行く先は自分が決めるもの
2010年10月15日 ヨスガノソラ昨日のヨスガノソラで町おこし問題は、どうやらSphereと地元側で水面下の交渉が繰り返されていたらしく、それも今週末を持って一応の決着を見せるということになっているらしいです。町おこしに対する意見は昨日書いたとおりだけど、予想通り地元というか自治体側からの接触や要望があったというのが真相らしいです。広報の話では昨年の8月頃から地元の観光協会に問い合わせが殺到し、それからずっとSphereは対応しているそうだけど、折角だからこれまでの流れを簡易的にまとめてみますか。
結果から見るに、タイアップや町おこしを望んでいた地元側を、Sphereが最小限の範囲内で留めたという感じですね。1ヵ月以上も前から話があったとうことは、当然スタチャに情報が伝わらないわけもないし、そのスタチャが今月行われたマチアソビの段階で舞台紹介に消極的だったということは、町おこし企画やそれに類するものにも積極的ではないのでしょう。まあ、スタチャというかキングは音羽グループですから、バックに居るのは講談社ですけど、だからといって角川と同じことをする気もないようで。まあ、賢明な判断ではないかと思います。
8月に観光協会へ殺到したという問い合わせはなんだったのか、聖地巡礼者が樺崎八幡宮の所在地について詳しく訊いたというのが考えられますけど、ネットで探せばある程度は分かることを、わざわざ観光協会などに訊ねるものでしょうか? 仮にあったとしても、「ヨスガノソラという美少女ゲームの舞台になっている樺崎八幡宮への行き方を教えてください」などと直接的な質問をするわけもなく、さすがにそんな奴はいないと信じたい。
では、一体どうして露見したのか? 例え、ヨスガノソラの名前は出さずとも、急に樺崎八幡宮への参拝客が増えれば訝しがるでしょうし、なにかあったのかとネットで調べたのかもしれません。ただ、この問題が出るまでは単純に樺崎八幡宮で検索してもヨスガノソラが絡んだ記事が上位に来ることはありませんでしたし、まあ、調べ方にもよるんだろうけど、そんなに可能性が高いとも思えません。となれば、考えられるのは状況を知る者からの企画持ち込みではないでしょうか? 町おこしに限らず、企画というのは主催にしろ協賛にしろ、実際に取り仕切るのはちゃんとした企業や団体であることがほとんどだけど、企画そのものを発案するのは一個人であっても構わないのです。ヨスガノソラという作品が足利市の樺崎町を舞台にしていることを知っていた、もしくは知った何者かが、町おこしに類するタイアップ企画を観光協会に発案し、間に受けた協会側が関係各所、それこそ役所から市議会までを巻き込んで真剣に協議を始めた、とかね。別に何者が役所内の人間でも全然構わないし、重要なのは地元側から積極的なアプローチを仕掛けてきたということでしょう。
なにせ樺崎町というところは農業以外に目立った産業がないし、足利市も歴史の街といったところで、あまり流行っているわけではありません。商工会が自主的にオタク向けの企画をやってはいますが、それにしたって成功しているとは言いがたく、そうした状況の中で既にアニメ化が決定している作品の情報が舞い込んできたのではないか?
地元の寺社仏閣を萌えキャラにしてしまうぐらいですから、オタク向けの町おこしに足利市は少なからず関心を持っていたのかも知れません。昨日の日記でも書きましたが、この手の手法は鷲宮町や富山市などの前例があり、徳島市のように市を上げてアニメのイベントを開催しているようなところもあります。なので作品さえ人気なら、それなりの話題になることは疑いようがなく、自主企画を進めるよりもはるかに効率がいいのです。作品の人気にそのまま乗っかればいいわけですから。
足利の自治体内でどのようなやり取りがあったのかは分かりませんが、市議会の政治家まで出てきたという話です。予想以上のレベルまで問題は発展していたらしく、役所ぐるみでヨスガノソラを使った町おこし企画を、Sphereやスタチャに持ちかけていたのはまず間違いないでしょう。何故、両社がそれに乗っからなかったのかは、まあ、作品を考えれば分かることですし、これ以上に賢明な判断はないでしょう。けれど、足利市は引き下がらなかった。
