夢か幻か。いいえ、単なる現実だと思います。根拠はいくつかありますが、それは後述で。
シーンは再び回転椅子の上で自慰をする穹。回っているので、あんまり見過ぎると目に悪いかも知れない。過去の想い出という感慨に浸っているのか、それとも単にイっただけなのか、回転する以外には特に動きがありません。
そのまま時刻は夜となり、夕食後に穹はハルから学校であった出来事を聞かされます。ペットボトルのコーヒーを飲んでいるのはともかく、夕食は弁当か。コンビニないのにコンビニ弁当っぽいってのは置いて置いて、実は春日野家って原作だと夜ご飯を食べているシーンがほぼなかったりします。
ハルの話の中に始めて亮平が登場しましたが、特に回想が挟まれるわけでもなく、結局登場しなかった。中の人は端役で出ていたのに、なんで出さなかったんだろうか。尺的な問題と言ってしまえばそれまでだけど、亮平のことを話すハルが、まだ彼に対して謙虚そうなのが気になった。友情1日にしてならずなのかな。
「あぁ、それから不思議なコンビがいてさ」
「コンビ?」
瑛と渚さんの名前を出すハルに、女の名前であることを直感的に気付いた穹は不機嫌そうな表情を浮かべます。けどまあ、ハルとしては隣席に座っている女子ですし、委員長よりもインパクトというか、印象に残ったんでしょうね。それは回想シーンからも見て取れることで、なにかと世話を焼こうとする瑛や、そんな瑛の身だしなみを気にする渚さんのやり取りはちょっと面白かった。てか、UVは別に身だしなみじゃない……か?
楽しそうに学園でのことを離すハルに、穹はコーヒーの入ったグラスをテーブルへと打ち付けます。
「ぬるい、砂糖が多い」
もう寝る、とキッチン兼食堂を後にしようとする穹に、ハルが声を掛けます。その表情は、かなり真剣そうだった。
「ゆっくりでいいから……」
「んっ」
「ここで頑張っていこう。僕たちは、2人きりなんだから」
深刻そうなハルに対して、穹は同じような表情を浮かべながらポツリと言い返します。
「そんなの、分かってる」
おそらく翌日、学校でコピーを取っているハル。委員長も一緒ですが、状況的に彼女のノートのコピーを取らせて貰った、というところでしょうか? 折角の機会と言わんばかりに、委員長は初めて会ったときに一緒に居た少女、穹について尋ねます。ていうか、穹のこと認識できてたのかと思ったけど、後ろ姿を見送ってるわけだから当然だった。
穹について知る委員長だけど、このときのカットが格好いいのよ。可愛いんじゃなくて格好いい、キリッとしててさ、なんていうか本当に委員長っぽい感じがして、あぁ、梢はこんな表情も出来たのかと何故だか感心してしまった。
しかし、そんな凛々しい顔も10秒と持たず、委員長ビジョンに映るキラキラハルの赤面してしまい、恥ずかしさのあまり走り出してしまいます。そこでなんと、よりにもよって奈緒とぶつかるわけだけど、学校では先輩と言うこともあってかやや落ち着いています。単に陰気なだけだろうと言えばその通りだと答えますが、出会うと気まずいのがこの2人。奈緒は隣人であり、昔馴染みであることを簡潔に告げますが、ハルはその間一切口を開かず、一言も言葉を発しないのよね。挨拶すらしないで、僅かに細めた視線で奈緒を見るだけ。再会したときもそうだけど、アニメのハルは奈緒を避ける傾向にあるよね。少なくとも、ここまではそうだったんですよ。
回想シーンに入り、バスの待合室で泣いている幼少期の奈緒に、虫取の帰りらしいハルが声を掛けます。けど、奈緒はそんなハルを激しく拒絶し、ハルは近づくことすら出来ません。ここでハルは自分の中の回想を打ち切りますが、自転車で走る奈緒はその続きを思い出すことが出来た。彼女にとっては良い想い出なのかも知れないけど、ハルにとってはどうなんだろうね。思い出し運転なんかしていたせいか、奈緒はハルに衝突しそうになります。
自宅にいる穹はスマートフォンでハルにメールを送りますが、まったく返事が返ってきません。CMのときに気になっていたのはタッチペンだったのかと思いつつ、痺れを切らした穹は自分から家の外へ出てしまう。
「まったくもう、なにして……あっ!?」
