実は今週の初めから頭痛に悩まされており、昨日は特に酷かった頃から半休とって病院へ行くことにしたんです。ケチで知られる私が、大事な有給を消費して休みをとるというのは滅多にないことで、まあ、それほど深刻だったということでしょうね。本人の中では、ですが。地元の総合病院には脳神経外科はなかったので、とりあえず内科を受診することにしたんですが、問診票を書いた段階で看護師に言われましてね。うちは脳外専門でないから、しっかりとした検査をしたいのであれば、最初から他所に行ったほうがいいと。
病院へ行って受診を断られるなんて初めての経験だったけど、この辺りで脳神経外科があるのは隣町の大学病院だけだ。同じ区内ではあるが、車でしか行けない場所だし、なにより紹介状がないと高くつく。別にそっちへ行くのは構わないが、紹介状は出してもらえるのかと訊いたら、それは診察しないことには書けないというのだ。紹介状もなしに他所へ行けというのも随分な話だが、更に詳しく訊けば、ここでCTスキャンなりすると結構な金が掛かり、それよりは大学病院の初診料の方が安いらしい。私の記憶が確かなら、初診料は3000円と少しだった気もするし、確かにCTスキャン代よりは安いだろう。けれど、紹介状必須とはいえ大学病院は混んでおり、数時間待ちも珍しくない。半休が1日休みになりはしないかと不安はあったが、仕方ないので親を呼び車で送って貰うことにした。無論、すぐにMRI検査等が出来るわけもないだろうし、ああいうのは予約制ですからね。しかし、CTスキャンで分かることはたかが知れてるとはいえ、それならなんのためにあるのかと思わないでもなかったり。
隣町の大学病院は、幼少期に二度ほど入院した経験があり、昨年もちょっとした事情で通院していたことがある。なんでもドラマの撮影等にも使われたことがある地元の名所の一つだそうだけど、私にとっては子供の頃の思い出の場所の一つだ。昔は良く、診察終わりに地下の売店でお菓子やおもちゃをねだったものであるが、今では医療品専門の売店に変わっており、かつての面影はどこにもなかった。緑色やピンク色をしたメロンパンとか、身体に良いのかも分からない菓子パンとか、よく食べたんですけどね。子供が喜びそうなおもちゃとか、そういうのも多かったように思える。唯一の救いは、何度か入ったことがある喫茶店が残っていたぐらいだが、特別入る理由もないから、未だ足は踏み入れていない。
初診は待ち時間が長いというけど、幸いにも脳外科は空いており、本棚にあったキン肉マンのコンビニ本を読んでいたら比較的すぐ呼ばれた気もする。超人タッグトーナメントの巻だったが、私はこの辺りが結構好きなので、きっと読み込んでしまったのだろう。問診票を書くついでに血圧も測ったのだが、確か最高が100で、最低が51ぐらいだったか? 血圧など久しぶりに測ったので、高いのか低いのかも分からない。しかし、ついでに測っていた親より低かったのは確かだ。
脳外科のお医者様はそれなりに年のいった方だったが、年季ともいうべき風格のようなものがあった。私の問診票を見ながら軽く質問を重ね、職業がデスクワークであり日常的にパソコンから離れないことを告げると、不意に後ろへと回って肩や首を揉み始めた。これがなかなかに痛くて、少しも気持ちよくないもんだからハッキリそう告げると、お医者様は椅子に戻ってこう言った。
「あなたの頭痛の原因は、多分これだよ」
話によると、パソコンに向かう仕事をする人間の職業病みたいなもので、それにより肩こりと首こりから来る頭痛。特に珍しいものではなく、この先も同じ職業を続けるなら、一生付き合っていかなくちゃいけない症状だと言われた。なんとなく予想はしていたし、以前から突発的な頭痛が一瞬おとずれることもあったので、今回はそれが悪化したのだろうということだ。しかし、悪化するにもなにか理由があるはずであり、付き添いで診察室にいた親がそれを尋ねたとき、お医者様は珍しいものでも観るかのように、親の首元について訊いてきた。
