先日、左手の小指に怪我をしました。折りたたみ式の大きなプラスチックケースに挟んだからなんですけど、夜になっても痛みが引かなかったので病院へ行くことに。自分でも大げさだと思ったけど、家族が小指は脆いから折れている可能性もあるとか脅すもんで。だから、会社へ行く前に地元の整形外科に寄ったんですが、ああいうところってジジババのたまり場になっているケースが多くて、私が行ったところもその例にもれなかった。全員が全員、2階のリハビリルームへ向かったので診察自体は早く終わったんだけど、朝早くから元気なことだ。いや、元気なら病院なんて来ないか。

指自体は特に折れているということもなく、単なる打ち身のたぐいだろうということで大丈夫だったんですが、診察待ち、会計待ちの際に備え付けのテレビを眺める機会がありました。常識的な話、私は平日の午前中は仕事に行っていますからテレビなんて観ることは滅諦にありませんし、一応携帯にワンセグは付いてますけど、あれはあくまでデジタルラジオとFMラジオ用に買ったものだから。
丁度、ジブリの新作であるコクリコ坂の宣伝をしていたんだけど、最近のジブリはなんとも地味な作品ばっかりだしてくるね。宮崎吾朗の2作目ということと、現在のジブリというか宮崎駿の政治姿勢の問題があるから、テレビもなんとなく大々的な特集を組めていないんじゃないかと思う。テレビ欄を見ると、深夜に宣伝番組をやっているぐらいですからね。まあ、観に行くことはないと思いますけど、ジブリもそろそろバトル物を再開してくれないかな。
この前、もののけ姫が金曜ロードショーでやってましたけど、あれは何回観ても面白いね。ナウシカほどグロテスクというわけでもなければ、ラピュタほど壮大ではない。それでいてすっきりした話の内容は後味の良さを視聴者に感じさせると思う。特に主人公であるアシタカの格好良さといったらない。ジブリ一のいい男と言われるだけあって、14年経った今でも十分に通用するキャラクターだ。確かジブリが積極的に俳優・女優をキャスティングし始めたのもこの頃だったと思うが、まだ常識というものが残っていたのか話題性ではない、声の演技を出来る役者を連れてきたように思う。
ジブリ映画というのも、やはり時代によって分けることが出来、このもののけ姫は主に前記のラストだったように思える。宮崎駿の引退作品であるとも言われていたし、それだけに気合の入ったものに仕上がっていた。別に最近のジブリがことさら悪いとは言わないし、ぶっちゃけハウル以外はまともに見たことがないのだけど、ジブリ映画というのはもののけ姫で一度、区切りがついたんだと思う。

アニメ映画というのは世界的に見てもシリーズ物が結構多く、例えばウォルト・ディズニー社はミッキーやドナルドの短編映画をそれぞれ120本以上製作しています。これは、アメリカという国がテレビよりも先に映画で発展した国だからで、アニメもまた映画での上映が始まりなんですね。アカデミー賞に短編アニメーション賞があることからもそれは伺えますし、逆に長編はつい最近になってできたばかりです。短編であればこそ、次々に作ることも出来たのだろう。
では、日本の場合はどうかといえば、基本的に短編アニメ映画でシリーズ化されているものはなく、大抵が60分以上の長編であることが多い。なにが切っ掛けでそうなったのかはわからないけど、ドラえもんは既に30本以上の映画があるはずですし、ポケモンやコナン、アンパンマンなんかも相当数の数があることでしょう。けど、それらの映画が一度でもアカデミー賞へノミネートされたのかといえば、決してそうではなく、過去に受賞経験があるのはそれこそジブリの千と千尋ぐらい。アニメ大国とか、ジャパニメーションなんて言われている割には、あんまりそういう話は聞きませんね。
作家にも稀にいますけど、新人賞はともかくとしても、なにかの文学賞狙いで作品作りをするというのはどうなんだろう。ハリウッドでもアカデミー賞狙いの演技をする俳優、女優なんかが目立つこともあると言うけど、はてさて今回のジブリ映画はその辺のところどう考えているのかな。本気で宮崎吾朗を後継者にするつもりなら、興行収入以外は散々だった前回を踏まえて、何らかの箔付けをしたいところなんでしょうが……これで失敗すれば、もう後がないだろうし。

私は別に虎の子が猫であってもいいと考えている人なので、異才や天才の子供に同じものを求めようとは思いません。誰かが継ぐにしても、まったく同じものを創りだすというのは不可能ですから。しかしまあ、出崎統さんも亡くなってしまったことですし、宮崎駿や富野由悠季には長生きしてもらいたいところだ。この人達が世に出てから何十年と経ったわけだけど、未だに超えた人間が現れないというのもどうなんだろう。庵野や押井は弟子だからともかくとして。

コメント