穹は見ました。ハルが奈緒を自転車に乗せ、彼女の家まで送っているところを。当然、奈緒の自転車ですから穹専用が汚されたわけではないにせよ、このときの穹はなにを思っていたのか。奈緒の家にすら反応を示していたぐらいだし、相当な衝撃を受けたことには違いないですが、それが表に出ることはなかったような気がする。
奈緒はハルとの接触を避けて、転倒した拍子に膝頭を打ったようです。それで自転車がこげなくなって、仕方なくハルが送ったという感じらしい。ハルも奈緒には思うところがあるのか、それとも生来のお人好し気質からかここにきて声を掛けますが、今度は奈緒の方から距離を置いてきます。関わり合いにならないならそれに越したことはないんだけど、多分それは無理だろうな。残念ながらということばを積み重ねてしまいそうだけど。
帰宅したハルを、仁王立ちの穹が待ち構えていました。
「いっぱいメールしたのに」
ハルは自分が携帯を忘れていたことに気付き、慌てて取りにいきます。どうやら先日の私服と共に脱衣所に置きっぱなしになっていたらしく、そこには穹からのメールが沢山受信されていました。
「ほんっとにごめん!」
仏間で穹に謝るハルですが、穹はここで原作でも印象深い台詞を漏らします。
「逃げたかと思った……」
「なんだよ、逃げるって」
「だって……」
振り返った穹は頬を上気させ、瞳には涙を浮かべていました。その表情を見たハルは、意を決して起ち上がると、徐に穹の肩をつかみ、互いに顔を引き寄せ合って唇を――というのは、ハルの妄想です。何故なら穹は別に泣いてはいませんでしたし、夢から覚めたように瞬きをしたのはハルの方だった。穹はキョトンとした眼でハルを見つめていただけでしたしね。何故ハルがそのような想像をしたのか、それは先程の穹による幼少期の回想が本当で、現実にああいうことがあったからでしょう。仮に、もし穹が本当に泣いていたのならば、ハルは迷わずキスをしたのではないだろうか。ハルはどうにも、そうすることが当然であると思ってそうだ。ちなみに、穹の妄想であるという可能性もこの場合通用するけど、それでも過去の出来事が真実である必要がある。どちらにせよ、そうじゃないと成り立たないから。
「子供じゃないだろ、もう」
穹の頭に手を置くハルだけど、この台詞も結構深い。単に子供じゃないんだからこれぐらいで大げさだと言いたいのか、それとも、もう子供じゃないのだからキスとかはしないと言っているのか、穹の不満そうな、寂しそうな表情は一体どちらに傾いているのか、1話において1番重要なシーンはここだと思いました。
奈緒のお風呂シーンは面白くもなんともないので飛ばして一気に深夜。いつの間にか降り出した雷雨が奥木染を照らします。春日野医院の中も照らし出される中で、穹が部屋にいません。ハルはとっくに自室で就寝中なようですが、なんとそこに穹が現れます。若干虚ろな目をした穹はハルに向かってこう言います。
「いかせて……いきたい……」
驚くハルの前で、穹はベビードールの肩紐に手をかけます。
「穹? あっ!」
ベビードールが畳の上に落ち、下着姿となった穹が頬を上気させつつハルを見つめます。呆気にとられるハルに、どこまでも穹の視線が注がれていく。
「ハル……」
第2話へつづく
最後のシーンの解説を先にしてしまうと、PVから気になってはいたんですが、なんてことはない、これは単に穹のハルと一緒に学校へ行きたい宣言です。ベビードールを脱いだのは制服を作るためサイズを測る必要があったからで、ネタがばれてしまえば大したことはありませんね。勿論、私の予想が外れてこのまま禁断の関係に突入する可能性だってあるけど、普通に考えればこういうことでしょう。第2話は初っ端から3サイズチェックというわけで、私としては今から楽しみでなりません。前述の通り、主題歌と挿入歌については明日の日記に回すので、とりあえず今日はこの辺で。
という風に締めたかったんですけどね、まあ、なんていうかさ、良いアニメだったとは思うよ。Cパート含めて、掴みとしては上手かったんじゃないかなと思う。でも、これは果たしてヨスガノソラなのだろうか? 無論、エロゲとアニメの差違は理解しているつもりだけど、私って原作の序盤が結構好きだったからさ。なんていうか、作品から受ける雰囲気と印象がまったく違うような気がした。アニメはアニメで好きだし、これならBD買っても良いかなとは思うけど、具体的な評価を下すにはまだ早いような気がする。いや、良いアニメなんだけどね。
