7月の頭ぐらいに携帯電話を修理したんですよ。なんか突然画面がブラックアウトして再起動したり、もしくはしないまま固まったりすることが多くなって。日記に書いたかは覚えてないけど、メール打ってる最中とかネット使っているときとか、そういうときにも頻発したもんだからさすがに直したほうが良いと思って、会社の近所にあるauショップへ行ってみたんです。けどまあ、あそこは携帯を買ったり各種手続きをする場所であっても、修理する場所ではないから、とりあえずメーカーに検査出したほうがいいと言われまして。私としても今の携帯は気に入っていたし、買い直す予定もなかったので、それに従ったわけです。

結局、検査の結果、私の携帯は水没による故障とのことでした。これを始めに言われたとき、はて私は自分の携帯を雨風に晒したり、水の中に落とすようなことをしたっけ? と思いました。私は結構物持ちはいいほうですし、携帯に限らず物は大切にする方です。一度だけ手が滑って、携帯をアスファルトに落としてしまったことを除けば、割りと大事に使っていたはずです。しかし、現実として水没反応は出ているといいますし、不具合というか不調の原因は内部の基盤が錆びついたからだと言われました。モノクロながら私も画像は観ましたが、確かに酷い錆び付きようだった。auショップの店員曰く、私の携帯は防水仕様ではないため、湿気や汗などでも水没反応やそれによる不具合が起きることはあるらしい。ましてや昨日今日買った携帯というわけでもなく、数年間使い続けてきたものだ。経年劣化したと言われれば納得できなくもないし、受け入れることは出来た。
しかし、問題なのは水没や水濡れによる故障は保険が効かないということだ。これはなにも携帯だけの話ではなく、パソコンとかテレビとか、大抵の家電製品に同じような制約がある。そのため保証期間中だろうと、フルサポートに入っていようと、修理代を払わなくてはならないのだ。見に覚えのない水濡れに修理代を出すのは、正直なところ複雑ではあったけど、携帯を直さないことには生活が出来なかったし、丁度ポイントが貯まっていたこともあり、それを利用することで私は携帯の修理を済ませたのだった。

ところが先日、コミケが終わったお盆明けのことである。すべての部品が取り替えられ、新品同様の状態で返って来た私の携帯が、また以前と同じような不具合、不調を見せるようになったのだ。特定の動作をしなくとも電源落ちし、再起動したと思ったらまたすぐ消える。スライド式のものを使っているのだけど、あろうことかスライドの開け閉めをしただけで、テレビの画面が消えるかのようにプツッと電源が落ちるのだ。私は念のためカバーを外し、水没反応シールを確認してみるも、本体もバッテリーも特に反応はしていない。コミケが終わってからこっち、雨が多かったのでもしやと思ったのだけど、水濡れというわけではないようだ。では原因はなにか? 湿気や汗でも故障すると言われて以来、私はあまり携帯を肌身離さず持ち歩かなくなった。鞄や、机の上になど置いて置くことが増え、水周りも可能なかぎり避けるようにした。だから、前回と同じように水濡れで中の基盤が錆びたということは考えにくいし、そもそも修理したばかりなのだ。症状が同じだからといって、原因も一緒とは限らない。
それなら、修理ミスの類か? 特に思い当たる節もない以上、疑うべきはそこだけど、修理後1ヵ月程度はまともに使えていたわけだし、ある日突然再発したというのも妙な話だ。私は悩んだ末、もう一度会社近くのauショップを尋ねてみることにした。
応対してくれたのは若い女性の店員であったが、私が一通りの事情を説明すると、すぐに動いてくれた。修理したのが1ヵ月前と、最近なこともあったのだろう。資料はまだショップ内に保管されており、それを元にメーカーへ問い合わせを行ったのだ。とはいえ、メーカーにしたって実物を見ないことにはなんとも言えない。補修用のICカードに入れ直しても電源が落ちたことから、データ異常ではなく機体不良であることは分かっている。しかし、auのお姉さんはなんらかの原因を、特定ではなく推測でもいいから提示しないと、私がまた修理に出すのを不安に思うのではないかと言って、メーカー側にあれこれ問いただしていた。実のところ私は、直りさえすればなんでも良かったのだけど、口を挟むのもどうかと思って問い合わせの光景を眺めていた。けれど、それによって得るものはなく、携帯は再び至急対応として修理に出されることとなった。

