ファフナーの映画は今流行のリピーター特典なるものをやっていて、1回目の半券を持って2回目を観に行くと、ボイスCDが貰えるらしいです。川崎でまだやっているかは知りませんが、チネチッタのHPを見る限りでは特に配布終了したとか書いていないので、まだ数はあるのかな? 私はこれといって興味ないけど、2回目はどちらにせよ観に行こうかと思っているので、そのときにでも調べてみることにします。あんまり余裕ないので、そう何回も行けるわけじゃないですが、チネチッタでの最終日とかも行きたいしさ。
今日は立上芹の話ということで、芹はTV本編の中盤以降に登場するキャラクターです。丁度、AT-Xで登場した回の再放送がやってましたけど、初登場は15話「記憶~さけび」になります。人類軍が竜宮島に襲来した際、自らを岩戸より解放させた皆城乙姫が、地上に出て初めて出会った人間が芹でした。芹は中学の生物部に所属しており、山には昆虫の観察かなにかできていました。突然のことに部員たちともはぐれ、一人山を彷徨っていたところに乙姫と遭遇します。乙姫は地上に出てきたばかりで満足に言葉を喋ることも出来ず、どことなく意識もぼんやりとしている感じで、その異様とも思える姿に芹は思わず叫び声を上げてしまう。まあ、無理もない反応ですけど、このことからも2人の出会いは色々な意味で衝撃的なものでした。
やがて人類軍が島の占領を始めた中、芹は逃げ遅れた大人たちに混じって林の一角に腰を下ろしていました。その隣には乙姫もいて、同じ子供ということもあってか一緒に行動していたことがわかります。多分、芹が連れてきたんでしょうね。乙姫はまだぼんやりとしていて、一つ一つ確かめるように言葉を紡いでいます。そんな乙姫の姿に芹は最初こそ戸惑いが隠せませんでしたが、乙姫がまともに喋れるようになるにつれて、段々と会話や交流を深めていきました。乙姫の持つ不思議な雰囲気に芹が関心や興味を示していたというのもあるんでしょうが、一時避難場所において乙姫のことを気にかけていたのは芹だけでしたからね。互いに子供が自分たちしかいなかったというのはもちろんあるんでしょうが、芹もまた自分の話を語り始め、乙姫はそれを聞きたがりました。乙姫にとってはなにもかもが初めてのことばかりでしたけど、人と会話をするという経験が絶対的に不足していたから、気さくに話しかけてくれる芹の存在は大きかったんでしょう。それに生物部における芹の話は、乙姫をして「優しいんだ」と笑顔になるほど、芹の為人がよく現れているものだったから。
夜も更けて大人たちが皆移動してしまった後、芹と乙姫は2人だけで行動することになる。これは外に出たばかりの乙姫がまだ上手く歩けないことが原因だったけど、そういった事情を芹がどこまで察しているかはともかく、「休みながら行こうよ、無理しないで」と温かい言葉を掛けてくれる。状況的に言えば、人類軍が島の中に沢山上陸しているわけですし、芹だって親の安否など不安なことはいっぱいあります。大人たちが2人を置いてさっさと行ってしまった理由は知りませんが、それでも芹は乙姫を見捨てることなく、自分が一緒にいることが当然だと言わんばかりに世話を焼いてあげました。元が生物部だから世話好きなのかは分かりませんけど、まあ、外見年齢でなら乙姫は芹よりも年下ですし、雰囲気からも放っておけない部分があったんでしょうね。そんな優しい芹だからこそ、乙姫はこんなことを言いました。
「ねぇ、一つお願いしていい?」
「いいよ、おんぶでもなんでも」
「ううん……私と、友達になって欲しいの。私、一人も友達いないの」
意外といえば意外なお願いに芹は一瞬驚きましたが、すぐに笑いながらこう言いました。
「なに言ってんの、もうここにいるじゃん」
「……ありがとう、芹ちゃん」
こうして2人は友達になりました。乙姫にとっては最初の友達であり、芹とっても後に最高の親友となる、そんな2人の関係はこんな風に始まったのです。
