私の趣味は一応、読書ということになっていますけど、小説に比較してあまり漫画を読むことが少ない。下手をすればエッセイや伝記を読むことの方が多いかも知れない。コミックRUSHがネットに移行したり、コンプエースで某漫画の連載が終わってからは月刊誌というものを買わなくなったし、週刊誌は昔から買わない主義の人でした。だから、私は業界にいる者としては漫画に明るい方ではなく、最近ではたまに電撃大王を読むぐらいになっています。コミックスに関しても、それこそ昔から集めているものを継続して購入しているぐらいで、ぱにぽにが終わったので今やスケブぐらいになるのでしょうか。

ただ、そんな私も漫画を読む機会が全くないというわけではなく、職場でボケラーっとしていると、いえ、仕事をしていると何冊か貰うことがしばしばあります。出版社というのは、自社本以外も献本等で送られてくることがありますから、一見漫画とは無縁そうなところにも、結構コミックスが置いてあることが多いのですよ。で、今回取り上げる「あしたの今日子さん」もまた、職場に転がっていたのを頂いた、つまり貰い物ですね。
電撃系のコミックスらしいからラノベのコミカライズ化と思ったんだけど、実際はオリジナル作品らしく、読んでみるとそこそこ面白かったです。絵柄はなかなか可愛らしいですし、全体的に童顔なところも今時という感じでしょう。内容に関しては……これも今の流行りといって良いのかな。表紙は女の子ですし、この子がタイトル名の今日子さんなわけだけど、実際の主人公はどちらかと言えば作中に登場する魔王だったりします。そう、魔王。魔界から来た、偉大なる魔族の王です。今日子さんは主役だけどヒロインという扱いで、役職は勇者。この物語は現代社会を舞台にした勇者&魔王モノなんですね。まあ、RPGというわけではなく、魔界の不況に喘ぐ魔王と部下が、それを打開するために人間界にやってきて、勇者の少女とその仲間に出会うという話なんだけど、最近はラノベを中心にこういうのが多い気がする。魔王が結構ろくでなしだったり、あるいは美少女だったり。この作品ではまあ、絵柄の影響もあって結構かっこ可愛い系の顔立ちですけど。

ギャグマンガですから、偉大なる魔王と勇者が魔法や剣で壮絶なバトルを繰り広げるという話ではなく、人間界で生きる魔王と、女子高生として生活している勇者の日常をメインに物語は展開していきます。勿論、両者は敵同士ですから出会えば戦うこともありますが、それにしたって勇者である今日子さんが、とある弱点を除けばほとんど無敵の実力を持っており、ここぞという時にイマイチ力を発揮できない魔王は、ボッコボコにされていることが多いです。そのギャップを楽しむという意味もあるんだろうけど、いや、しかし、ギャグマンガというのは解説するもんじゃないね。実際に読んで、その面白さを体感しないことには。
舞台は千葉県、というか柏市らしく、地元地域に根付いたネタが結構出てきます。作者の地元なのだろうけど、例えば柏レイソルとか、柏銀座通りとか、そっち方面へ住んでいる人にはニヤリとするような感じなのかな? 聖地巡礼が楽そうではあるけど、実際にどの程度再現されているのかは、流石に言ったことが無いのでよく分からない。友人が、柏レイソルのサポーターをやっていたと思うけど、別に柏市民というわけじゃないだろうしな。
絵柄の可愛らしさと、話の軽さは前述のとおり今時のオタク向け漫画という感じだけど、サブカルやオタク要素に特化しているということはなく、精々分かりやすい萌え要素を使っているぐらいです。これがまた私には好感というか、意味もなくオタクに媚びた内容というわけではないのが良いね。オリジナルでこういう作品を持ってこれるのは、ちょっと見直したかも知れない。私はあまり、電撃コミックスはあまり評価していませんでしたから。

1巻ということは、余程のことがない限り2巻も出るというわけで、久々に購入リストに加えても良いかなと思います。アニメ化出来るかは分かりませんが、電撃作品のすべてがアニメにならなければいけない理由はないし、これといってアニメで見て楽しい内容かと言われると、どうなんだろうね? 作者は確か、ケメコデラックスと同じだったはずだけど、あれはどんな感じだったか……少なくともケメコよりは読みやすいと思うし、取り立ててクドい内容というわけではないから、誰でも気軽に入っていける作品だと思います。まあ、前作のファンからすると、落ち着きすぎているという感じもあるのかも知れませんが。私は好きですよ、こういう作品。

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