PVと同じシーンから始まった第1話、しかし、流れている音楽は違います。原作のアレンジでしょうか、切なさが混じった曲調が電車内のハルと穹を包み込みます。同じはずなのに、同じじゃない。流れている曲が違うだけでここまで印象が変わるものなのかと、私は素直に驚いてしまいました。一つ一つのシーンが新しく生まれ変わったかのように、PVで使われいたのが原作でお馴染みの曲だったこともあってか、今まさにアニメが始まったという印象を私に与えてくれました。映像も作画も綺麗で、何度も見たはずなのに私は衝撃を受け続けた。
そして流れ始めたOP、eufoniusが歌う比翼の羽根です。
ラストカットがこの作品のすべてを物語っているかのような映像でしたが、詳しくは明日にさせてください。正直、主題歌と挿入歌だけで日記3日分ぐらいは書けそうな勢いなので、今日のところは本編に専念することにします。
ハルカナキオク
奥木染にハルと穹。到着した駅前のロータリーにはタクシーの一台もなく、円形の花壇と正面の道路に自販機があるだけ。売店すらない中で穹はコンビニを求めますが、ハルは簡単に「ないよ、そんなの」と言い放ちます。即座に踵を返す穹ですが、ハルは「すぐそこに大きなスーパーがあるからぁ!」と必死で引き留める。このときの下野弘の演技は若干高めで、少し安定感がないように思えた。うわずったような、とでも言うのだろうか? もう少し落ち着いた雰囲気が欲しかったけど、焦りをイメージしているという意味ではこれぐらいが良いのかもしれない。
穂見の道を奥木染へと目指して歩く2人。穹は右手でハルの服の裾を掴みながら、左手で携帯を打ちつつぬいぐるみを抱えるという器用なことをしています。
「ハル……」
「ん?」
「10分以上歩いてる」
「かな」
原作にもあったようなやり取りですが、ハルが実際に穹の背中を押そうとしている姿は良いものですね。恥ずかしそうに身動ぎする穹は、「いいよぉ!」と一人で歩いていってしまいます。そんな穹の態度にハルは頭を掻きますが、そこへ車がゆっくり目のスピードでやって来ました。田舎道だから法定速度とかないのかは知りませんが、それまで車など通りもしなかったもんだからハルと穹は思いっきり道路の真ん中を歩いていたのです。避けるハルはすかさず穹に声を掛けますが、穹は軽く鼻を鳴らしてハルを一睨み。
「ん?」
携帯の着信に気付いたハルが黒い折りたたみ式を取り出すと、そこには穹からのメールが届いていました。日付は6月20日、時刻は14時44分。本文は「とっとと来て」の一言だけ。
疲れたと言っていた割に1人でさっさと行ってしまう穹に、ハルはなんとも言えない表情を向けるのでした。
ハルと穹を追い越した車に乗っていたのは、渚さんとダメイドの2人。台詞ではダメイド、もとい初佳が他キャラでは一番最初となったわけですが、見かけたばかりのハルを話題に出し、「今の男の子と、すっごい可愛かったんですよ?」と話を振ります。見慣れない姿から旅人ではないかと予想しますが、渚さんは「まさか」と、それを否定します。なにもない町であることを分かっているからこその断言なのか、初佳が窓の外から視線を外さないため、渚さんも自然と身体を後ろへと向けます。ハルのことがモロタイプだというダメイドはまだなにかを話していましたが、空間が車内から車外に移ったので、なにを言っていたのかは不明です。
ニアミスと言うほどのものではないにせよ、最初に登場したヒロインが渚さんというのは興味深かった。メガマガの記事もありましたし、瑛より早いって言うのはね。初佳の方が早い? 既にヒロイン落ちしてるからなぁ……
「これが大きなスーパー?」
一方、穹はハルに連れられスーパーにやってきますが、それはスーパーとは名ばかりの個人商店が少し規模を大きくした程度の物。
「多分、この辺ではね」
店名が、大木奈なのはネタだとしても、そういったことも含めた上でか穹は「最悪……」と肩を下ろします。いや、気持ちは判るよ。その内タカノも出てくるんでしょうけど、私の地元にある一番小さいスーパーより狭いもの。まあ、作りが違うんだけどさ。
