昨日、川崎市は多摩区にある藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきました。地元から割と近かったのと、身内が早めに行きたいと言っていたこともあって、祝日合わせでチケットを取ることに。私自身、藤子作品は子供の頃から好きな方ですし、テレビの宣伝で見て魅力に感じていましたから、当日は早起きをして登戸へ赴くことに。開館したばかりの人気施設ということもあって、朝一の入場を選ばないと満足に見て回れないというのが実情らしく、そのくせ入替制ではないものだから午後は混雑が酷いらしい。確かに、私が着いたときも結構な人が待機列に並んでたかな。

ミュージアムのHPには徒歩でも行けるみたいなことが書いてありましたし、私も最初は徒歩を考えていたんですけど、初回はやっぱりバスに乗ったほうが良いと思いますね。多摩区なんて川崎の片田舎ですし、あの距離を20分で走破するのはちょっと無理がある。私は身内がバスに乗りたいと行ったので、往復の記念乗車券を買ってミュージアム直行便のラッピングバスを利用しました。バスは4種類ほどあって、行きに乗ったのはパーマン柄だったかな? 外装だけでなく内装も凝ってましたけど、田舎道を走るもんだから揺れてしょうがなかった。
到着したミュージアム前には前述のとおり結構な人がおり、また、人数が多いことから開場15分前ぐらいから人を入れ始めていた。各種説明や、施設で使う機器の貸出などもあるのに加えて、1回の開場で500人は入館することになってますからね。子供もいますし、早めにやって行かないと追いつかないのでしょう。30人ずつの入場で、私は比較的早く入れたと思う。エントランスホールに入るとチケットと引き換えに、おはなし電話というドラえもんの道具みたいな機器を貸し出されるんだけど、これは特定の展示物の前で番号を押すと、それについての説明等が流れるという機械で、展示物を閲覧する際に使うものです。大人用と子供用があって、それぞれ内容が違うらしいんですが、私も身内もいい年した大人なので、子供用がどんな内容だったのかは結局聴けなかった。
まあ、もっとも私たちは入館当初におはなし電話は受け取らなかったんですけどね。というのも身内の事前調査で一番初めにカフェとショップへ行ったほうが良いというのが判明していて、おはなし電話はカフェのある3階には持ち込めないものだったので……また後で借りに来ますといって、ひとまずカフェを目指すことに。

なかなか来るのが遅いエレベーターに乗って3階に向かう中、低い位置にある非常ボタンにガシャポンのカプセルがカバーのように付いていることを発見した。おそらく、小さな子供が誤って押してしまったりしたことが相次いだのだろう。少々、間に合わせ感が強かったものの、本当に事故が起きた際には必要なものであるし、この辺りは難しいものである。通常の記念館や美術館と違うのは、どちらかと言えば子供向け、子供を対象にした側面が強いということだろう。私や身内は只のオタク、もといファンであるけど、周りは3連休を利用して遊びに来た親子連れがほとんどだったと思う。
3階にあるミュージアムカフェは開店したばかりということもあって空いており、客は我々の他にチラホラいる程度だった。まあ、普通は1階から見て回るものだろうし、いきなり食事を取りに来る客が多かったら展示物の意味が無いだろう。我々は単に効率を優先しただけだし、周りも親子連れよりは我々と同じ考えを持った人ばかりだったように思う。食事はウェイトレスないしウェイターが注文を聞きに来るタイプではなく、カウンターで注文して金を払い、後でテーブルに持ってきてもらうという方式だ。メニューは豊富というほどではないが、テーマパークのフードコート程度には揃っており、キャラもの、作品ものという点を考えれば、目移りもするだろう。ただ、その分値段の方は高めに設定されており、こちらもテーマパーク的である。
私と身内が注文したのはテレビでもよく紹介されていた、ふたふわ卵のドリアもんと、フレンチトーストdeアンキパンを頼んだ。前者は2~3名用の食事メニューであり、後者はデザートとして食後に持ってくるというファミレスにありがちなサービスをしてくれた。どちらもテレビで散々っぱら紹介されていた料理であるからそれなりに期待していたが、まずはドリアもんの方。卵にチーズにチキンライスという組み合わせが不味いわけはないのだが、ではビックリするほど美味しいのか? と言われると、不味くはないだけだと答えることになると思う。味としては何年か前に食べていた冷凍のドリアやグラタンに近いものがあり、それ以上でもそれ以下でもなかった。見た目としては楽しいし、スプーンを入れるのも躊躇うほどなのだが、味覚として嬉しいかと言われると、首をかしげてしまう。

