イモウトノカタチとアニメ版ヨスガノソラ
2012年9月9日 イモウトノカタチイモウトノカタチの日記をここまで書いてきて、全体的なことは昨日までで終わりました。個別ルート、アフターエピソード、残された伏線や謎には触れましたし、普通なら後は総評をしてこの作品とはおさらばなんですが、実はその他にも細かい部分で少し書き足りないことがありまして。主にキャラやシナリオについてなんですが、総評へ入る前に、これらのことを先に書いておこうかなと思います。だって、まとめをやってしまうと、それこそ終わりというイメージが強くなって、以降はだらだらと続ける感じになってしまいますからね。まあ、今だって大差はないんでしょうけど、後になって書き続けるよりは幾分かマシでしょう。
そんなわけで、今日はイモウトノカタチの真結希ルートにおける私の考察というか、気付いたことを書こうと思います。何か作中の伏線や謎に対する新発見とか、そういうわけではなくて、もっと単純にこのシナリオのモデルや元ネタについてです。あくまで私の想像や推測だし、確固たる証拠があるわけじゃ無いんだけど、確信は持っているという類いのもの。
即ち、このイモウトノカタチにおける真結希ルート、そして神志那真幸というキャラクターは、
アニメ版ヨスガノソラの春日野穹をモチーフに作られたのではないか?ということです。
原作ではなくアニメ版、あの悪夢とも言うべき作品のことを思い出すのは苦痛でしかないのだけど、私が真結希ルートをプレイして、そのシナリオを読み進めていく内に、これはアニメ版ヨスガの影響を受けている気がする、と考えるようになりました。ヨスガのアニメが放送していたのは今から2年ほど前、2010年9月から12月と、結構前の話です。当時はなにかと話題になり、原作ファンを絶望のどん底へとたたき落とした作品だけど、イモウトノカタチはどうにもあれをリスペクトしているというか、オマージュのつもりで真結希シナリオを書いたんじゃないでしょうか? 前述のように明確な証拠はないんですが、幾つかの根拠はあります。上手く説明できるかは分かりませんが、とりあえず書いてみることにします。
美馬雪人と清宮真結希、作中で出会った時点だと神志那幸人、神志那真幸と表記されている二人ですが、私は何もこの兄妹がヨスガノソラの主人公である春日野悠、春日野穹の双子に似ていると言いたいわけじゃありません。外見で言うなら、アニメ版はともかくとしても春日野兄妹の方が圧倒的ですし、そもそも比較しようがない。でも、シナリオやキャラクター性で言うなら、イモウトノカタチのそれはアニメ版ヨスガに通ずるものがあると思う。
まず、ヒロインの清宮真結希について。これは彼女のルートにも書いたことですが、この娘は儚げな容姿や不幸な境遇に比べると結構性格が悪いキャラであり、割と陰険な性格をしています。美優樹に対する、毒のこもった言葉や、ミータへの嫉妬心をむき出しにした、棘の生えた言動など、儚げなのはあくまで外見だけ、その実は相当腹黒いです。
障害を抱えているため、手段を選ばずと言うよりは、手段を選べずと言った感じの真結希だけど、美優樹が「全力で手に入れた」と言ったように、彼女は雪人を自分のものとするために、かなりの策略を持って挑みました。自身の障害や、ミータとの繋がり、そして雪人の心情や気持ちを完全に読み取った上で、如何にして雪人の気持ちを自分に向けるか、自分のものとするか、その計算を完璧に行いました。真結希は雪人の心が現状ミータ一色であることを理解していたし、彼の気持ちがミータにしか向いていないことを知っていた。故に、まずは自分はミータと同じであることを雪人に印象づけ、彼に真結希とミータの存在を混同させました。
真結希は雪人が自分とミータを重ね合わせ、だからキスしたと言う事実を正確に認識していたので、彼の心を奪うには、自分がミータとなる必要があると思ったのでしょう。そしてそれは、ミータが復活するまではすべて上手く行っていたかに見えました。潜在的に存在する美優樹の気持ちを見抜いた上で牽制し、出し抜き、自身の不幸な境遇まで最大限に利用して、美優樹から雪人を奪い取ることに成功したのです。