劇場版の話にやっと移しますが、映画における芹と乙姫の関係はある意味でTVシリーズよりも強い絆となっていました。乙姫の存在が消えてから2年経ち、友達から親友となった少女を失った芹は新しいコアの元へ、毎日足しげく通っています。普通に考えればブリュンヒルトシステムの要であるコアが封印されている岩戸に、パイロットの研修生みたいな立場の芹が入れるはずはないのですが、特例なのかなんのか、虫かご片手に通うことを許可されていたようです。史彦が気を利かせたのか、彼は芹が乙姫の友人であったことを知っている人物ですからね。以前の出来事からも、印象深い存在ではあったのでしょう。芹の存在が新しいコアに対してどんな影響を与えていたのか、それともまったく影響はなかったのか、少なくとも悪影響でなかったのは確かです。勿論、芹は現在のコアが乙姫でないことは理解しているのですが、かつての総士がしていたように、乙姫に語りかけることは芹にとって重要なことだったんでしょう。自分自身のためにも。
芹は口でこそ乙姫は死んだわけではない、島そのものが乙姫なのだと彼女の存在を定義していますが、それでも喪失感のようなものを感じないわけがない。ましてや、芹は少なからず乙姫の影響を受け、感化されている部分もありましたから、その行動や発想には常に乙姫のことが思い出されてしまう。元々、似ている部分があったのか、それとも芹が純粋で純真だったのかは分かりませんけど、芹はどこか乙姫の姿を追い求めていることろがあった。そして、その想いは誰よりもどんな人よりも強く大きなものだった。
例えば、西尾里奈もTV本編では乙姫の友人の1人だったはずですが、劇場版において里奈は乙姫の死を肯定しています。目の前で消えたんですから、そういう解釈があってもおかしくはないだろうし、両親の死を経験している里奈にとって死を受け入れることそれ自体は、あまり難しいことではなかったのでしょう。ましてや、弟である暉が両親の死を受け入れず、否定し続けて自分の殻に篭っていたわけですからね。乙姫の存在に、ある意味で固執している芹に対する苛立ちを見せるのも、分からないではありません。それに、これは重要ですけど、里奈は乙姫の友達ではあったかも知れないけど、親友ではなかったんです。芹との違いはそこであり、芹は乙姫が最初に選び、最後まで親友だったかけがえのない存在だったから。里奈や広登なんかとは絆の強さに差がありすぎた。
敵の再襲来という事実を前に、芹はファフナーのパイロットとしてマークツヴォルフに乗ることになりました。TV本編でも適性率の高い存在として召集されていたことがありましたけど、蒼穹作戦終了後は平和だったこともあり、正式なパイロットとなるのは必要性の薄さから後回しにされていたんでしょう。ファフナーのパイロットは変性意識によってなにかしらの影響をうけるんですが、芹の場合はどちらかといえば攻撃的な、頭突きなどの勢いに任せた行動が見られるようになった。パンフにも書いてありましたが、芹は昆虫観察や採集を趣味にしている元気娘ですけど、後輩組の中ではもっとも聡明にして、落ち着いた性格をしていたりもします。以前に乙姫を糾弾した史彦に反論したように、真矢とは違った意味で人の内面を感じ取ることが出来る娘ですから。
そんな芹だからか、彼女は途中で敵であるフェストゥムがなにかを叫び、訴えているように思い始めてきた。里奈はそれを怒りや憎しみの言葉であると偏見や先入観から断定しますが、芹は乙姫ならそんなことは言わないと否定し、2人の仲に険悪なものが走ってしまう。やがて、芹は先輩組や一騎ですら辿りつけなかった真実、フェストゥムの叫びの意味を理解してしまう。それは痛みや苦しみを訴える言葉であり、そのことに気付いた芹は戦えなくなった。敵の痛みを、苦しみを、そして悲しみを芹は知ってしまったから。敵という存在に里奈ほど強い憎しみをいだいているわけでもなく、暉や広登のように少年らしい正義感や戦意を持っているわけでもない芹には、ファフナーによるこれ以上の戦闘は無理だったんです。
