夏の新作アニメということで、流石、湘南・鎌倉が舞台のアニメだけあってtvkが一番早いですね。Anotherなどでお馴染みのP.A.WORKSオリジナルアニメですが、スタッフは同じくP.A.のオリジナルアニメである花咲くいろはの制作に携わっていた人が多いようで、そういえばあれは先頃劇場版が発表されたんでしたか。いくら、アニメ映画ブームとはいえ、温泉アニメを劇場で公開してどうするんだとか思いましたが、このTARI TARIという作品は、かなり正統派な青春モノみたい。

最初に結論を言ってしまうと、物凄く面白かったです。アニメの1話にここまで惹き込まれたのは、それこそAnother以来じゃないでしょうか? 私は別にP.A.作品が特別好きというわけでもないから、そうした贔屓目はないと思うのだけど、これは凄く丁寧に作られていますね。話も映像も、実に分かりやすく訴えかけてくるものがあった。神奈川県が舞台だけど、私は横浜住まいなので地元というわけではありません。ただ、湘南・鎌倉自体は割と近いし、去年も小旅行に行ったので馴染み深い土地だとは思います。このところは江ノ島近辺を舞台にした作品が結構多くて、前期で言うとつり球がそうだったようですが、少し前ならセイクリッドセブンも鎌倉でしたね。去年はまさしくセイクリ関係の聖地巡礼というか、町興し企画に乗っかってきたのだけど、やっぱり首都圏から近い海辺の街だけに、舞台として扱いやすいんだろうか? P.A.は富山の会社だからロケハンが楽ってことはないんでしょうが、やはり湘南ブランドは強かったということか。県民だからかもしれないけど、まあ、海と言われたらあの辺りが真っ先に思い浮かぶよね。観光名所ってのもあるんだろうが、横浜とかは港こそあれど海水浴ができる浜辺が少ないですから、必然的に湘南もしくは三浦方面に行ってしまう。そして、前者と後者であれば、どう考えても前者の方が画面映えするし、若々しいイメージがあるのは否めないでしょう。
主人公である坂井和奏は江ノ島住まいらしいですが、あそこって一応住めるんだよね。たまに物件あるし、観光業がメインとはいえ400人程度の住人がいるんじゃなかったか。土産物屋の一人娘ということで、モデルになった店とかはあるのかしら?

公式サイトのキャラ紹介でも和奏がトップに来ていたから、暫定的に主人公という表現を用いましたけど、1話をみる限りでは明らかに宮本来夏を中心に物語が動いていますね。和奏は元々音楽科コースの生徒だったのが、諸事情で普通科に転科してきたそうで、その部分を最初に書いていれば、また印象も違ったのだろうけど、1話が開始した時点で既に和奏は転科済みなんだよね。おそらく、転入生であるウィーンの存在を強調する意味もあったんだろうけど、それがまた来夏メインという流れを印象づけてしまってる。声楽部を辞めることになったのも来夏だし、その為に合唱部を作ろうとしているのも来夏で、メンバー集めのために和奏を誘ったのも来夏になります。和奏視点ではあまり話が進んでないんですね。
登場人物、つまり主役である5人は同じクラスの高校3年生で、こういったアニメでは比較的年齢が上の設定になっています。例えばギャルゲなら先輩キャラが必要な関係上、学年は2年に設定されることが多くて、3年は受験だ何だと大忙しという感じなのだけど、それを敢えて高校生活最後の夏とすることで、これでもかというぐらい青春色を出してきてると思う。私は学生時代、部活動に打ち込んだ経験があまりないけど、3年だと夏休み明けはもう引退でしょ? だから、部活を作るにしても残された時間はあまりに少ないはずです。

この作品の興味深いところはレギュラー、つまり後々合唱部の部員として活動してくであろうメンバーの中に男子がいることだと思います。近頃のアニメは、女の子たちがいチャイチャイしていれば、男キャラなど不要みたいな暴論がまかり通っているので、そもそも男子がメインとして登場することに驚きを感じた。けいおんや、最近だと夏色キセキなんかがそうですけど、ギャルゲやラノベでもない学園モノで、主役ないし主役級の男子ってのは皆無でしたからね。しかも、それでいて自己主張が強過ぎないというか、男性目線や視点が強くないのも良い。
TARI TARIは公式サイトのあらすじを読んでも分かるように、が物語の要素としてあるみたいです。つまり、恋愛話なわけですが、確かに1話の段階で産休に入る先生が、頻りに彼氏の話を和奏に持ちかけているし、そこで和奏が男女は選ぶみたいなことを言って、明確に百合要素を否定しているのが面白かった。となれば、男女の恋愛になるわけですが、最初に可能性があるのは転校生であるウィーンですかね? 和奏は転科した関係で普通科の単位が足りないとかで、現在補習を受けているのだけど、それに転校生のウィーンも加わるらしい。まあ、外国暮らしが長く、日本の常識にも疎いみたいだけど、なんで彼は本名でなく都市名で呼ばれているんだろう。まるで、あずまんが大王の春日歩が大阪と呼ばれているようなものじゃないか。ちなみに彼の名前自体は、挨拶の際に黒板へ書いてありましたから、そこで確認することが可能です。
多分、このウィーンと和奏が手始めに接していくことになるのだろうけど、後はさてどうなるのかな。来夏はバドミントン部の田中大智と、気さくな朝の挨拶を交わす程度には仲いいみたいで、彼もまた合唱部に入るみたいですが、登校時に来夏へ声をかける際、若干上ずっているような気がしたのが興味深い。自転車で坂道登ってたから、単純に息切れだろうという考えも出来るし、最初は私もそう思ったんだけどね。恋愛がテーマにある以上、やはりキャラ同士の関係性については考えてしまいます。

私が気になったのは三人目の少女である沖田紗羽です。単純に好みだというのもありますし、中の人である早見沙織を気に入っているというのもありますが、それより何より出てきていきなり乗馬というのはビックリした。乗馬部か馬術部にでも所属しているのかと思ったら、なんと家に厩があって買っているみたいですね。まあ、日本だって広いですから、家の敷地で馬を飼っている過程があっても良いのかも知れませんが、見た感じ寺社仏閣って感じかな? 山持ちもしくは土地持ちなら馬での散歩も可能だと思いますけど、そもそも馬って道交法では軽車両扱いだから、公道走れるんだよね。将来の夢が騎手で、学校では弓道部に所属し、更に私服も結構可愛らしいとか、なんて良い子なんでしょう。しかも、友達思いだし。久々に初見でBDを欲しくなりました。実際に買うかどうかは、まだ分かりませんが。

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