さて、ここで話をアニメ版ヨスガノソラのヒロインである、春日野穹へと移しましょう。好きなキャラにこんなことを言うのもあれですが、アニメ版の穹は原作と比べてそこそこ性格が悪く、主人公である悠の心を手に入れるために、様々な策略を練りました。それは主に悠の恋人に収まっていた奈緒から、愛する悠を取り戻すために実行されたものですが、穹は悠の心を自分へと引き戻すために、かなりの計算をしています。
例えば10話。アニメ版における穹ルートの初回ですが、穹は自分を置いて奈緒とのデートを優先した悠に、幾つかの嘘を吐きます。悠が奈緒とデートすることを知った穹は、まず自分と悠の間に架空の約束を作り、あたかも先約をしていたかのように見せかけ、約束を破ろうとしている悠を非難します。本来は存在しないはずの約束が元で悠は追い詰められるのですが、まさか穹が嘘を吐いているとは思いませんし、妹との約束を破ってしまったことに動揺します。勿論、ハルには奈緒とのデートを断り、穹を優先することも出来たはずなんですが、彼は穹との距離の測り方に悩んでいましたし、仮にも奈緒は恋人と言うことになっていましたから、穹を選べるわけはないんですね。
穹はそこのところを理解していたけど、彼女にとっては自分が選ばれることよりも、悠に罪悪感を抱かせることが重要だったのです。勿論、自分との約束を守ってくれるなら、それはそれで構わないのでしょうけど、穹は悠に罪悪感を抱かせることで、自分の存在を強く印象づけたのです。10話を実際に観た人は分かると思いますが、ハルは奈緒とのデート中も常に穹のことを考え、穹を優先して行動していました。そして、そこに穹は自身の孤独を演出することで、完全に彼の心を自分の方へともぎ取ってしまった。1から10まで、穹の計算通りに物事は進んだのです。穹は悠が自分に後ろめたさを持つことや、奈緒との関係などを洞察した上で、自身の立場までも最大限に利用した。本人以上に相手の気持ちというものをよく理解していたが故に、その行動を計算することも可能だったんでしょう。
共に計算高く、相手の心情を把握した上で罠を張る。アニメ版の穹がしたように、イモウトノカタチの真結希も又、何気ない言葉の誘導を繰り返すことで、雪人の心を徐々に掌握していきました。
次に主人公はどうでしょうか? 仮に原作版や漫画版の春日野悠であれば、美馬雪人と比べたら失礼に値するほどの差がありますけど、アニメ版だとそうでもありません。アニメの悠は原作のハルと違い、割と独善的な性格をしており、相手の事情よりも自分の都合を優先するなど、雪人に近い部分が多々あります。一葉ルートや瑛ルートはそれが顕著であり、かなり強引な一面を見せていますよね。
性欲の面でもアニメの悠は盛んであり、奈緒ルートの惨状は思い返したくもないですが、性欲に流されやすいのは穹ルートでも同じ事です。原作と違い妹に誘惑されて、というのは、イモウトノカタチで雪人が真結希から迫られ、なし崩しに関係を結んでしまう部分に近しいものがあるし、この二人は主導権を女性側に取られているんですね。勿論、それはアニメ版の穹やイモカタの真結希が、狡猾とも言うべき計算の末に、悠や雪人を追い詰めたからに他ならないのだけど、決して相手に責任転嫁をしない辺り、雪人の方が幾分かマシなんでしょうか。雪人より下がいるとは信じられませんけど、アニメの悠はねぇ……いや、雪人の場合は回りに八つ当たりするから大して変わらないか。
知性の違いはあれど、理性的には大差なく、相手に対する思いやりに欠ける。奈緒ルートにおける穹に対する扱いや仕打ちは、真結希ルートにおける美優樹の不遇っぷりに似通ったものがあるし、相手のことを考えることが出来ないという意味ではそっくりさんも良いところでしょう。
私は真結希というヒロインが、外見はともかくして、あまり好きじゃないのかも知れません。ヤンデレと言ってしまえばそれまでだけど、彼女が強引な部分が目に付きすぎるし、言動も毒や棘が多すぎる。アニメ版の穹が見せる、露骨な対抗意識というのが見え透いてるんだよね。アニメの穹に関して言えば、それまでが不遇だったのと、奈緒ルートの直後と言うこともあって、もっとやってしまえと言う感じが強かったのだけど、真結希はそうじゃないからね。春日野穹ルートと言うよりは、アニメ版の春日野穹そのものに真結希は似通っていたけど、結局自分の策に溺れて、足をすくわれた挙げ句に破滅寸前まで追い詰められるのは、自業自得と片付けるには少し可哀想かも知れない。まあ、彼女の性格以上に雪人がとんでもない男だったというのがあるんでしょうけど、もう少し原作寄りのキャラにするべきだったねとは思います。真結希の人気がうなぎ登らなかったのは、そういうところに理由があるんじゃなかろうか。ミータと合同でなければ、今少し良いキャラになっただろうに……残念な話です。