そうした芹の感情が形となって現れたのが、倒したフェストゥムに対する墓でした。史彦は芹の行動に多少の驚きは覚えたようですけど、それもまた芹らしいと思ってくれたのか肯定してくれました。翔子が自爆攻撃を行っただけで嫌がらせを受けるような島ですし、本当であれば芹の行いは偽善を通り越して、顰蹙以上のものを買ってしまうものだったことでしょう。フェストゥムによって親兄弟を失ったものもいるでしょうし、誰かの親兄弟は、狭い島の中で自分にとっての友人、知人であり得るのですから。そう考えれば、敵の墓を作り、その死を悼むという芹の行いは決して良いものではなかったはずです。けれど、史彦がそれを肯定してくれたことで、幾らか救われた部分もあったんだと思う。映画観て思ったけど、史彦は本当に器の拾い、大きな人間になりましたよ。
芹は史彦の要求で、コアが成長期を乗り切る間の代替者となりました。これは不安定なコアを補助する役目でしたが、数週間で同化が始まる可能性が高いという、とても危険なものでした。史彦が芹以外にいないといったのは、やはり彼が芹のことを乙姫にとって重要な存在であるということを強く認識していたからでしょうが、芹もまたそうした役目を拒むことなく、自らシナジェティック・スーツに身を包んでコアの側にいることを望んだ。その結果、芹は乙姫と再会することが出来た。もう一度会いたかった親友との、最後のひとときを得ることが芹には出来たのです。
芹が乙姫に対して募らせていた想いは、単なる親友という関係を超えたものでした。実は劇場版の時間軸になる以前から、乙姫の思念体のようなものが島では目撃されており、実際に史彦や弓子が遭遇しています。でも、芹の前には多分現れなかった。乙姫がなにを思って親友である芹の前に姿を見せなかったのか、それとも見せられなかったのかは分かりませんが、噂になるぐらいですから乙姫と関係の深かった芹の耳に入らないわけもなく、芹が新しいコアのもとに毎日通っていたのは、ひと目でも乙姫に会えるかも知れないという、そうした気持ちもあったからかも知れません。そんな芹の想いが身を結んで、遂に彼女は親友である乙姫と再会するわけですが、その結末には正直グッと来るものがありました。こればっかりは書くこと自体が野暮だと思うので書きませんけど、芹が乙姫との最後の時間をどのように過ごし、それによってどうなったのかは、劇場版の後日談やアフターストーリーにでも期待するとしましょう。とりあえず私は、芹と乙姫の為にもう一度映画を観に行こうと思います。
今日は立上芹の話ということで、芹はTV本編の中盤以降に登場するキャラクターです。丁度、AT-Xで登場した回の再放送がやってましたけど、初登場は15話「記憶~さけび」になります。人類軍が竜宮島に襲来した際、自らを岩戸より解放させた皆城乙姫が、地上に出て初めて出会った人間が芹でした。芹は中学の生物部に所属しており、山には昆虫の観察かなにかできていました。突然のことに部員たちともはぐれ、一人山を彷徨っていたところに乙姫と遭遇します。乙姫は地上に出てきたばかりで満足に言葉を喋ることも出来ず、どことなく意識もぼんやりとしている感じで、その異様とも思える姿に芹は思わず叫び声を上げてしまう。まあ、無理もない反応ですけど、このことからも2人の出会いは色々な意味で衝撃的なものでした。
やがて人類軍が島の占領を始めた中、芹は逃げ遅れた大人たちに混じって林の一角に腰を下ろしていました。その隣には乙姫もいて、同じ子供ということもあってか一緒に行動していたことがわかります。多分、芹が連れてきたんでしょうね。乙姫はまだぼんやりとしていて、一つ一つ確かめるように言葉を紡いでいます。そんな乙姫の姿に芹は最初こそ戸惑いが隠せませんでしたが、乙姫がまともに喋れるようになるにつれて、段々と会話や交流を深めていきました。乙姫の持つ不思議な雰囲気に芹が関心や興味を示していたというのもあるんでしょうが、一時避難場所において乙姫のことを気にかけていたのは芹だけでしたからね。互いに子供が自分たちしかいなかったというのはもちろんあるんでしょうが、芹もまた自分の話を語り始め、乙姫はそれを聞きたがりました。乙姫にとってはなにもかもが初めてのことばかりでしたけど、人と会話をするという経験が絶対的に不足していたから、気さくに話しかけてくれる芹の存在は大きかったんでしょう。それに生物部における芹の話は、乙姫をして「優しいんだ」と笑顔になるほど、芹の為人がよく現れているものだったから。