店内には瑛がいて、驚くべき事に買い物カゴを4つ同時に持ち上げていました。器用とかそういうレベルじゃなく、確かに店員の佐野さんが言うとおり惚れ惚れとする姿だ。どのカゴも商品が沢山入っているのに、瑛って力持ち設定はあったんだっけ? 運動は得意な方だったと思うけど、店員の反応から奥木染の人がみんなこれぐらい出来るってわけではないでしょう。
レジは全部で2台、後ろに並んでいる客も、隣のレジとお姉さんと客のおばちゃんも、瑛を温かい目で見ています。その後方には、既に店内へと入った穹がお菓子の棚を見上げたり見下ろしたりしていました。瑛が買ったのはどうやら町の爺さんや婆さんのものらしく、足腰が弱ったりして外出がしにくいご老人のために、買い物の代行ってところでしょうか? まあ、原作でもそんなシーンはあった気がするし、特に違和感はありません。
スナック菓子を中心に籠の中へと詰め込む穹と、それを注意するハル。そんな光景を瑛は目撃し、ハルのことを一瞬で誰だか理解したのか、頬を赤らめ見つめています。とはいえ買った物を届けるという仕事の最中、瑛はハルたちに話しかけることなく、「またね、ハル君」とその場を去りました。
「買いすぎだよ穹。普通の食料買いに来たんだから」
持ち合わせがそんなにないのか、財布の中を確認しながらハルが苦言を呈します。
「知らない……それと、ここからはホント歩きたくない」
駄々をこねる穹ですが、返ってきたのは意外な言葉。
「いいよ」
「ここからはもう歩かなくていい」
スーパーを出て、隣の地井サイクルという店に移動したハルと穹。「下見に来たとき買っといたんだ」と、中古らしい自転車を疲労するハル。荷台を穹専用と称するも、穹は「ダサ過ぎ」と素っ気ない。しかし、自転車が走り出すとハルの腰に手を回して、恥ずかしがりながらも2人で穂見サイクリングへと洒落込みます。
少し大回りして行くからな、と自転車を穂見学園に向けるハル。今度来る学校だと紹介しますが、穹はまだ行く気がない様子。無理強いはしないと決めたのか、軽く相づちを打ちながら再び走り出そうとするハルですが、そこに校門から飛び出してきた委員長の自転車と接触しそうになります。PVを見たときは言い争っているのか? と思えなくもないシーンでしたが、そんなこともなく互いに謝罪。
「す、すみません!」
「い、いえ、こちらこ……そ」
ハルの顔を確認した委員長の顔が、見る見る朱色に染まっていきます。さすが個別ルートで妄想癖が明らかになっただけあり、委員長の目に映ったハルは物凄くキラキラしています。一瞬でノックアウトされたのか声を裏返しながら、食い入るようにハルを見つめます。穹はその一目惚れを察したのか、鋭い視線を委員長へと向けるのですが、当の委員長にはまったく見えていないという。
改めて謝罪をするハルに、手を振りながら送り出す委員長。出会いの衝撃としては、確かに大きいのかも知れない。渚さんや瑛と違って、直接的な接触をしたわけだし。
家に帰る前にハルは叉依姫神社へと寄ることにします。買い物の荷物もあるので境内までは上がりませんでしたが、ハルは「夏祭りに来たの憶えてるか?」と穹に語りかけます。穹はいつでもハルの背中に隠れていたそうだけど、ここには少し疑問を憶えた。確か、原作でもコミカライズでも穹は夏祭りに参加したことがなく、作中が初めてでした。別に子供の頃行っていたからといって、なにかイベントが成立しなくなるとか、そんなことはないんですけど、原作設定との際はチラホラ見受けられますね。
「また一緒に行こうよ、浴衣来てさ」
浴衣フラグが立ったのは良いけど、そういや穹は絵こそないものの巫女服も一度着たんだっけ。その辺りのイベントには期待しても良いのかな。
家に帰る頃にはすっかり辺りも暗くなっており、穹は虫の多さに文句をいいます。そういや、バッタとか出てきませんでしたね。映像に出てこなかっただけでちゃんと遭遇はしているのだろうか。白い服は虫を寄せ付けるというし、色々大変でしょう。帰路につく最中、穹は隣家の灯りを見て表情を強ばらせます。そこが誰の住んでいる家なのかは、しっかりと憶えているようです。
「懐かしいだろ? 4年ぶりだっけ」
