アニメ版ヨスガノソラ 第2話「アキラハズカシ」
アニメ版ヨスガノソラ 第2話「アキラハズカシ」
アニメ版ヨスガノソラ 第2話「アキラハズカシ」
第1話に比べると、幾分か落ち着いた話になりましたね。奈緒がそれほど出てこなかったというのもあるんでしょうが、スポットが当てられたのは前情報通り渚さんでした。穹の出番が決して少なかったわけではないですが、採寸のシーンを映像として出さないというのは驚いた。放送上の都合でカットされたのか、それとも最初から作っていないのか。先週の引きを考えると、あっさりしすぎというか、どの形でもエロが入らなかったことに肩すかしを食らった人も多いんじゃないだろうか? 私もてっきりサイズを測るところはやると思っていたし、原作的にも良いシーンだったから……なんですかね、原作と同じことはやらない方針なんでしょうか。

予想していたよりもあからさまな展開だったというか、渚さんとの接近の仕方がやや強引だったかも知れない。制服のボタン付けは原作にもあったことですからともかく、出来上がったものを渚さんが届けるというのはおかしな話です。服を取りに言って、丁度穹の制服が出来ていたからといって、普通店は渚さんという他人に預けるでしょうか? お得意様で信用があったのかも知れませんが、渚さんにしたって別にハルは親しい友人というわけでもないのだから、話の流れ、渚さんとの繋がりや絡みの持たせ方に無理があったように思う。
まあ、そういうことも含めて第2話を振り返っていきましょうか。
前回の続きから、深夜ハルの部屋へと訪れた穹ですが、その目的はやはり制服を作りたいので採寸をして欲しいという話でした。上記の通りシーンそのものは描かれずににOPへと突入し、明けたら朝になっていました。携帯片手に登校するハルへ、亮平が親しげに挨拶をしてきます。苗字呼びだったのはともかく、なにせ1話に亮平は出てきていませんから、この登場は結構唐突というか、突然だった。原作をまったく知らず、アニメの公式サイトも見ていない人からすれば、誰だこれという状態だったんじゃないでしょうか。まあ、そんな人がいるのかはともかく、ハルも結構気さくに話していましたね。
「さすが都会者、携帯持ってんだ」
「都会者って……」
「この辺、電波入るようになったのつい最近だからなぁ。持ってんのお嬢ぐらいだわ」
捕捉すると、コンプティークに書いてあった荒川稔久の記述によれば原作にはなかった設定としてアニメの奥木染は携帯の電波がほとんど届かないことになっているらしい。もっとも、亮平の台詞から考えるに今は違うみたいだけど、それでも普及率という意味ではほとんどないんでしょう。このような設定を入れた理由に、携帯というツールによって物事がスムーズに進みすぎてしまうこともあって、逆に不便にすることで人間関係へ微妙な影響を与えるのではということです。別に原作のように田舎だから持っていない、普及していないでも構わないと思うけど、まあ、今時の子供は田舎だろうと携帯ぐらい標準装備なのかな。
ハルが穹に言われてスーパーの特売情報を調べていたのには少々意外でした。穹がその手のことを気にするというのもそうですが、あの大木奈スーパーがネットで情報を流しているなんて……携帯の電波も届かない田舎の割に、変なところで近代的ですね。チラシ配るとかじゃないんだ。
亮平はハルに自分も名前で呼んで良いかと提案し、あっさりと了承を貰います。そして、いざ名前呼びをしようとしたところで奈緒を発見。声を掛けます。亮平は一学年の時、といっても今も一学年ですけど、奈緒と同じクラスだったんですよね。だから、見知った間柄ですし、少なくともお互いを名前で呼び合うほどには仲が良い関係です。そんな亮平の目に、ハルと奈緒の間にある微妙な距離はどう映ったのか。お互いに顔を合わせようとせず、互いの視線が片方に向けば、もう片方は顔を逸らすといった感じです。
「あれ、知らなかった? うち、昔家政系の女子校だったから伝統的に女子の制服は自分でボタン付けするんだよ」