そんなわけで、今日はイモウトノカタチの真結希ルートにおける私の考察というか、気付いたことを書こうと思います。何か作中の伏線や謎に対する新発見とか、そういうわけではなくて、もっと単純にこのシナリオのモデルや元ネタについてです。あくまで私の想像や推測だし、確固たる証拠があるわけじゃ無いんだけど、確信は持っているという類いのもの。
即ち、このイモウトノカタチにおける真結希ルート、そして神志那真幸というキャラクターは、
アニメ版ヨスガノソラの春日野穹をモチーフに作られたのではないか?ということです。
原作ではなくアニメ版、あの悪夢とも言うべき作品のことを思い出すのは苦痛でしかないのだけど、私が真結希ルートをプレイして、そのシナリオを読み進めていく内に、これはアニメ版ヨスガの影響を受けている気がする、と考えるようになりました。ヨスガのアニメが放送していたのは今から2年ほど前、2010年9月から12月と、結構前の話です。当時はなにかと話題になり、原作ファンを絶望のどん底へとたたき落とした作品だけど、イモウトノカタチはどうにもあれをリスペクトしているというか、オマージュのつもりで真結希シナリオを書いたんじゃないでしょうか? 前述のように明確な証拠はないんですが、幾つかの根拠はあります。上手く説明できるかは分かりませんが、とりあえず書いてみることにします。
美馬雪人と清宮真結希、作中で出会った時点だと神志那幸人、神志那真幸と表記されている二人ですが、私は何もこの兄妹がヨスガノソラの主人公である春日野悠、春日野穹の双子に似ていると言いたいわけじゃありません。外見で言うなら、アニメ版はともかくとしても春日野兄妹の方が圧倒的ですし、そもそも比較しようがない。でも、シナリオやキャラクター性で言うなら、イモウトノカタチのそれはアニメ版ヨスガに通ずるものがあると思う。
まず、ヒロインの清宮真結希について。これは彼女のルートにも書いたことですが、この娘は儚げな容姿や不幸な境遇に比べると結構性格が悪いキャラであり、割と陰険な性格をしています。美優樹に対する、毒のこもった言葉や、ミータへの嫉妬心をむき出しにした、棘の生えた言動など、儚げなのはあくまで外見だけ、その実は相当腹黒いです。
障害を抱えているため、手段を選ばずと言うよりは、手段を選べずと言った感じの真結希だけど、美優樹が「全力で手に入れた」と言ったように、彼女は雪人を自分のものとするために、かなりの策略を持って挑みました。自身の障害や、ミータとの繋がり、そして雪人の心情や気持ちを完全に読み取った上で、如何にして雪人の気持ちを自分に向けるか、自分のものとするか、その計算を完璧に行いました。真結希は雪人の心が現状ミータ一色であることを理解していたし、彼の気持ちがミータにしか向いていないことを知っていた。故に、まずは自分はミータと同じであることを雪人に印象づけ、彼に真結希とミータの存在を混同させました。
真結希は雪人が自分とミータを重ね合わせ、だからキスしたと言う事実を正確に認識していたので、彼の心を奪うには、自分がミータとなる必要があると思ったのでしょう。そしてそれは、ミータが復活するまではすべて上手く行っていたかに見えました。潜在的に存在する美優樹の気持ちを見抜いた上で牽制し、出し抜き、自身の不幸な境遇まで最大限に利用して、美優樹から雪人を奪い取ることに成功したのです。
さて、ここで話をアニメ版ヨスガノソラのヒロインである、春日野穹へと移しましょう。好きなキャラにこんなことを言うのもあれですが、アニメ版の穹は原作と比べてそこそこ性格が悪く、主人公である悠の心を手に入れるために、様々な策略を練りました。それは主に悠の恋人に収まっていた奈緒から、愛する悠を取り戻すために実行されたものですが、穹は悠の心を自分へと引き戻すために、かなりの計算をしています。