ハルが最後に奥木染を訪れたのは奈緒に逆レイプをされた年です。それが4年前だとするなら、現在高校1年生であるハルは早生まれであることも考慮すれば当時11歳ということになります。今15歳だというのにもビックリですけど、そうか逆レイプされたのは11歳か……小6ですかね? 原作の描写だと精通はおろか皮すら剥けてなかったと思うけど、小学生なら当然かな。ちなみに逆レイプシーンはOPや挿入歌の映像で少しだけ見ることが出来ます。
まあ、それについては追々書いていくにしても、今日から我が家となる春日野医院には既に引っ越しの段ボールが置かれており、どうやらハルが先に送っていたらしい。原作では引っ越し業者に来て貰い、穹の部屋決めなどがあるんだけど、そういう部分を一切省略して奥木染案内とヒロイン紹介に当てた感じかな。
「ネットは?」
「ごめん、まだ掛かりそうなんだ」
「ないと生きていけない」
アニメでは穹のネットジャンキーな部分を全面に出すのか、それとも原作みたいにハルカナソラまで置いておくのか、その辺りが気になりますね。当面は携帯のネットで、というのは同じですけど。
「どこ行くの?」
徐に包み紙で包んだ箱を持って出掛けようとするハルを、穹が呼び止めます。
「隣だよ、引っ越しの挨拶。すぐ戻るから」
「あっ……」
1人家に置いて行かれた穹は、暗い廊下を見つめながらポツンと立っているのでした。
隣の家というのは依媛さんちですが、奈緒の母親は原作の疲れ果てた感じと違い、割とまともそうな方でした。ハルに対しても、少々余計なことを言っている気はしないでもなかったけど親身でしたし、ハルの祖父である先生へ世話になったというのは、色々な意味で事実なのでしょう。
挨拶をしている最中に奈緒が帰ってきて、ハルがいることに驚きます。しかし、ハルの反応はぎこちなく、あくまで他人行儀。奈緒はどうやら感極まっているらしいですが、避けるように母親の方へ挨拶を済ませます。このときの母親は、当然視線を娘の方へと向けていましたが、やはり思うところがある模様です。
依媛家を後にするハルですが、奈緒と遭遇したことに複雑そうな表情を浮かべます。しかし、なにかに感じ入る間もなく、穹からの催促のメールで家へと帰るのでした。
ここまでが丁度10分程度で、アイキャッチはないのですが多分CMなんじゃないかと思います。丁度シーンが大きく切り替わるしね。10分にしては随分と濃密だったけど、駆け足と言うほどではなかったかな。原作のヒロイン登場シーンがすべてなくなったのは残念ですが、アニメーションという媒体の1話であることを考えれば、これも仕方のないことでしょう。顔見せの必要性がありますからね。その割に亮平は出てきませんでしたが。
舞台は学校へ移り、ハルの転校初日です。原作の描写から、てっきり前の学校の制服で登校するのかと思いきや、普通に黒系の私服でした。担任も意外なほど若く、黒髪おかっぱで眼鏡という今日日珍しい出で立ちをしています。シンプルなハルの自己紹介に少々呆れたようですが、気に触ったという風でもなく軽く流します。結構な好青年というか、ハルの対人能力値が高いからなのかな。教師相手に微笑んで会釈をするとは、さすがハルだ。
即座に委員長が指名され、その際に教室の全体が映ります。モブキャラはともかくとして、そうか委員長は瑛の隣だったのか。何故だろう、委員長的な人は席が後ろの方だと思っていたんだけど、そういや亮平がいませんね。ハルの席の前にいるはずの彼ですが、授業をフケているのか姿を見せません。序盤のあのやり取り、ほんの数瞬で友情を確立させた2人のシーンは好きだったんだけど、ここもカットされてしまうとは。
委員長とは先日会っていますが、緊張のせいか彼女の笑みは震えています。思わず挨拶の拍子につくへとおでこを接吻させてしまうぐらいに。笑いが漏れる教室ですが、委員長の近くに座る渚さんはハルに興味津々なようです。あそこからだとハルの顔は視認できなかったようですが、初佳の言葉と照らし合わせてハルであると直感的に気付いたんでしょう。すごく可愛かったという、あのときの初佳の言葉に「確かに……」と声を漏らします。
瑛の自己紹介は、何気に切ないシーンでしたね。
「やっほー、ハル君! あっきらだよ!」