夜も更けて大人たちが皆移動してしまった後、芹と乙姫は2人だけで行動することになる。これは外に出たばかりの乙姫がまだ上手く歩けないことが原因だったけど、そういった事情を芹がどこまで察しているかはともかく、「休みながら行こうよ、無理しないで」と温かい言葉を掛けてくれる。状況的に言えば、人類軍が島の中に沢山上陸しているわけですし、芹だって親の安否など不安なことはいっぱいあります。大人たちが2人を置いてさっさと行ってしまった理由は知りませんが、それでも芹は乙姫を見捨てることなく、自分が一緒にいることが当然だと言わんばかりに世話を焼いてあげました。元が生物部だから世話好きなのかは分かりませんけど、まあ、外見年齢でなら乙姫は芹よりも年下ですし、雰囲気からも放っておけない部分があったんでしょうね。そんな優しい芹だからこそ、乙姫はこんなことを言いました。
「ねぇ、一つお願いしていい?」
「いいよ、おんぶでもなんでも」
「ううん……私と、友達になって欲しいの。私、一人も友達いないの」
意外といえば意外なお願いに芹は一瞬驚きましたが、すぐに笑いながらこう言いました。
「なに言ってんの、もうここにいるじゃん」
「……ありがとう、芹ちゃん」
こうして2人は友達になりました。乙姫にとっては最初の友達であり、芹とっても後に最高の親友となる、そんな2人の関係はこんな風に始まったのです。
劇場版の話にやっと移しますが、映画における芹と乙姫の関係はある意味でTVシリーズよりも強い絆となっていました。乙姫の存在が消えてから2年経ち、友達から親友となった少女を失った芹は新しいコアの元へ、毎日足しげく通っています。普通に考えればブリュンヒルトシステムの要であるコアが封印されている岩戸に、パイロットの研修生みたいな立場の芹が入れるはずはないのですが、特例なのかなんのか、虫かご片手に通うことを許可されていたようです。史彦が気を利かせたのか、彼は芹が乙姫の友人であったことを知っている人物ですからね。以前の出来事からも、印象深い存在ではあったのでしょう。芹の存在が新しいコアに対してどんな影響を与えていたのか、それともまったく影響はなかったのか、少なくとも悪影響でなかったのは確かです。勿論、芹は現在のコアが乙姫でないことは理解しているのですが、かつての総士がしていたように、乙姫に語りかけることは芹にとって重要なことだったんでしょう。自分自身のためにも。
芹は口でこそ乙姫は死んだわけではない、島そのものが乙姫なのだと彼女の存在を定義していますが、それでも喪失感のようなものを感じないわけがない。ましてや、芹は少なからず乙姫の影響を受け、感化されている部分もありましたから、その行動や発想には常に乙姫のことが思い出されてしまう。元々、似ている部分があったのか、それとも芹が純粋で純真だったのかは分かりませんけど、芹はどこか乙姫の姿を追い求めていることろがあった。そして、その想いは誰よりもどんな人よりも強く大きなものだった。
例えば、西尾里奈もTV本編では乙姫の友人の1人だったはずですが、劇場版において里奈は乙姫の死を肯定しています。目の前で消えたんですから、そういう解釈があってもおかしくはないだろうし、両親の死を経験している里奈にとって死を受け入れることそれ自体は、あまり難しいことではなかったのでしょう。ましてや、弟である暉が両親の死を受け入れず、否定し続けて自分の殻に篭っていたわけですからね。乙姫の存在に、ある意味で固執している芹に対する苛立ちを見せるのも、分からないではありません。それに、これは重要ですけど、里奈は乙姫の友達ではあったかも知れないけど、親友ではなかったんです。芹との違いはそこであり、芹は乙姫が最初に選び、最後まで親友だったかけがえのない存在だったから。里奈や広登なんかとは絆の強さに差がありすぎた。