はい、知りませんでした。まったくの初耳です。別に昔の穂見学園が女子校だったからといって問題はないんですけど、だったら当時の男子はどこに通っていたんだろう。奥木染に学校がないから穂見学園に通ってるぐらいだし、それとも昔は学校も結構あって、現在は少子化の波で廃校になったとかそんな設定もあるのだろうか。奈緒関連のイベントってほとんど憶えてないから、実は原作でも説明されてるのかも知れないけど、なんだかおかしな話だ。
亮平は2人の距離感に苛々したのか、強引にくっつけてしまいます。余所余所しい関係というのが嫌いなのか、2人が何故こんな感じなのかを知る由もない亮平ですし、余計なことをするな、とは言えませんよね。そして現れる委員長だけど、やっぱり彼女は自転車通学なのか。というか、自転車通学が認められているなら、ハルや奈緒だって乗っていけばいいのに。そのための穹専用でしょう。まあ、2人乗りは禁止ですけど。
瑛と渚さんが車でやってきて、ハルたちを見つけて途中下車します。さりげなくヴィオラのことに触れていますが、今回の話では特に登場もしませんでした。

その頃の穹はというと、原作と違ってそんなすぐに制服が来るわけでもなく、1人暇を持て余しています。窓から外の景色を眺めたり、ベッドに寝っ転がったり、昼食代わりのポテトチョップコンソメ味を食べたりする穹。携帯メールでハルに「つまんない。」と送ろうとして、送らず破棄していましたが、意外だったのは宛先の登録名が悠になっていたこと。正確には春日野悠とフルネームで登録しているようですが、普通家族の場合って続柄や相性、もしくは下の名前のみとかで入れませんかね? 穹だったらハルのことはハルと登録しそうなものですが、まあ、最新の携帯事情は良く分からないからな。相手との関係や誕生日、職業等まで記入する欄があるとは。最近はこういうのが普通というか、主流なんですかね。
翌日か、それとも違う日か、学校へ行くハルに寝間着姿の穹が文句を言い始めます。
「もう10日……」
「もう来るよ」
「昨日もそう言った」
「毎日訊かれても……鍵、かけとけよ?」
「やだ」
穹は「やだ」より、「嫌」じゃないのかなと思いつつ、1話のラストから既に10日も経っていることに驚きました。注文した呉服屋が遠いのか知りませんが、制服みたいな日常的に使うものに1週間以上も掛かっているというのは、少し不自然なんじゃなかろうか。穹は小柄ですけど、不自然なほど小さいと言うほどではないし、穂見からずっと遠くにある店というわけではないのでしょう? まあ、私は一般的な制服の完成日数なんて知らないけど、僅かに違和感を感じたかも。
しかし、10日か……ハルと穹が奥木染に来たのは6月20日ですけど、そこから学校へ通い出して、1話のラストまでを3日間と仮定します。そこから10日ということは既に7月には入っている計算で、通常ならばさらに10日後には夏休みに突入していてもおかしくはありません。大胆な日数飛ばしに来たなと思いましたが、注意してみないと時間の感覚が掴みづらいね。
ハルが家を出て、いざ歩き出したところに穹の悲鳴が上がります。
「穹っ!?」
「いや! 来ないで!」
もちろんハルのことを拒んでいるわけではなく、自分に近づく何者かに向けての叫びです。暴漢か、ただ事ではない悲鳴にハルは家の中へと飛び込みますが、そこにいたのはヘアスプレーを部屋に撒き散らす穹の姿でした。普通なら害虫でも発生したのかと思うところでしょうが、なんと穹が悲鳴を上げた相手はでした。夏場に現れ、チクリと刺された箇所が痒くなるあれです。人にとっては害虫に違いないでしょうが、迷惑に感じても怖がる人は早々いないでしょう。子供だって蚊に対して怯えはしません。
半泣きになってハルに飛びつく穹は確かに可愛いんだけど、少しオーバー過ぎやしないかと思います。メガマガかなにかにこのイベントがやることは書いてありましたし、原作でも蚊についてのイベントはあるにはあるんですが、ここまで大げさということはなく、そもそも穹は怖がってませんでした。その時点で、アニメの穹は原作の穹と別物なんだなと考えることも出来ますが……まあ、可愛いから良いか。寝間着越しながら、ハルに胸を押しつける辺りが堪りません。