と、一見するとお調子者の瑛が勢いに任せて馬鹿をやっていると見えなくもないんでしょうが、いや、実際にハルを含めた教室の大半はそう思ったことでしょう。けど、瑛はこのとき敢えて大げさに自己紹介をすることでハルを試したんです。試したと言うよりは確認か、要するに自分のことをハルが憶えているかどうか。結果は普通のリアクションを返されたこともあり、ハルは瑛のことを憶えていませんでした。僅かに残念そうな表情を見せる瑛に気付いたのは、渚さんだけ。先程までハルに興味を向けていた彼女ですが、すぐに瑛へと関心が移ったようです。
その頃、穹は自宅の使われなくなって久しい医院スペースでアルバムを眺めていました。写真とはいえハルと穹の両親が初登場したわけですが、やはり双子は母親似なんですね。髪色や肌の色を考えれば母親に北欧かどこかの血が混じっていてもおかしくなさそうですが、実写ならまだしもアニメの写真だけで判別するのは無理があるってもんだ。父親の方は眼鏡を掛けていますが善良そうな男性で、奥さんや双子に比べると地味な印象を受ける。きっと優しい人だったんだろうね……勿論、両親揃ってですけど。
幼少期のハルと穹がお風呂に入っている写真も残っていましたが、穹の方が見えていなければ大丈夫と言うことなんだろうか。穹は特に気恥ずかしさを憶えるわけでもなく淡々とした表情でアルバムを眺めていますが、ふいに幼少期のハルの写真に指を当てると、そのまま椅子の上で自慰を始めます。
「ハルぅ……」
思い出されるのは幼少期。春日野医院まで避暑に来ていた穹は、部屋から姿を消したハルを探し回っています。ハルは子供らしいイタズラ心からか、単に隠れてからかっているだけなのですが、穹は向きになって探します。しかし、見つからないことに段々と不安を覚えてきたところに背中からハルにおどかされ、驚きのままに薬品棚へと背中をぶつけてしまう。
「危ない!」
自分で驚かしといて危ないもないだろうと思いましたけど、直撃したら重傷では済まなかったかも知れないNo.3069と書かれた薬品の瓶をハルは見事にキャッチ。ちなみに、幼少期のハルの声は下野弘ではなく松元恵さんで、まあ、知っている人は知っている声優さんですね。
薬品瓶をキャッチしたハルは安堵のため息を付きますが、恐怖で頬を上気させ、瞳に涙を浮かべている穹と目が合います。見つめること数秒、ハルの頬も熱くなっていき、彼は迷うことなくそのままキスをしました。妹の唇に、自らの唇を交じあわせたのです。段々と穹の足が開いていくのが細かいというか、かなり衝撃的なシーンです。場所が場所だけにこのままお医者さんごっこと洒落込んでもおかしくはないけど、果たしてこれは夢か幻か。いいえ、単なる現実だと思います。根拠はいくつかありますが、それは後述で。
シーンは再び回転椅子の上で自慰をする穹。回っているので、あんまり見過ぎると目に悪いかも知れない。過去の想い出という感慨に浸っているのか、それとも単にイっただけなのか、回転する以外には特に動きがありません。
そのまま時刻は夜となり、夕食後に穹はハルから学校であった出来事を聞かされます。ペットボトルのコーヒーを飲んでいるのはともかく、夕食は弁当か。コンビニないのにコンビニ弁当っぽいってのは置いて置いて、実は春日野家って原作だと夜ご飯を食べているシーンがほぼなかったりします。
ハルの話の中に始めて亮平が登場しましたが、特に回想が挟まれるわけでもなく、結局登場しなかった。中の人は端役で出ていたのに、なんで出さなかったんだろうか。尺的な問題と言ってしまえばそれまでだけど、亮平のことを話すハルが、まだ彼に対して謙虚そうなのが気になった。友情1日にしてならずなのかな。
「あぁ、それから不思議なコンビがいてさ」
「コンビ?」
瑛と渚さんの名前を出すハルに、女の名前であることを直感的に気付いた穹は不機嫌そうな表情を浮かべます。けどまあ、ハルとしては隣席に座っている女子ですし、委員長よりもインパクトというか、印象に残ったんでしょうね。それは回想シーンからも見て取れることで、なにかと世話を焼こうとする瑛や、そんな瑛の身だしなみを気にする渚さんのやり取りはちょっと面白かった。てか、UVは別に身だしなみじゃない……か?