「あなた、それなにを巻いてるんだい?」
親が巻いていたのはマジクールという、水につけて冷やすタイプの暑さ対策グッズの1つであったが、お医者様はあまり良く知らなかったらしい。流行りものに疎いのか、古風な人だと思いながら解説すると、お医者様は呆れたように口を開いた。
「ダメよ、そんなの巻いてちゃ。冷やすと余計に頭痛が悪化するよ?」
えっ? と、私は驚いたのだが、お医者様がいうには「首元を冷やすっていうのは、周囲の筋肉を固くすることなんだから、こりによる頭痛の場合、悪化するに決まってる」とのことだった。親の巻いているものは私も持っており、猛暑ということもあって使用することも少なくなかった。更にお医者様は頭を冷やすこともこの場合は同じであるとし、私は思わず凍りついた。猛暑であるが節電の世の中であり、深夜に冷房はつけて寝づらい。そのため、私はアイスノンといった氷枕を利用して寝ていたのだ。暑いし、頭痛を収めるのにも効くだろうと思って。
結局、それはすべて間違いであり、却って逆効果であったことを思い知らされた。お医者様は呆れついでに笑い飛ばしてくれたが、対処法としてシャワーではなくお湯にゆっくり浸かることと言っていた。要は温泉にでも入ってのんびりしろということだったけど、仕事で忙しい身としては、早々に温泉などに行っていられない。
とりあえず、暑さ対策のグッズをすべて使わないことにして、どうしても扱ったら微妙に冷房でも対処することにしよう。まあ、善後策ではあるけれど。
豪快なお医者様であったが、あの大学病院はそうした個性的な医者が多いように思える。私がしばらく健康診断的なものを受けていないのを知ってか、MRI検査ぐらい受けておいたらどうだというので、予約を入れることにした。金は掛かるが、安心を買うのだと思えば安いのものであるし、私の年齢などなんの保証にもならないのだから、観てもらえるときに観て貰った方がいいだろう。近日は埋まっているため、検査は来月も少し経ってからの話になるが、何事もないことを祈るのみである。
病院へ行って受診を断られるなんて初めての経験だったけど、この辺りで脳神経外科があるのは隣町の大学病院だけだ。同じ区内ではあるが、車でしか行けない場所だし、なにより紹介状がないと高くつく。別にそっちへ行くのは構わないが、紹介状は出してもらえるのかと訊いたら、それは診察しないことには書けないというのだ。紹介状もなしに他所へ行けというのも随分な話だが、更に詳しく訊けば、ここでCTスキャンなりすると結構な金が掛かり、それよりは大学病院の初診料の方が安いらしい。私の記憶が確かなら、初診料は3000円と少しだった気もするし、確かにCTスキャン代よりは安いだろう。けれど、紹介状必須とはいえ大学病院は混んでおり、数時間待ちも珍しくない。半休が1日休みになりはしないかと不安はあったが、仕方ないので親を呼び車で送って貰うことにした。無論、すぐにMRI検査等が出来るわけもないだろうし、ああいうのは予約制ですからね。しかし、CTスキャンで分かることはたかが知れてるとはいえ、それならなんのためにあるのかと思わないでもなかったり。
隣町の大学病院は、幼少期に二度ほど入院した経験があり、昨年もちょっとした事情で通院していたことがある。なんでもドラマの撮影等にも使われたことがある地元の名所の一つだそうだけど、私にとっては子供の頃の思い出の場所の一つだ。昔は良く、診察終わりに地下の売店でお菓子やおもちゃをねだったものであるが、今では医療品専門の売店に変わっており、かつての面影はどこにもなかった。緑色やピンク色をしたメロンパンとか、身体に良いのかも分からない菓子パンとか、よく食べたんですけどね。子供が喜びそうなおもちゃとか、そういうのも多かったように思える。唯一の救いは、何度か入ったことがある喫茶店が残っていたぐらいだが、特別入る理由もないから、未だ足は踏み入れていない。
