コンプエースのCMを確認するためにそらのおとしものを観てたんですけど、普通に好きな作品の一つだったりします。元々がSF好きってのもあるけど、おちゃらけているようでシリアスとギャグの落差をあまり感じさせない、かなりしっかりした作品になっていると思う。作品自体に明確なテーマがいくつかあるから、全体的な話のまとまりが凄くいいんだよね。AT-Xで1期の再放送やってるからそちらも見てるんだけど、当時は中だるみと言われていた部分も、今見るとあまり気にならなくなっていた。というか、ニンフが可愛ければ他にはなにもいらないと思う。

先週から続きニンフ回なわけだけど、メインがニンフというだけであって、話的には前回も今回も第一世代エンジェロイドの三人の心境の変化や明確化が描かれていたように思う。ニンフは未だ精神的に立ち直れていない部分があって、そこを抉られたわけだけど、智樹のおかげでなんとか崩壊するには至らなかった。けどそれはあくまで一時的なものに過ぎず、羽根を失ったことやマスターがいないことはニンフに取って弱点ともいうべき心の傷になっており、それを今後どうするのかが課題として残りました。まあ、智樹がマスターになることで解決するんでしょうけど、ニンフはああいう性格ながらマスターという存在に対する依存心が強いので、智樹はその危うさを案じている印象がある。
一方で自ら鎖を断ち切ったアストレアは、心境的な変化が一番明確に現れたキャラではなかろうか。智樹のことを好きだといった言葉は、本人の言うとおり恋愛というよりは友人としてなんだろうけど、馬鹿が馬鹿なりに考えて、自分で決断できるほど成長したというのは大きいと思う。前回からこっち、色々悩んでもいましたし、これからどうするのかはともかくとしても、今後に期待は出来るんじゃないかと。戦闘シーンもいつになく格好良かったし、一気に存在感が増しました。
ただ、話の根幹としてはやはりイカロスが良い所を持っていったかな。カオスと戦う中で愛について問われ、答えを出すことは出来ないけど内に秘めた想いを爆発させることは出来た。恋にしろ愛にしろ、感情としてそれを理解不能であるイカロスだけど、智樹への想いは本物ですから。それを全力でぶつけたからこそ、カオスに打ち勝つことが出来たのではないか。けど、ウラヌスシステムまで起動したのに追い込まれたというのはどうなんだろ。それだけカオスが強かったというのもあるんだろうが、空の女王としてイカロスの持っていた、圧倒的な力が損なわれてしまった気がする。まあ、自己修復に能力を使い過ぎて攻撃面まで回復できなかったのかも知れないけど。ウラヌスシステムを使ったのも、それがなければカオスと渡り合うことが出来ないぐらいまでのダメージを受けていたと考えるべきかな。大破に近い状況まで破損したけど、もうシステムは使用不能になったんだろうか? イカロス本人に自己修復機能が備わっているのだから、システムの再構築ないし再起動も不可能ではないと思うけど……でも、下手すると海底へ封じ込まれたカオスが吸収する可能性もあるから怖い。そうなったら、誰もカオスを止められなくなる。

カオスはなんていうか、哀れな娘だなぁって感じがした。個人的には嫌いじゃないんだけど、エンジェロイドにしては自己の欲求や欲望が全面に出ているよね。何者にも姿を変えることが出来るのに、誰もが心に持っている感情を理解することが出来ない。カオスはどす黒い性格をしているようで、実はかなり純粋な存在なのかも知れない。間違っても純真ではないだろうが、結局のところカオスは最初から最後まで愛について知りたくて戦っていたように思える。勝ち負けじゃないんですよ、カオスに取って重要なのは。だから、アストレアに腕一本持って行かれても少し驚く程度の反応で済ませていたし、馬鹿だから愛についてわからない彼女を殺すことを躊躇わなかった。ニンフに対してそうであったように。
イカロスをも粉砕する勢いだった攻撃も、マスターの命令がどうというより、自分の感情を優先させていた傾向があるし、カオスには戦闘よりも対話や教育のほうが良いんじゃないかと思う。子供なんだよ、生まれたてで、分からないことだらけだから分かりたいと考える。愛が知りたいと、そう叫び続けたカオスにイカロスが驚いたのは、エンジェロイドであるのにも関わらず、実に自分の欲望へ忠実な行動をしていたからではないだろうか。もちろん、質問そのものの意外さもあったんだろうけど。
そういやカオスの声は豊崎愛生でしたが、これで戸松遥以外はスフィアが全員出ているのかな? 日笠陽子や大亀あすかも出てますが、最近のアニメでは特に若手でキャストが構成されていると思う。

智樹も今回は格好良かったね。戦闘者ではない彼に出来たのはニンフを保護することだったけど、シリアスパートだと途端に格好良くなって、言葉に重みが増すと思う。ダイダロスがある種、技術者としての視点から外れられないのに対し、智樹は地上人として純粋な、いや、純真な存在だろうし。そういった意味では、カオスとも会っておくべきだったのかも知れない。
EDは村下孝蔵の踊り子でしたが、ニンフ回は村下孝蔵が多いですね。1期のときも初恋が流れましたし、私は結構好きな歌手だったので嬉しいです。まあ、シリアス回の後にどうなのかと言われると、人によって色々あると思いますけど、昭和の歌謡曲だって捨てたもんじゃないですよ。

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