楽しそうに学園でのことを離すハルに、穹はコーヒーの入ったグラスをテーブルへと打ち付けます。
「ぬるい、砂糖が多い」
もう寝る、とキッチン兼食堂を後にしようとする穹に、ハルが声を掛けます。その表情は、かなり真剣そうだった。
「ゆっくりでいいから……」
「んっ」
「ここで頑張っていこう。僕たちは、2人きりなんだから」
深刻そうなハルに対して、穹は同じような表情を浮かべながらポツリと言い返します。
「そんなの、分かってる」
おそらく翌日、学校でコピーを取っているハル。委員長も一緒ですが、状況的に彼女のノートのコピーを取らせて貰った、というところでしょうか? 折角の機会と言わんばかりに、委員長は初めて会ったときに一緒に居た少女、穹について尋ねます。ていうか、穹のこと認識できてたのかと思ったけど、後ろ姿を見送ってるわけだから当然だった。
穹について知る委員長だけど、このときのカットが格好いいのよ。可愛いんじゃなくて格好いい、キリッとしててさ、なんていうか本当に委員長っぽい感じがして、あぁ、梢はこんな表情も出来たのかと何故だか感心してしまった。
しかし、そんな凛々しい顔も10秒と持たず、委員長ビジョンに映るキラキラハルの赤面してしまい、恥ずかしさのあまり走り出してしまいます。そこでなんと、よりにもよって奈緒とぶつかるわけだけど、学校では先輩と言うこともあってかやや落ち着いています。単に陰気なだけだろうと言えばその通りだと答えますが、出会うと気まずいのがこの2人。奈緒は隣人であり、昔馴染みであることを簡潔に告げますが、ハルはその間一切口を開かず、一言も言葉を発しないのよね。挨拶すらしないで、僅かに細めた視線で奈緒を見るだけ。再会したときもそうだけど、アニメのハルは奈緒を避ける傾向にあるよね。少なくとも、ここまではそうだったんですよ。
回想シーンに入り、バスの待合室で泣いている幼少期の奈緒に、虫取の帰りらしいハルが声を掛けます。けど、奈緒はそんなハルを激しく拒絶し、ハルは近づくことすら出来ません。ここでハルは自分の中の回想を打ち切りますが、自転車で走る奈緒はその続きを思い出すことが出来た。彼女にとっては良い想い出なのかも知れないけど、ハルにとってはどうなんだろうね。思い出し運転なんかしていたせいか、奈緒はハルに衝突しそうになります。
自宅にいる穹はスマートフォンでハルにメールを送りますが、まったく返事が返ってきません。CMのときに気になっていたのはタッチペンだったのかと思いつつ、痺れを切らした穹は自分から家の外へ出てしまう。
「まったくもう、なにして……あっ!?」
穹は見ました。ハルが奈緒を自転車に乗せ、彼女の家まで送っているところを。当然、奈緒の自転車ですから穹専用が汚されたわけではないにせよ、このときの穹はなにを思っていたのか。奈緒の家にすら反応を示していたぐらいだし、相当な衝撃を受けたことには違いないですが、それが表に出ることはなかったような気がする。
奈緒はハルとの接触を避けて、転倒した拍子に膝頭を打ったようです。それで自転車がこげなくなって、仕方なくハルが送ったという感じらしい。ハルも奈緒には思うところがあるのか、それとも生来のお人好し気質からかここにきて声を掛けますが、今度は奈緒の方から距離を置いてきます。関わり合いにならないならそれに越したことはないんだけど、多分それは無理だろうな。残念ながらということばを積み重ねてしまいそうだけど。
帰宅したハルを、仁王立ちの穹が待ち構えていました。
「いっぱいメールしたのに」