蚊は退治できたのか、なんとか学校へ登校したハル。既にくたくたとなっており、隣席の瑛がマッサージをしてあげます。老人と接することの多い瑛ですから、肩こりや腰痛などの対処はお手の物なんでしょう。効いているのか、ハルも普通に身を任せています。渚さんはあまり馴れ馴れしくしないようにと釘を刺しますが、実際にハルが疲れているのを感じ取ったのか、とりあえずは退きます。しかし、マッサージで喘ぐ展開というのは肩透かし描写としてよくありますけど、それを主人公の少年がやってしまうとは。いや、別に喘ぎってほどのものではなかったけどさ。
渚さんは面白くなさそうですけど、3人の会話には興味があるのか時折視線を向けます。蚊の話題については、原作と違ってハルが発生時期や対策等に無知だったのが気になった。別に瑛から蚊帳を貰うというのは構わないけど、原作のように「蚊帳を作ろうと思って」という台詞を入れても良かったんじゃなかろうか。入れた上で、わざわざ作らなくても余ってるのを上げるよと瑛に提案させればいいのですし。後に出てくる蚊帳を貰うシーンもそうだけど、アニメのハルは少し生活面でのたくましさに欠けるよね。
夕方、ハルに電話を掛けようとする穹が映ったと思ったら、何故か日中の体育のシーンへと切り替わる。本当に時間的感覚が掴みづらくなってるんだけど、これはどういう演出なのか。蚊帳を貰っている時点でこの体育が同じ日に起こったことだと判りますが、何故穹だけ夕方なのか。同じように日中でも良いし、どうしても夕方が良いならシーンをずらせば良いだけなのに。
体育では女子がリレーをやっていますが、さすがに山育ちと言うこともあって瑛が抜群の脚力を見せています。あれだけの石段を毎日何往復もしていれば、嫌でも鍛えられるのでしょうね。山の上にも度々入っていたようですし、どん臭さを除けば運動神経は作中随一だと思います。ゴールの際に勢いを付けすぎたのか転んでしまいましたが、その際の渚さんの台詞が気になった。
「保険委員の仕事、増やさないでって言ってるでしょ?」
膝を打った瑛に肩を貸し、そのまま保健室へと連れて行く渚さんですが……はて、渚さんは保険委員でしたっけ? ヨスガノソラって委員長が委員長なのと、奈緒が水泳部所属ということ以外に各キャラクターが部活や委員会等に所属している描写がないはずなので、これまた独自の設定かな。

さて、体育も終わり昼食の時間です。ハッキリいって、このシーンには第2話で一番の失望を憶えたかも知れない。いや、さすがにそれは大げさかも知れないが、何故、瑛は生クリームではなく弁当を食べているんだ!? と、普通に文句を言ってしまった。瑛の分まで弁当を持ってくる渚さんを描きたかったのは分かるけど、私はあの生クリームなるパンがどういうものか、とても興味があったので。生クリームってのはちなみにあれですよ、作中でよく瑛が食べている菓子パンで、ハル曰くメロンパンにクリームが詰まったような、あまり食事には向かないパンらしいです。メロンパンに生クリームといえば、成城石井でそんなパンが売っていますけど、あれはクリームを挟んでいるだけだし、実ものがどんなものか知りたかっただけに残念すぎる。まさか、瑛の生クリーム同好会もスルーされちゃうんだろうか? 別に瑛が弁当持ってくる描写がないわけじゃないけど、瑛と言えば生クリームという感じがしていただけに。本当に、アニメ版は原作における各種設定や描写を崩しに来ていますね。壊しているつもりはないと、プロデューサーであるやまちゅーさんは言ってましたけど。