敵の再襲来という事実を前に、芹はファフナーのパイロットとしてマークツヴォルフに乗ることになりました。TV本編でも適性率の高い存在として召集されていたことがありましたけど、蒼穹作戦終了後は平和だったこともあり、正式なパイロットとなるのは必要性の薄さから後回しにされていたんでしょう。ファフナーのパイロットは変性意識によってなにかしらの影響をうけるんですが、芹の場合はどちらかといえば攻撃的な、頭突きなどの勢いに任せた行動が見られるようになった。パンフにも書いてありましたが、芹は昆虫観察や採集を趣味にしている元気娘ですけど、後輩組の中ではもっとも聡明にして、落ち着いた性格をしていたりもします。以前に乙姫を糾弾した史彦に反論したように、真矢とは違った意味で人の内面を感じ取ることが出来る娘ですから。
そんな芹だからか、彼女は途中で敵であるフェストゥムがなにかを叫び、訴えているように思い始めてきた。里奈はそれを怒りや憎しみの言葉であると偏見や先入観から断定しますが、芹は乙姫ならそんなことは言わないと否定し、2人の仲に険悪なものが走ってしまう。やがて、芹は先輩組や一騎ですら辿りつけなかった真実、フェストゥムの叫びの意味を理解してしまう。それは痛みや苦しみを訴える言葉であり、そのことに気付いた芹は戦えなくなった。敵の痛みを、苦しみを、そして悲しみを芹は知ってしまったから。敵という存在に里奈ほど強い憎しみをいだいているわけでもなく、暉や広登のように少年らしい正義感や戦意を持っているわけでもない芹には、ファフナーによるこれ以上の戦闘は無理だったんです。
そうした芹の感情が形となって現れたのが、倒したフェストゥムに対する墓でした。史彦は芹の行動に多少の驚きは覚えたようですけど、それもまた芹らしいと思ってくれたのか肯定してくれました。翔子が自爆攻撃を行っただけで嫌がらせを受けるような島ですし、本当であれば芹の行いは偽善を通り越して、顰蹙以上のものを買ってしまうものだったことでしょう。フェストゥムによって親兄弟を失ったものもいるでしょうし、誰かの親兄弟は、狭い島の中で自分にとっての友人、知人であり得るのですから。そう考えれば、敵の墓を作り、その死を悼むという芹の行いは決して良いものではなかったはずです。けれど、史彦がそれを肯定してくれたことで、幾らか救われた部分もあったんだと思う。映画観て思ったけど、史彦は本当に器の拾い、大きな人間になりましたよ。
芹は史彦の要求で、コアが成長期を乗り切る間の代替者となりました。これは不安定なコアを補助する役目でしたが、数週間で同化が始まる可能性が高いという、とても危険なものでした。史彦が芹以外にいないといったのは、やはり彼が芹のことを乙姫にとって重要な存在であるということを強く認識していたからでしょうが、芹もまたそうした役目を拒むことなく、自らシナジェティック・スーツに身を包んでコアの側にいることを望んだ。その結果、芹は乙姫と再会することが出来た。もう一度会いたかった親友との、最後のひとときを得ることが芹には出来たのです。
芹が乙姫に対して募らせていた想いは、単なる親友という関係を超えたものでした。実は劇場版の時間軸になる以前から、乙姫の思念体のようなものが島では目撃されており、実際に史彦や弓子が遭遇しています。でも、芹の前には多分現れなかった。乙姫がなにを思って親友である芹の前に姿を見せなかったのか、それとも見せられなかったのかは分かりませんが、噂になるぐらいですから乙姫と関係の深かった芹の耳に入らないわけもなく、芹が新しいコアのもとに毎日通っていたのは、ひと目でも乙姫に会えるかも知れないという、そうした気持ちもあったからかも知れません。そんな芹の想いが身を結んで、遂に彼女は親友である乙姫と再会するわけですが、その結末には正直グッと来るものがありました。こればっかりは書くこと自体が野暮だと思うので書きませんけど、芹が乙姫との最後の時間をどのように過ごし、それによってどうなったのかは、劇場版の後日談やアフターストーリーにでも期待するとしましょう。とりあえず私は、芹と乙姫の為にもう一度映画を観に行こうと思います。
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