ハルは自分が携帯を忘れていたことに気付き、慌てて取りにいきます。どうやら先日の私服と共に脱衣所に置きっぱなしになっていたらしく、そこには穹からのメールが沢山受信されていました。
「ほんっとにごめん!」
仏間で穹に謝るハルですが、穹はここで原作でも印象深い台詞を漏らします。
「逃げたかと思った……」
「なんだよ、逃げるって」
「だって……」
振り返った穹は頬を上気させ、瞳には涙を浮かべていました。その表情を見たハルは、意を決して起ち上がると、徐に穹の肩をつかみ、互いに顔を引き寄せ合って唇を――というのは、ハルの妄想です。何故なら穹は別に泣いてはいませんでしたし、夢から覚めたように瞬きをしたのはハルの方だった。穹はキョトンとした眼でハルを見つめていただけでしたしね。何故ハルがそのような想像をしたのか、それは先程の穹による幼少期の回想が本当で、現実にああいうことがあったからでしょう。仮に、もし穹が本当に泣いていたのならば、ハルは迷わずキスをしたのではないだろうか。ハルはどうにも、そうすることが当然であると思ってそうだ。ちなみに、穹の妄想であるという可能性もこの場合通用するけど、それでも過去の出来事が真実である必要がある。どちらにせよ、そうじゃないと成り立たないから。
「子供じゃないだろ、もう」
穹の頭に手を置くハルだけど、この台詞も結構深い。単に子供じゃないんだからこれぐらいで大げさだと言いたいのか、それとも、もう子供じゃないのだからキスとかはしないと言っているのか、穹の不満そうな、寂しそうな表情は一体どちらに傾いているのか、1話において1番重要なシーンはここだと思いました。
奈緒のお風呂シーンは面白くもなんともないので飛ばして一気に深夜。いつの間にか降り出した雷雨が奥木染を照らします。春日野医院の中も照らし出される中で、穹が部屋にいません。ハルはとっくに自室で就寝中なようですが、なんとそこに穹が現れます。若干虚ろな目をした穹はハルに向かってこう言います。
「いかせて……いきたい……」
驚くハルの前で、穹はベビードールの肩紐に手をかけます。
「穹? あっ!」
ベビードールが畳の上に落ち、下着姿となった穹が頬を上気させつつハルを見つめます。呆気にとられるハルに、どこまでも穹の視線が注がれていく。
「ハル……」
第2話へつづく
最後のシーンの解説を先にしてしまうと、PVから気になってはいたんですが、なんてことはない、これは単に穹のハルと一緒に学校へ行きたい宣言です。ベビードールを脱いだのは制服を作るためサイズを測る必要があったからで、ネタがばれてしまえば大したことはありませんね。勿論、私の予想が外れてこのまま禁断の関係に突入する可能性だってあるけど、普通に考えればこういうことでしょう。第2話は初っ端から3サイズチェックというわけで、私としては今から楽しみでなりません。前述の通り、主題歌と挿入歌については明日の日記に回すので、とりあえず今日はこの辺で。
という風に締めたかったんですけどね、まあ、なんていうかさ、良いアニメだったとは思うよ。Cパート含めて、掴みとしては上手かったんじゃないかなと思う。でも、これは果たしてヨスガノソラなのだろうか? 無論、エロゲとアニメの差違は理解しているつもりだけど、私って原作の序盤が結構好きだったからさ。なんていうか、作品から受ける雰囲気と印象がまったく違うような気がした。アニメはアニメで好きだし、これならBD買っても良いかなとは思うけど、具体的な評価を下すにはまだ早いような気がする。いや、良いアニメなんだけどね。
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