まあ、瑛の持ってきた弁当がパッとしないのは事実だけど、仮に瑛がまともな弁当を持ってきていたら、渚さんはあの量をどうするつもりだったんだろう。正直、私に言わせれば渚さんだって大した弁当じゃないような気がするんだけど。ご飯ばかりあんなにあってもねぇ。野菜を食えと言うことなんだろうが、むしろ生クリーム食べてる瑛に「そんなものばかり食べて」と、自分の弁当を勧める方が自然だったんじゃないだろうか? 一応、時間がなくて用意できなかったというのが瑛の言い分ですが、瑛だって別に裕福な暮らしをしているわけじゃないし、弁当の中身が貧相ないし粗末なときだってあるでしょう。そこに自分の豪勢な弁当を勧めるというのは、例え日常行為なのだとしても瑛でもなければ嫌みに感じるんじゃないだろうか。
ちなみにハルは普通にパンとお茶で、自宅いる穹はポテトチョップチェダーWで昼食を取っています。なんていうか、ひきこもりとかニートってこういう生活してるのかなぁと、あまりスナック菓子を食べない私は想像してみる。あれって腹に溜まるもんなんですかね? 嗜好品としてはありだけど、食事としてはどうなんだろ。まあ、アメリカとかは夕食がポテチとか普通にあるらしいが。

放課後、掃除の時間に渚さんの物真似を披露する瑛。なにも本人の目の前でやることもあるまいにと思いつつ、これが意外に似てるから面白い。渚さんはチラチラと瑛を確認していますが、そこに委員長がやってきて誰かソーイングセットを持っていないかと訊いてきます。なんでも制服のボタンが取れたとかで、上を体操着に着替えている辺り、胸元辺りが外れたですかね? 下のボタンが一つとかなら、わざわざその場で付けたりはしないでしょう。ちなみに、このシーンの委員長の演技というか、声に少々の違和感を憶えた。まあ、ハルの前じゃなければこんなものなのかも知れませんが、そもそも何故委員長は学校に残っていたんだろうか? 掃除中にボタンが取れて、女子更衣室まで着替えに行っていたとか? もしくは掃除は放課後ではなく、昼食後に行われるのだろうか。あり得なくはないけど、その後普通に蚊帳貰いに行ってるしな……
正直、このシーンが出た時点で穹の制服のボタン付けは、原作と同じように瑛がするものだとばかり思ってました。奈緒の印象が強いけど、実は瑛ルートだと彼女がしてあげるんですよね。その際に穹とも再会して、打ち解けると言うほどではないにしろ心を開いたりと、距離を縮めますし。
委員長の制服をあっという間に直した瑛だけど、同じようにYシャツのボタンを直してくれまいかと頼んできた男子に、断りこそしなかったものの少し微妙な表情を、言ってしまえば嫌そうな顔をしたのは何故だろう? 普通に考えれば同性である女子はともかく、異性である男子のは嫌だと、そう思うことはごく自然です。ただ、瑛は基本的に男女関係なく人付き合いをしている娘ですし、それは亮平との仲の良さからも分かります。若干性格設定に変化があったのかな……と思ったら違いました。なんと、瑛はトイレを我慢していただけで、続く申し出に焦っていただけでした。渚さんが強引すぎる助け船に乗せて連れ去ったから良いものの、彼女がいなければ無理に続けていたのだろうか。
亮平や委員長も気付かなかったことですが、ゴミ出しでトイレの近くを通りかかったハルだけはなんとなくですが事情を悟ります。ただの偶然ですけど、確かに渚さんの為人を観察しているのだろうね。

瑛から蚊帳を貰うシーンは、ハルが神社へと足を踏み入れるシーンでもあるのですが、何気に全景が移っていましたね。大分長い石段の上にありますけど、見事な境内はモデルとは比較にならないほどの大きさと広さです。なにせ、社務所兼自宅が結構なサイズですし。なんか、神楽殿が小さく見えてしまうや。
ハルを置いて先に石段を登り切った瑛は、いつの間にか巫女服に着替えて登場します。早着替えなのか、それともハルが登るのに時間を掛けすぎたのかは分かりませんが、巫女服に新鮮さを憶えるのはともかく、頭の上に乗った猫の師匠はスルーなんですね。興味は持ったようですけど、関心がすぐに巫女服から垣間見える胸元へと移ってしまったので、結局ハルは触れず終い。原作にもあるシーンだけど、瑛はこういう無防備さが良いよ。話を逸らすため、貰い物をする以上は家の人にもお礼をとハルは言うのだけど、ここで瑛の一人暮らし設定が明らかになります。驚くハルですが、今さらのことなのでサラリとしている瑛。この際、神社の全容が分かりますけど、角度を変えてみると神楽殿も結構大きいね。というか、正面から見たときと若干違う気がするのは何故だろう。