例えば10話。アニメ版における穹ルートの初回ですが、穹は自分を置いて奈緒とのデートを優先した悠に、幾つかの嘘を吐きます。悠が奈緒とデートすることを知った穹は、まず自分と悠の間に架空の約束を作り、あたかも先約をしていたかのように見せかけ、約束を破ろうとしている悠を非難します。本来は存在しないはずの約束が元で悠は追い詰められるのですが、まさか穹が嘘を吐いているとは思いませんし、妹との約束を破ってしまったことに動揺します。勿論、ハルには奈緒とのデートを断り、穹を優先することも出来たはずなんですが、彼は穹との距離の測り方に悩んでいましたし、仮にも奈緒は恋人と言うことになっていましたから、穹を選べるわけはないんですね。
穹はそこのところを理解していたけど、彼女にとっては自分が選ばれることよりも、悠に罪悪感を抱かせることが重要だったのです。勿論、自分との約束を守ってくれるなら、それはそれで構わないのでしょうけど、穹は悠に罪悪感を抱かせることで、自分の存在を強く印象づけたのです。10話を実際に観た人は分かると思いますが、ハルは奈緒とのデート中も常に穹のことを考え、穹を優先して行動していました。そして、そこに穹は自身の孤独を演出することで、完全に彼の心を自分の方へともぎ取ってしまった。1から10まで、穹の計算通りに物事は進んだのです。穹は悠が自分に後ろめたさを持つことや、奈緒との関係などを洞察した上で、自身の立場までも最大限に利用した。本人以上に相手の気持ちというものをよく理解していたが故に、その行動を計算することも可能だったんでしょう。
共に計算高く、相手の心情を把握した上で罠を張る。アニメ版の穹がしたように、イモウトノカタチの真結希も又、何気ない言葉の誘導を繰り返すことで、雪人の心を徐々に掌握していきました。
次に主人公はどうでしょうか? 仮に原作版や漫画版の春日野悠であれば、美馬雪人と比べたら失礼に値するほどの差がありますけど、アニメ版だとそうでもありません。アニメの悠は原作のハルと違い、割と独善的な性格をしており、相手の事情よりも自分の都合を優先するなど、雪人に近い部分が多々あります。一葉ルートや瑛ルートはそれが顕著であり、かなり強引な一面を見せていますよね。
性欲の面でもアニメの悠は盛んであり、奈緒ルートの惨状は思い返したくもないですが、性欲に流されやすいのは穹ルートでも同じ事です。原作と違い妹に誘惑されて、というのは、イモウトノカタチで雪人が真結希から迫られ、なし崩しに関係を結んでしまう部分に近しいものがあるし、この二人は主導権を女性側に取られているんですね。勿論、それはアニメ版の穹やイモカタの真結希が、狡猾とも言うべき計算の末に、悠や雪人を追い詰めたからに他ならないのだけど、決して相手に責任転嫁をしない辺り、雪人の方が幾分かマシなんでしょうか。雪人より下がいるとは信じられませんけど、アニメの悠はねぇ……いや、雪人の場合は回りに八つ当たりするから大して変わらないか。
知性の違いはあれど、理性的には大差なく、相手に対する思いやりに欠ける。奈緒ルートにおける穹に対する扱いや仕打ちは、真結希ルートにおける美優樹の不遇っぷりに似通ったものがあるし、相手のことを考えることが出来ないという意味ではそっくりさんも良いところでしょう。
私は真結希というヒロインが、外見はともかくして、あまり好きじゃないのかも知れません。ヤンデレと言ってしまえばそれまでだけど、彼女が強引な部分が目に付きすぎるし、言動も毒や棘が多すぎる。アニメ版の穹が見せる、露骨な対抗意識というのが見え透いてるんだよね。アニメの穹に関して言えば、それまでが不遇だったのと、奈緒ルートの直後と言うこともあって、もっとやってしまえと言う感じが強かったのだけど、真結希はそうじゃないからね。春日野穹ルートと言うよりは、アニメ版の春日野穹そのものに真結希は似通っていたけど、結局自分の策に溺れて、足をすくわれた挙げ句に破滅寸前まで追い詰められるのは、自業自得と片付けるには少し可哀想かも知れない。まあ、彼女の性格以上に雪人がとんでもない男だったというのがあるんでしょうけど、もう少し原作寄りのキャラにするべきだったねとは思います。真結希の人気がうなぎ登らなかったのは、そういうところに理由があるんじゃなかろうか。ミータと合同でなければ、今少し良いキャラになっただろうに……残念な話です。
コメント