私は足利市の財政事情は知りませんが、地上自治体なんて今はどこも厳しいでしょうし、特に産業が盛んでもないところの地域振興の要となるのは、いつの時代も観光事業です。私が足利に行った際も地元レストランの店員に来訪理由を訊かれましたし、基本的に若い人間が訪れるような場所ではないんでしょう。そこに恰好の情報が入ってきたわけで、市としてはなんとかしてこれに乗っかり地域活性化を目指したい。しかし、Sphereにしろスタチャにしろ作品の性質というものを分かってますから、ヨスガノソラがらき☆すたのような成功を収められるわけがないと拒否します。ヨスガがらき☆すたに劣っているとは言いませんが、作風がそもそも違うんです。エロゲ原作のエロ重視アニメと、萌え4コマが原作のライトなオタ向きアニメ、いくらキングの後ろに講談社が付いているといっても、角川のようなノウハウがあるわけでもないし、そもそもヨスガは講談社原作じゃありません。コミカライズをやっているのは角川の雑誌だけど、アニメに角川が関わっていない以上は手を貸す義理もないですし、誰が見たってヨスガノソラで町おこしの企画など成立するわけがないのです。
でも、地元側は食い下がった。成功すれば鷲宮のような地域現象になるかも知れない、テレビ等のメディアで取り上げられて、有名になるかも知れない。そうすれば人が沢山来るし、お金もいっぱい落としていく……ここまで浅ましい考えだったかは分かりませんが、金以外に町おこし企画など立案するわけもないのだから、根底部分としてこいうのがあるのは事実でしょう。そりゃ、Sphereやスタチャだって作品の知名度は上げたいだろうし、その方が売れるのは事実です。けれど、彼等が相手にしているのはあくまで一部のオタクたちであって、販売層というものが既に確立されているのです。そして、その層の人間へ確実に売っていくためには、町おこしなどというタイアップ企画は必要ないし、むしろファン離れすら起こす可能性があります。それに双子の近親相姦がメインという内容を考えれば、違う団体からの抗議があるとも限らない。だからこそ断ったし、例え政治家が出てこようと話をまとめるわけにはいかなかったのです。ヨスガノソラという作品を守るためには、それしかなかった。
すべての泥を自分で被るといったSphere広報の言葉はカッコいいけど、その割に秋季例祭の告知がギリギリでしたね。まあ、決まったのもここ数日という感じなんでしょうが、地元側との妥協点がヨスガノソラのアニメ背景と実際のロケ地の比較探訪図の展示というのはなんともね。基本的に地元民へのアニメ版ヨスガノソラの紹介コーナーというコンセプトという形を取っているらしく、あくまでこちら側を呼びこむような体裁ではありません。これが限界、唯一取れた方法というわけですかね。
興味がないといえば嘘になりますが、私は行かないと思います。仮にもヨスガノソラの絡んだイベントですから、行きたくないわけがないですが、午前11時に樺崎八幡宮へ行くというのは時間的に無理がありますし、なにより地元の絡んだ企画に乗っかりたくない。ここで私が秋季例祭とやらに行ってしまえば、ヨスガノソラに釣られた来た余所者ということになって、地元側の思惑に乗ることとなります。残念ですが、ここは参加せずに様子見することにします。町おこしなどという夢想を二度と抱かせないためにも、仕方が無いことです。まあ、地元にいるらしいヨスガファンが参加するかも知れないと言ってるし、こういうイベントが好きなオタクが押しかけて、展示物の写真ぐらいはネットにアップするかも知れません。ならば、私が特別行く理由はないですし、地元への影響を考えて不参加とさせていただきます。
今回の件で一番問題なのは、制作側が地元の要望で聖地を公表させられたという部分に尽きると思います。Sphereにしろスタチャにしろ、奥木染のモデルが樺崎町だと言うつもりはまったくなかったのに、どうしてもヨスガノソラを使いたい地元側が、自らここが聖地であると名乗り上げたのです。今までにこうしたことがあったのかは知りませんが、なんと短絡的で安易なことでしょうか。美少女ゲームで町おこしなどを企画している時点で恥知らずなのに、あくまで乗っかろうとするその姿勢。例え財政が火の車なのだとしても、私にはちょっと理解出来ないです。