ポイントとはいえ5000円近く出して修理した携帯が、以前よりも悪化した症状を見せることになったのだから、auのお姉さんは平謝り状態だった。けど、私は原因にも興味はあったものの、関心があったのは別のことで、即ち修理費用は掛かるのか? ということだった。ケチな私らしい発想だが、前回既に5000円払っているのである。再修理だとして、また同等額を支払うのは少しきつい。auのお姉さんは見事な接客ではあったが、その辺りに関してはやはりシビアだった。フルサポートに入っているから大抵は保険で修理ができるが、仮に前回と同じ水没が原因なら、やはり同額の修理費が掛かるというのだ。理屈はわかるが、今回も見に覚えのない水没で金を取られたのではたまらないと、私は携帯のICカードを代用機に交換する際、水没反応がシールに出ていないことをお姉さんも確認させた。しかし、「このシールは、あくまで目安なんです」と、お姉さんはあっさり言ってのける始末。目安って、それじゃあシールの反応に関わらず、水濡れ故障は発生するというわけか。
ますます納得のいかない私だったけど、思い当たる節はないのだから、堂々と修理に出してみることにした。仮に前回と同じだったとして、それはそのとき考えればいい。仕事中時間を作って訪れていたこともあり、私はそこら辺のことを敢えて追求せずに、手続きだけを素早く済ませることにしてしまった。後悔はしていないが、どんな結末を生むのかは、まだ分からない。

ところで携帯を修理に出すと、その期間中は代用機といってショップにあるモデルを貸してくれることが基本となっている。私は最初のモデルを提示されたとき、「以前は、スライド式のをお貸ししましたか?」と言われたので、「えぇ、一風変わった茶色いやつでしたね。ちょっと使いにくかった気もします」と答えたら、「あ、それじゃあこれの色違いですね。取り替えてきます」と、持ってきた黒い携帯を手に置くへと引っ込んでしまった。気になったのは、お姉さんは私のどのワードをもって自分の持ってきてきたものが、相手のそれと一致していると気付いたのだろうか? 一風変わっているというのは個人の感性であるし、使いにくいものを代用機にはしないはずだ。となれば、やはり携帯には珍しい茶色で分かったのだろう。
私がそんなことを考えていると、お姉さんは別のモデルというか、私が使っているものと同機種をもって現れた。なんだ、同じものがあるのなら、最初からそれを出してくれればいいのにと思ったら、向こうの表情には僅かな躊躇いのようなものが見て取れた。確認すると、その代用機は随分と傷んでおり、小さい傷がいくつもあった。前の使用者が乱暴に扱ったのか、それとも廃棄品を代用機として再利用したのかは知らないが、なるほど、この状態であれば代用機とはいえ貸し出すのは躊躇いもしてしまう。ましてや、代用機を傷つけたり壊したりすれば罰金で1万円以上とられるのだから、これでは分かり難いことこの上ない。
向こうの躊躇いには納得もしていたが、私としては多少の見窄らしさよりも使い慣れた機種であるほうがなにかと都合もいい。特にそれで問題はない旨を伝えると、相手は少々驚いたようだった。女性客ならまだしも、一時使うだけの代用機の傷など、男は気にも止めないはずだ。ビジネス用のファッションならともかく、私はそういった用途で携帯は使わないし。
しかし、私のそうした考えとはまったく真逆のことを、お姉さんは言ってのけた。彼女はこう言ったのだ。「お客様いいんですか、ピンクですよ?」と。私が使っているモデルは白いだったが、どんな携帯にも三種類は色違いが存在し、このモデルの場合はピンクと緑がそれに当たった。私は元々ピンク色が好きな方だったが、少々濃い色が好きになれず、緑色に関しては大嫌いだったこともあり、無難な白に落ち着いたのだ。思えば、私が家電を白で統一するようになったのも、今の携帯に変えてからかも知れない。
別にピンクだろうと構わないと告げるも、お姉さんは「でも、ピンクですよ? 本当に宜しいんですか?」と、しつこいぐらい訊ねてきた。男がピンク色の携帯を持つことに、余程の抵抗感でもあるのだろうか? 私がおかしく感じたのは、今の携帯を横浜のauショップで買った当時、店員のおばさんからピンク色を勧められたことがあったことを思い出したからだ。これぐらい濃いピンクなら、男性の方が使われることも多いですよ、と。だが、数年経って、他の店ではピンク色を否定された。単に感性の違いなのかも知れないが、なんだかそれがおかしくて、また一つ新しい話を自分の中に刻み込んだのだった。

そういえば、以前心療内科の本で読んだことがあるのだけど、好みの色によってその人の性格や傾向を判断することが出来らしい。私が前に使っていた携帯の色は青であり、これは割りと好きだ。やがて白も好きになり、ピンクは元々好みだった。心理学にそれらの色を当てはめていくと、まず青色は物静かで安定した気持ちを持っており、上下関係を重んじるとあります。物静かかどうかはともかく、まあ、そんな気はしないでもない。目上には礼儀正しくが一応のモットーですし。次に白は、 『純粋さ』や『清々しさ』をイメージさせる色とのことで、私が当てはまるかはともかく、これを好む人はそう見られたいという願望が強いらしい。
そして最後にピンクは、穏やかで安定した気持ちを持つが、少し依存心が強いとのこと。これは確実に当たっていると思えるところがあり、要するに私は安定志向の人なんだろうね。冒険心も謀反気もないけど、私は割りと好きだったりします。

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