ハルが瑛の一人暮らしだという話に興味を抱いたのは、好奇心ではなく自分が最近親を亡くしたからでしょう。瑛の場合は少し違いますけど、親がいないという意味では同じですし、親近感ではないにしろ思うところがあったのでしょう。帰りに伊福部商店にも寄って、コミカライズでは1度切りの登場だったやひろとも出会いますが、その粗雑な態度に押されますが、ハルは別に興味本位で首突っ込んでるわけでもないと思うんだよね。前述の理由もあるし、仲が良いといえるクラスメイトの身の上に自分と近いものを感じれば、気になったりもするでしょうよ。ある程度の事情を知っているやひろはハルを突き放しますけど、果たして彼女は今後も出番があるのだろうか。まあ、合ったとしてもCパート要員になりそうな気はするが。

伊福部商店でアイスを買ったハルが自宅への道を歩いていると、そこに車へ乗った渚さんが声を掛けてきました。
「丁度よかったです」
「渚さん」
「今、お電話しようかと」
あっさりしてますが、ここは結構重要です。何故ならこの時点で渚さんはハルの携帯ないし自宅の番号を知っているということになります。そしてわざわざ携帯を見せていることや、最初にあった亮平の発言を振り返るに、渚さんが知っているのはおそらくハルの携帯の番号でしょう。ハルが同じように渚さんの番号を知っているかは知りませんが、自分の番号だけ教えたとも思えないし、番号やメルアドの交換はしているということだろうか。さして仲がいいわけでもないのに、普通そんなことをするのかな……まして、携帯が普及していない地域なら番号を交換しあうという文化がないでしょうし、いや、ないからこそ瑛辺りがやって見せてと実演させたとか? ありそうな話だけど、なんかしっくり来ませんね。
渚さんの車に乗せて貰ったハルは出来上がったという穹の制服を受け取りますが、それについては一番上の方で書いたとおりです。ついでにしては不自然すぎる。
ここでハルは自分から見た渚さんの人物評を披露します。厳しそうに見えた第一印象も、本当は優しいんだよねと、そんなことを言い出します。
「天女目のこと、いつも怒っているように見えて、本当は凄く気を使ってあげているでしょ?」
「どうして?」
見抜かれたことに渚さんは驚きを隠せないようですが、次のハルの言葉が彼女の心を揺さぶります。
「ずっと見てたから、なんとなく分かったんだ」
「ずっと……」
「君は、凄く優しい人だよ」
ハルは別に渚さんを口説いているわけじゃありません。ありませんが、ずっと君を見ていた、君は優しい人だなどといわれて、動じない女子がどれほどいるのでしょうか? さすがの渚さんも頬を赤らめ、気をよくしたのか、「はじめて……そんな風に言われたの」と、PVにもあった台詞を呟きます。何度も言いますがハルは渚さんを口説いているわけでも、甘い言葉を囁いているわけでもありません。しかし、悲しきかな、ここで渚さんはある種の勘違いをしてしまうのです。ハルが見ていたのは瑛と渚さんであって、渚さん単体ではないのです。現に今のハルは、瑛の方に関心が向いていますし。
瑛の親友である渚さんならなにか知ってるかも知れないと思って尋ねたんでしょうが、さすがに渚さんの口は重かった。
「詮索はなさらないで……瑛のためにも、私のためにも」