いつの話だったか忘れましたが、なんとかいう武将の生地である土地が、その武将の大河ドラマを作らせて地域振興に役立てようと企画し、要望書を放送局に出したというニュースを見ました。武将ゆかりの地として、観光客の誘致がしたかったんでしょうね。今回の件と事情は異なりますが、今に地方自治体主導でアニメ作品が作られてもおかしくはないんじゃないでしょうか。足利ひめたまなんてアニメーターにキャラデザお願いしてるぐらいだし、たまゆらのような商法を取っている作品もありますからね。馬鹿馬鹿しい話と切り捨てるには、少し現実味に溢れすぎている気がします。
1.Sphereのスタッフ日記、原画家の橋本タカシがヨスガノソラの舞台についての話と、神社等の写真を公開する(5月28日~)
2.翌週、聖地に実在のモデルが存在することを知ったファンが調査を開始、限られた資料からこれを特定する(6月5日~)
3.聖地が特定されたことで、ファンによる巡礼が開始され、ブログ等にもアップされ始める(6月下旬~)
4.足利市観光協会に問い合わせが殺到し、Sphereが対応を始める(8月頃~)
5.マチアソビVol.4開催、ハルキノソラ出張版にてスタチャがモデルの詳細を公表することはないと明言(10月10日~)
6.Sphere広報のTwitterで足利市教育委員会文化財保護担当からの問い合わせが入っていることが発覚(10月13日~)
7.翌日、市議会などさらに多くの関係部署とやり取りが行われていることが発覚し、町おこし企画の可能性が浮上する(10月14日~)
8.同日午後、Sphere広報のTwitterで諸問題は既に決着に向かっていることが明かされる。同時に更新されたSphereスタッフ日記で樺崎八幡宮 秋季例祭の告知、地元向けの紹介コーナーを設けるとの情報(10月14日~)
9.アニメ版ヨスガノソラ公式サイトにて足利市『樺崎八幡宮』秋季例祭特別企画と、舞台紹介の美術ボードが公開(10月15日~)
結果から見るに、タイアップや町おこしを望んでいた地元側を、Sphereが最小限の範囲内で留めたという感じですね。1ヵ月以上も前から話があったとうことは、当然スタチャに情報が伝わらないわけもないし、そのスタチャが今月行われたマチアソビの段階で舞台紹介に消極的だったということは、町おこし企画やそれに類するものにも積極的ではないのでしょう。まあ、スタチャというかキングは音羽グループですから、バックに居るのは講談社ですけど、だからといって角川と同じことをする気もないようで。まあ、賢明な判断ではないかと思います。
8月に観光協会へ殺到したという問い合わせはなんだったのか、聖地巡礼者が樺崎八幡宮の所在地について詳しく訊いたというのが考えられますけど、ネットで探せばある程度は分かることを、わざわざ観光協会などに訊ねるものでしょうか? 仮にあったとしても、「ヨスガノソラという美少女ゲームの舞台になっている樺崎八幡宮への行き方を教えてください」などと直接的な質問をするわけもなく、さすがにそんな奴はいないと信じたい。
では、一体どうして露見したのか? 例え、ヨスガノソラの名前は出さずとも、急に樺崎八幡宮への参拝客が増えれば訝しがるでしょうし、なにかあったのかとネットで調べたのかもしれません。ただ、この問題が出るまでは単純に樺崎八幡宮で検索してもヨスガノソラが絡んだ記事が上位に来ることはありませんでしたし、まあ、調べ方にもよるんだろうけど、そんなに可能性が高いとも思えません。となれば、考えられるのは状況を知る者からの企画持ち込みではないでしょうか? 町おこしに限らず、企画というのは主催にしろ協賛にしろ、実際に取り仕切るのはちゃんとした企業や団体であることがほとんどだけど、企画そのものを発案するのは一個人であっても構わないのです。ヨスガノソラという作品が足利市の樺崎町を舞台にしていることを知っていた、もしくは知った何者かが、町おこしに類するタイアップ企画を観光協会に発案し、間に受けた協会側が関係各所、それこそ役所から市議会までを巻き込んで真剣に協議を始めた、とかね。別に何者が役所内の人間でも全然構わないし、重要なのは地元側から積極的なアプローチを仕掛けてきたということでしょう。
なにせ樺崎町というところは農業以外に目立った産業がないし、足利市も歴史の街といったところで、あまり流行っているわけではありません。商工会が自主的にオタク向けの企画をやってはいますが、それにしたって成功しているとは言いがたく、そうした状況の中で既にアニメ化が決定している作品の情報が舞い込んできたのではないか?
