知り合いに道民がいるんですけど、その人が先日帰省したとかで、お土産にガシャガシャを貰いました。なんで北海道土産がガシャガシャ? と思っているそこの貴方、なんでも海洋堂が北海道の新千歳空港で販売している限定品らしく、初音ミクがかなり可愛かったです。限定品だけあって、本州では秋葉原のリバティぐらいにしか出回っていないらしく、ネットオークションだと高値が付いているらしい。まあ、売らないけどさ。初音ミクの他には札幌の時計台とか、そういう北海道名物ばかりだったけど、考えてみれば初音ミクのクリプトンも札幌の会社だから、ご当地ではあるのか。

そんな初音ミクですが、現在やっているさっぽろ雪まつりに雪像が出ているらしいですね。なんか北海道には珍しい暖冬で壊れてしまったらしいですが、そのときのニュースにおける説明が「地元企業の架空少女アイドル『初音ミク』の雪像が~」みたいな感じで、架空少女アイドルという表現の仕方が凄い新鮮だった。確かにその通りではあるけど、なんか言葉の響きが新しいよね。初音ミクはSFマガジンで特集組まれたり、星雲賞貰うぐらいですから、どちらかと言えばSF的なフィールドに属するキャラだと私は思っていて、故に空想科学という単語を用いるほうがしっくり来るんだけど、よくよく考えるとそれは間違いなんだよね。だって、初音ミクは確かに架空の存在ではあるけど、科学技術としては現実の存在であるわけで、決して空想の産物でもなければ、空想科学の申し子でもないのです。
しかし、架空少女アイドルか……なんか、いつか作品で使ってみたい響きだよね。かなり惹かれるものがあるというか、別に初音ミク的な小説が書きたいわけじゃないのだけど、不思議な魅力がある言葉だ。初音ミクをテーマにした小説といえば、この前のSFマガジンでいくつか載ってましたが、ああいうのじゃなくてさ。架空であり、現実であるということを全面に押し出した、そんなSFを書ければ。まあ、私は基本的にSF小説書けない人だから、ネタは出ても実際に執筆するかは分からないけど。難しいんだよ、SFって。読んでいるからといって、書けるとは限らない見本のようなものだ。

しかし、初音ミクもすっかり一般的なキャラクターになって来ましたね。ちょっと前までは、オタクツールとして主にテレビメディアからは否定的な紹介の仕方をされることが少なくなかったのに、最近はGoogleのCMに使われたり、NHKなんかでも特集が組まれるぐらいですから、凄い浸透度ですよ。初音ミクは確かにオタク向けの音楽ソフトだし、一時期あった同人誌に流行りっぷりを考えるに、必ずしも健全や健康とも言えないキャラクターなんだけど、本質的に汚れているわけじゃないからね。そこがやっぱり強いのでしょう。
まあ、最近のNHKはオタク寄りな部分もあるから、一概にすべてのメディアで好意的であるとは限らないのだけど、大した進歩だと思うな。いつまで続くかという不安もあるけど、私はそれ以上にこのまま初音ミクという存在が、オタク文化から離れていくのではないか? という心配もある。一般的なものになればなるだけ、今までと同じことだけをしていくわけにもいかないし、あらゆる畑で生えることが出来るものというのは、そんなにないわけですから。仮に初音ミクがオタク文化からの独り立ちを始めたら、やはり今までのファンやオタクたちは、反旗を翻すのだろうか? 反旗というか、手の平かな。私はそれが心配でね。オタクというのは自虐的だけど、それだけに自分たちが世間から注目されることに快感や喜びを覚えますから、口では色々なことを言うけど、自分たちの文化がマスコミ等に取り上げられることが嬉しいんですよ。声優一人テレビに出るだけで、各種ブログや掲示板が盛り上がるほどですから、基本的に構ってちゃんなんですよね。

まあ、私は別に初音ミクファンというわけじゃありませんから、彼女の行く末や未来にそこまで注目はしていないのだけど、皮肉にもあの架空少女アイドルが、水樹奈々と並んで最も一般に近い存在であることは、動かしようのない事実でしょう。スフィアや田村ゆかり知らなくても、初音ミクなら知ってるというのは、あると思いますよ。オタク文化の中で初音ミクは既に頂点にいるわけだけど、あれを支持している層に声優ファンはいないと思うから、その辺りの温度差も気になるところだ。一枚岩じゃないから、この業界も。オタクって本当に面倒くさいと、オタクであるが故に思います。

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