自分が瑛の件に関わりがあることを僅かに漏らしていますが、この台詞で重要なのは「私のためにも」と自分を加えて渚さんが喋っていることです。確かに彼女自身の問題ではあるにせよ、それは公にして良いことでも、他人に吹聴するようなことでもありません。変に詮索する隙を与えないためにも、このとき渚さんは単に「瑛のために詮索はしないで」と言えば、それで済んだはずなんです。では、どうしてわざわざ自分を加えたのか? それが渚さんの勘違いであり、渚さんは他でもない自分に気を使うようにハルへ要求しているんです。自分のことを見ていたというハルが、少なからず自身に好意的なものを持っていると思いながら。もちろんハルが渚さんに好意を持っているのは当然ですが、それはあくまで友人レベルのことであり、恋愛感情などではありません。このときも、特に彼女を意識していませんでしたし。

帰宅したハルに渚さんが制服のボタン付けを買って出たのは、彼女がハルに好意を抱いているからで、相手も同じであると信じていたからでしょう。だからこそのお節介焼きであり、ハルの家を見てみたいという想いも合ったのかも知れません。月見山さんが難色を示したのは、家の用事もあるのでしょうが、その前に男の家に一人で上がらせるなよと。ボタン付けの時点で親がいないことは判ってそうなものなのに、友人付き合いには干渉しないのだろうか。まあ、月見山さんは父親の秘書であって、執事ではないからな。
表で渚さんと話すハルを見た、穹の不満そうな表情といったら。いきなり黒塗りの高級車で送られてきたわけですし、驚いても良いと思うんだけど、驚く暇もない展開という奴でしょうか。春日野家へと上がり込んだ渚さんは早速作業へと取りかかり、ハルに優雅だと称されます。襖の隙間からそれを覗く穹は、なにかをぬいぐるみへと呟きながらため息を吐きます。ここで渚さんの庶民アピールが炸裂し、アイスを食べる2人。穹も貰ったのか、それとも常備されていたのか分かりませんが、冷蔵庫の前で1人食べていました。正直な話、穹は渚さんを叩き出しても良かったと思うけど、なにせ相手は知らない人ですし、顔を出すのも嫌だったんでしょう。アイスの話に移ったときの、穹の表情と言ったらないね。アイスも結局ダメにしちゃったし、渚さんの存在に苛立ちを憶えていたのは間違いありません。
出来上がった制服を穹がすぐに受け取らなかったのは、彼女なりの意地でしょう。表情からは、尋ねてきた女がハルとどれほどの仲、関係なのかということを必死で考えているようでした。ハルに訊けば早いのでしょうが、そんなことが出来るはずもなく、結局は一人で悩む羽目に。夜中に一度、制服に目をやる穹が出てきたときは、てっきりボタンを引きちぎって自分で付け直すのかと思いきや、さすがにそれはしなかったらしい。意地は見せても、抵抗は出来なかったか。

翌る日、制服姿の穹をハルが絶賛しました。ハルに褒められることが嬉しいのか、穹も素直に喜んで、とりあえず昨日のことを引きずっている様子はありません。通学路を行く中で亮平に遭遇しますが、そのテンションとノリに怯えてしまい、ハルの背中へと隠れます。私は結構亮平が好きなんですが、こういうノリが好きじゃないって人もいるよね。瑛に比べれば、分かりやすいほど無理してますけど、これが彼なりの気遣いなんだと思う。
よっぽど瑛のことが気になるのか、亮平にも同じ質問をするハル。まあ、尋ねた人の態度が全員あんなでは、余計に気になるというのも無理はないのかも知れない。他の女の話題を口にするハルに穹は朝から不機嫌になり、「なに、お前。瑛に気があんの?」という亮平のツッコミに動揺を見せます。そういうわけでは決してないから、ハルは呆れつつも流すけど、あるいは亮平はわざとだったのかも知れない。彼だって瑛とは子供の頃からの付き合いですし、そもそもあの神社に神主の爺様がいたことは知っているはずです。その辺の事情を無視して、すぐに穹の席へと話を変えたのは、やはり彼なりに瑛のことを考えて、なのだろうか。いや、それこそ考え過ぎかな。
結局穹は原作と同じく違うクラスになりましたが、席の話が出たときは嬉しそうだった表情も、教壇の上では複雑なものになっています。コミカライズと違って、担任は女性なんですね。というか、この人も眼鏡なのか。ハルの担任やクラスメイトも眼鏡だけど、穂見学園は眼鏡率高いな。きっとスタッフで好きな人がいるに違いない。ハルとクラスは違うけど、席が同じ位置というのは良い演出かな。もっとも、窓際の隅は転校生の定位置なのかも知れないが。