地元の寺社仏閣を萌えキャラにしてしまうぐらいですから、オタク向けの町おこしに足利市は少なからず関心を持っていたのかも知れません。昨日の日記でも書きましたが、この手の手法は鷲宮町や富山市などの前例があり、徳島市のように市を上げてアニメのイベントを開催しているようなところもあります。なので作品さえ人気なら、それなりの話題になることは疑いようがなく、自主企画を進めるよりもはるかに効率がいいのです。作品の人気にそのまま乗っかればいいわけですから。
足利の自治体内でどのようなやり取りがあったのかは分かりませんが、市議会の政治家まで出てきたという話です。予想以上のレベルまで問題は発展していたらしく、役所ぐるみでヨスガノソラを使った町おこし企画を、Sphereやスタチャに持ちかけていたのはまず間違いないでしょう。何故、両社がそれに乗っからなかったのかは、まあ、作品を考えれば分かることですし、これ以上に賢明な判断はないでしょう。けれど、足利市は引き下がらなかった。
私は足利市の財政事情は知りませんが、地上自治体なんて今はどこも厳しいでしょうし、特に産業が盛んでもないところの地域振興の要となるのは、いつの時代も観光事業です。私が足利に行った際も地元レストランの店員に来訪理由を訊かれましたし、基本的に若い人間が訪れるような場所ではないんでしょう。そこに恰好の情報が入ってきたわけで、市としてはなんとかしてこれに乗っかり地域活性化を目指したい。しかし、Sphereにしろスタチャにしろ作品の性質というものを分かってますから、ヨスガノソラがらき☆すたのような成功を収められるわけがないと拒否します。ヨスガがらき☆すたに劣っているとは言いませんが、作風がそもそも違うんです。エロゲ原作のエロ重視アニメと、萌え4コマが原作のライトなオタ向きアニメ、いくらキングの後ろに講談社が付いているといっても、角川のようなノウハウがあるわけでもないし、そもそもヨスガは講談社原作じゃありません。コミカライズをやっているのは角川の雑誌だけど、アニメに角川が関わっていない以上は手を貸す義理もないですし、誰が見たってヨスガノソラで町おこしの企画など成立するわけがないのです。
でも、地元側は食い下がった。成功すれば鷲宮のような地域現象になるかも知れない、テレビ等のメディアで取り上げられて、有名になるかも知れない。そうすれば人が沢山来るし、お金もいっぱい落としていく……ここまで浅ましい考えだったかは分かりませんが、金以外に町おこし企画など立案するわけもないのだから、根底部分としてこいうのがあるのは事実でしょう。そりゃ、Sphereやスタチャだって作品の知名度は上げたいだろうし、その方が売れるのは事実です。けれど、彼等が相手にしているのはあくまで一部のオタクたちであって、販売層というものが既に確立されているのです。そして、その層の人間へ確実に売っていくためには、町おこしなどというタイアップ企画は必要ないし、むしろファン離れすら起こす可能性があります。それに双子の近親相姦がメインという内容を考えれば、違う団体からの抗議があるとも限らない。だからこそ断ったし、例え政治家が出てこようと話をまとめるわけにはいかなかったのです。ヨスガノソラという作品を守るためには、それしかなかった。
すべての泥を自分で被るといったSphere広報の言葉はカッコいいけど、その割に秋季例祭の告知がギリギリでしたね。まあ、決まったのもここ数日という感じなんでしょうが、地元側との妥協点がヨスガノソラのアニメ背景と実際のロケ地の比較探訪図の展示というのはなんともね。基本的に地元民へのアニメ版ヨスガノソラの紹介コーナーというコンセプトという形を取っているらしく、あくまでこちら側を呼びこむような体裁ではありません。これが限界、唯一取れた方法というわけですかね。
興味がないといえば嘘になりますが、私は行かないと思います。仮にもヨスガノソラの絡んだイベントですから、行きたくないわけがないですが、午前11時に樺崎八幡宮へ行くというのは時間的に無理がありますし、なにより地元の絡んだ企画に乗っかりたくない。ここで私が秋季例祭とやらに行ってしまえば、ヨスガノソラに釣られた来た余所者ということになって、地元側の思惑に乗ることとなります。残念ですが、ここは参加せずに様子見することにします。町おこしなどという夢想を二度と抱かせないためにも、仕方が無いことです。まあ、地元にいるらしいヨスガファンが参加するかも知れないと言ってるし、こういうイベントが好きなオタクが押しかけて、展示物の写真ぐらいはネットにアップするかも知れません。ならば、私が特別行く理由はないですし、地元への影響を考えて不参加とさせていただきます。
今回の件で一番問題なのは、制作側が地元の要望で聖地を公表させられたという部分に尽きると思います。Sphereにしろスタチャにしろ、奥木染のモデルが樺崎町だと言うつもりはまったくなかったのに、どうしてもヨスガノソラを使いたい地元側が、自らここが聖地であると名乗り上げたのです。今までにこうしたことがあったのかは知りませんが、なんと短絡的で安易なことでしょうか。美少女ゲームで町おこしなどを企画している時点で恥知らずなのに、あくまで乗っかろうとするその姿勢。例え財政が火の車なのだとしても、私にはちょっと理解出来ないです。
いつの話だったか忘れましたが、なんとかいう武将の生地である土地が、その武将の大河ドラマを作らせて地域振興に役立てようと企画し、要望書を放送局に出したというニュースを見ました。武将ゆかりの地として、観光客の誘致がしたかったんでしょうね。今回の件と事情は異なりますが、今に地方自治体主導でアニメ作品が作られてもおかしくはないんじゃないでしょうか。足利ひめたまなんてアニメーターにキャラデザお願いしてるぐらいだし、たまゆらのような商法を取っている作品もありますからね。馬鹿馬鹿しい話と切り捨てるには、少し現実味に溢れすぎている気がします。
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