初診は待ち時間が長いというけど、幸いにも脳外科は空いており、本棚にあったキン肉マンのコンビニ本を読んでいたら比較的すぐ呼ばれた気もする。超人タッグトーナメントの巻だったが、私はこの辺りが結構好きなので、きっと読み込んでしまったのだろう。問診票を書くついでに血圧も測ったのだが、確か最高が100で、最低が51ぐらいだったか? 血圧など久しぶりに測ったので、高いのか低いのかも分からない。しかし、ついでに測っていた親より低かったのは確かだ。
脳外科のお医者様はそれなりに年のいった方だったが、年季ともいうべき風格のようなものがあった。私の問診票を見ながら軽く質問を重ね、職業がデスクワークであり日常的にパソコンから離れないことを告げると、不意に後ろへと回って肩や首を揉み始めた。これがなかなかに痛くて、少しも気持ちよくないもんだからハッキリそう告げると、お医者様は椅子に戻ってこう言った。
「あなたの頭痛の原因は、多分これだよ」
話によると、パソコンに向かう仕事をする人間の職業病みたいなもので、それにより肩こりと首こりから来る頭痛。特に珍しいものではなく、この先も同じ職業を続けるなら、一生付き合っていかなくちゃいけない症状だと言われた。なんとなく予想はしていたし、以前から突発的な頭痛が一瞬おとずれることもあったので、今回はそれが悪化したのだろうということだ。しかし、悪化するにもなにか理由があるはずであり、付き添いで診察室にいた親がそれを尋ねたとき、お医者様は珍しいものでも観るかのように、親の首元について訊いてきた。
「あなた、それなにを巻いてるんだい?」
親が巻いていたのはマジクールという、水につけて冷やすタイプの暑さ対策グッズの1つであったが、お医者様はあまり良く知らなかったらしい。流行りものに疎いのか、古風な人だと思いながら解説すると、お医者様は呆れたように口を開いた。
「ダメよ、そんなの巻いてちゃ。冷やすと余計に頭痛が悪化するよ?」
えっ? と、私は驚いたのだが、お医者様がいうには「首元を冷やすっていうのは、周囲の筋肉を固くすることなんだから、こりによる頭痛の場合、悪化するに決まってる」とのことだった。親の巻いているものは私も持っており、猛暑ということもあって使用することも少なくなかった。更にお医者様は頭を冷やすこともこの場合は同じであるとし、私は思わず凍りついた。猛暑であるが節電の世の中であり、深夜に冷房はつけて寝づらい。そのため、私はアイスノンといった氷枕を利用して寝ていたのだ。暑いし、頭痛を収めるのにも効くだろうと思って。
結局、それはすべて間違いであり、却って逆効果であったことを思い知らされた。お医者様は呆れついでに笑い飛ばしてくれたが、対処法としてシャワーではなくお湯にゆっくり浸かることと言っていた。要は温泉にでも入ってのんびりしろということだったけど、仕事で忙しい身としては、早々に温泉などに行っていられない。
とりあえず、暑さ対策のグッズをすべて使わないことにして、どうしても扱ったら微妙に冷房でも対処することにしよう。まあ、善後策ではあるけれど。
豪快なお医者様であったが、あの大学病院はそうした個性的な医者が多いように思える。私がしばらく健康診断的なものを受けていないのを知ってか、MRI検査ぐらい受けておいたらどうだというので、予約を入れることにした。金は掛かるが、安心を買うのだと思えば安いのものであるし、私の年齢などなんの保証にもならないのだから、観てもらえるときに観て貰った方がいいだろう。近日は埋まっているため、検査は来月も少し経ってからの話になるが、何事もないことを祈るのみである。
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