秋葉原のメロンブックス、今話題の「余命100コマ」という同人誌を買って来ました。コミティアで出されたオリジナル作品、つまり一次創作なわけだけど、こういう作品があるからコミティアというのは侮れない。完全な一次創作限定のイベントだから私はサークル参加したことないけど、世の中にはそれを知らない人もいるようで、コミ1でスペースにいたとき、「ティアでヨスガ本出したりしないんですか?」と訊かれた記憶がある。当然、そんな予定はなかったわけだけど、ティアがオリジナルだけしかダメなイベントだと説明すると、結構驚いていたかな。知らない人から見れば、コミケの小さい版という感じなのだろうか。

余命100コマは本当に発想勝ちというか、最初に書いた者勝ちといった感じの作品で、絵や漫画を書かない私でも、やられたとしか言い様がないものでした。逆に言うと、漫画だから出来たようなもので、例えば小説なんかだと絶対に無理なんですよ。そもそも、100コマという漫画のコマを利用した仕掛けなわけですから、これは見事といっていい。まあ、ネタに反して内容自体は割と平凡だから、物語として何がどう凄いってほどでもないのかもしれないけど、平凡だからこそ正統派作品として心に染みわたりやすいというか、なんというか。
私が感嘆を受けたのは、話やネタもさることながら、惜しげも無くページを使うことであり、実はこの同人誌、まったくの白紙ページがあったりするんですよ。遊び紙とも違う、本文中に発生する、一見すると乱丁や落丁のようなページ。でも、作品を読んでいると、それが意図的に行われた演出や手法、つまりわざとであることが分かります。
同人誌を作る方なら分かると思うんですが、確かに本文中に白紙ページを入れることは可能ですし、それ自体は難しいことじゃありません。ただ、このページは印刷しません、白紙で出して下さいと印刷所にいうだけですから、私だって目次と本文の間にいれることがあります。けど、両面とも白紙というのは通常まったくの無駄であり、ページが増えた分だけ印刷費が上がることを考えると、本当に凄いことをしているなって気分になる。私みたいに、如何に印刷代を安く抑えるかなんてことを考えている人間からすると、信じられないような話です。でも、それをやったからこそ、このように効果的で見栄えのいい作品が出来たんでしょうね。

ところで余命100コマはサンライズで印刷したらしいんだけど、私は一度この印刷所を使ってみたかったりします。今も未だあるのか分かりませんが、東京ビッグサイトから国際展示場駅に戻る道に広告が吊るしてあるから、それで知っている方もいるかと思いますけど、桜沢いづみが宣材を書いているところといえば良いのかな。ここは印刷品質がかなり高くて、それでいて印刷費も高いという印刷所なのだけど、同人活動をしていると、たまにはそうした高クオリティのところで本を刷ってみたくなるんですよね。
けれど、私は基本的に小説本の人ですから、わざわざオフセット印刷でする必要もないし、印刷費を売り上げで賄うなんてのは出来ないので、いつもオンデマになってしまう。多分、知らない人はいないと思うけど、うちの本って全部オンデマンド印刷で、オフセットって一冊もないんですよ。去年出したアンソロでさえオンデマですし、まあ、その割には結構良い感じに刷り上がっててましたが、とにかく一度ぐらいオフ本というのを出してみたいなと思いまして。特にサンライズなんて最高品質の一つだろうから、憧れみたいのが昔からある。
いっそ、誰でもいいから、うちのサークル名義で漫画本出さない? って感じなのだけど、基本的に個人サークルなので誰かと組んで合同本を出すという経験があまりないもんで……去年のアンソロでやればよかったのだけど、あのアンソロって今だから言うけど大半が小説ページじゃないですか。そう考えたら、オフセットにすることはないかなーって。後、何度か書いた気もしますが、いつも利用している印刷所がオンデマでも高品質の印刷を可能にしたと謳っていたので、それを試したかったのもある。

夏コミで発行予定の春日野穹イラスト集はもオンデマンドなのか? という質問ですが、これは明確に違います。オンデマではありません。確かにいつも使っている印刷所にもフルカラー本は作れるんですが、折角素晴らしいメンツが集まってくれた本なのに、オンデマで済ませるなんて勿体無いじゃないですか。まあ、予算が潤沢にあるわけではないですけど、今回は去年のような妥協をするつもりはありませんから、前々から刷ってみたかった印刷所、サンライズではないですけど、そこに頼もうかと思っています。少々高いですが、フルカラー本なんて高いのが当たり前ですからね。裏方の私としては、こういうところで頑張らないといけません。その為にも、まずは資料請求から始めないと。

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