まあ、備え付けのカフェなんてこの程度なものかと思いつつ、セルフサービスの水を飲みつつデザートの到着を待つ。ハッキリ言えば、ドリアもんはまだ食べられるメニューであるだけマシだった。というのも、アンキパンの方は食えたものじゃなかったのだ。映像や画像等であれがどんなメニューであるかを知っている人は多いと思うが、あれはココアパウダーで文字を書いたフレンチトーストに、チョコレートソースが掛かったアイスクリームが添えられた一品だ。ここでごく常識的な確認をしたいのだけど、フレンチトーストやパンケーキにアイスクリームが添えられた場合、それはなにを意図するものだろうか? 普通であれば、熱々のパンやケーキと一緒に食べて、熱くて冷たい感触やら味覚を楽しむためのものだろう。
にも関わらず、フレンチトーストが冷め切っているとはどうこうとか。私はフレンチトーストというものが結構好きで、自分でも作れるぐらいなのであるが、それにしたってこれは不味すぎる。なにが悲しくて冷め切ってフニャフニャになった卵浸しパンに、冷たいアイスクリームを載せて食べなくてはいけないのか。事前情報でパンが少し固いという話を聞いていたが、これに関しては許容するつもりだった。何故ならフレンチトーストは、少し固くなったぐらいの古いパンで作るのが一番美味いとされているからだ。しかし、ミュージアムカフェで出されたのは特に固いわけでもない、冷めだけの食パンだった。回転率を早くするために人気メニューの作りおきをしていたのかは知らないが、楽しみにしていただけに幻滅も甚だしかった。聞くところによるとミュージアムカフェで美味しいのはカツ丼であり、不味いのはラーメンらしいのだけど、このアンキパンを食べてしまうと全メニュー制覇など、とてもする気が起きない。あるいは私の食べたのだけ外れだった、ということかも知れないけど、開店したばかりで客の少ない時間帯にこんなものを出されては、見掛け倒しの店と思われても仕方ないだろう。
ところで午後になると混雑すると言われていたカフェであるが、お昼すぎになって隣のテイクアウトコーナーを覗いた際には2時間待ちとなっていた。整理券制になるらしいが、早めに行っておいてよかったと思いつつ、2~3時間待って入る価値はないだろうなと、心のなかで呟いたのであった。

さて、気を取り直して1階に戻り、おはなし電話を片手に展示物を見てまわることに。テレビにも映っていた原画展などを中心に、アニメとの比較も交えるなど基本は抑えていたように思う。代表作であるからドラえもんがメインとなるのは仕方ないにしても、個人的に好きな21エモンなどは小さく扱われており、他の作品と同じくアニメ化や映画化もされた割にはパッとしていなかった。無論、すべての作品をバランスよく配置など出来るわけもないのだが、やはりアニメ化が遅かったことと話数がそれほど多くもないことから、原作としては後出であるエスパー魔美やチンプイに及ばないとされているのかも知れない。ぶっちゃけ、ドラえもんより前の作品なのだが、アニメの関係でドラえもんやチンプイよりも後と思われているのは、結構複雑な気分だ。そういえばT・Pぼんも見かけなかったけど、あれは元々原画が残っているのかも怪しいしな。いっそ幻の話を公開とかすればいいのに。チンプイと同じで未完なんだよね確か。
ドラえもんの展示も面白かったけど、私の目を引いたのはむしろパーマンだったかな。私、実のところ原作のパーマンを読んだことが殆ど無くて、これがなかなかに新鮮だった。ミュージアムには漫画を読めるコーナーがあるんだけど、子供たちに混じってうっかり何冊か座り込んで読んでしまいましたよ。原画としてみたことで、刺激を受けたんですかね。他にもエスパー魔美を読んでみたりと、藤子F作品が読み放題というのはなかなか良かったかな。
まあ、それにしたって見るべきものは少なかったわけなんですが。いや、3階建ての施設ですからそれなりに広いし、大きかったんですけど、なんていうか宣伝をしすぎた感じがします。つまり、テレビで見た以上のものがなにもなかったと言うか、「おっ、これがテレビでやっていたやつか」というのはあっても、「えっ、こんなものまであるの?」という新鮮さに欠けていたんですね。どこもかしもテレビで放送してしまって、ひと通り見て回ると後は漫画読むぐらいしかすることが無いですからね。

シアターに関しては開館当初と内容が変わっているらしく、通常のアニメーションではないものが流れていました。あからさまにナイト・ミュージアムを意識した話でしたが、セリフのない状態での各キャラの掛け合いはそこそこ面白く、10分程度ではあるものの見応えはあった。けど、本当に見たことないといえるのはこれだけだったので、リピートを考えるような施設かと言われると、ちょっと悩んでしまう。ちなみにミュージアムショップはよくあるおみやげコーナーだったけど、価格設定は割と高めであり、菓子箱を一つ買った私に比べ、身内は大した数でもないのに5000円近く使っていたので驚いた。まあ、なにか特別な催し物でもあれば、再訪を考えてみよう。

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