クラスで窓の外を眺めるハルと、欠伸をする渚さん。昨日か春日野家を訪れた際、時刻は5時頃でしたけど、しきりに月見山さんが時間を気にしていたということは、夜からなにか用事があったに違いありません。父親の付き合いで会食か、いずれにせよ時間が掛かるものだったのでしょう。それこそ、プール掃除で使用するスク水を忘れてしまうほどに。
ところで制服が着たばかりの穹だけど、体操服や水着はもう持っているのね。これらは制服とは違う場所で買うんでしょうが、なんか腑に落ちない。

上に体操着を着ているとはいえ、水着姿を晒すのに恥じらう穹は可愛いね。野郎どもの歓声が上がり、亮平もテンションを上げますが、対照的にハルの表情は厳しい。
「変なことをしたら泣くまでくすぐるからな」
不機嫌そうな物言いは、穹が注目となっていることに対してか、それとも品のない視線や声を向ける男子に対してか……おそらく両方でしょう。まあ、要するに周囲の反応に嫉妬したんですね。
委員長から散水のホースを奪ってはしゃぎまくる瑛というのは予想通りだったけど、ここで一つ意外というか、驚いたことがある。第2話の時点で瑛と穹が会話をしてないのですよ。前回の予告映像に騙されたというか、絶対に会話してさっさと仲良くなると思ってだけに、水をぶっかけられるだけとは思わなかった。しかも、それで穹の出番終わりだしね。何度か穹の話題は学校でも上がっていたはずだけど、瑛がそれに反応することもないという。穹にとってはハル以外で唯一の味方なのに、渚さんとの繋がりを強調するために省かれたのかも知れない。
散水中のハルはなにをやっていたんだというツッコミはともかく、穹が水圧で倒されたときは駆け寄って欲しかったな……プールの底って固いんですよ? 頭でも打ってたら大変じゃないですか。はしゃぐシーン自体は良いんだけど、瑛に倒されただけって。
瑛を静止しようとする渚さんですが、振り和されていたホールの水を浴びて全身びしょ濡れに。その際に携帯が吹っ飛ぶんだけど、よく壊れませんでしたね。衝撃はともかく、水の直撃を受けたのに。
水浸しのままでは制服が透けて宜しくないと、責任を感じた瑛は渚さんを更衣室へと連れて行きます。そのときハルが渚さんの携帯を発見し、自宅からの着信ということもあって届けにいくんですが……いや、委員長にでも頼めばいいじゃない。自宅からの連絡で、火急の用事かも知れないというのは分かるよ? でも、女子更衣室へ行ったことは判ってるんだし、わざわざ行くことはないじゃないか。覗きが、その類に思われちゃうよ。しかも、聞き耳とはいえ実際にその手の行為をしてしまったし。
ハルは聞き耳立てた女子更衣室の会話から瑛と渚さんの姉妹関係を知ってしまうわけだけど、この辺りはコミカライズの方がまだマシだったかも。更衣室というエロいシチュエーションを出すためとは言え、今回は全体的に唐突で強引な展開が目立った。面白くないとは言わないけど、1話ほど感じるものが少なかったのも事実です。

第3話はいよいよ渚さんがヒロインとして台頭してくるようですが、次回予告の台詞は聞き捨てならない。
「何故かしら、私、気付いたらあの方とあんなことや、こんなことを?」と言っていますが、あの方がハルであることは間違いないとして、一体どんなことをしたというのか。更衣室っぽいところでの絡みは肌の色から考えてハルではないでしょうし、僅かに見える布地は短パンのそれではないので、瑛じゃないかなと。組み倒されているのは、渚さんでしょうけど。委員長以外で、あれを使って情事に及ぶとは……
多分、渚さんのそれは妄想じゃないのかな。一緒に電車へ乗るというシチュエーションがまず分からないし、なんか違う気がする。ただ、渚さんの話自体はサブタイトルから考えて4話までやるはずですし、来週である程度の方向性は見えてくるかも知れない。果たしてハルの貞操は守られるのか、それだけが気がかりです。

コメント