最近になって、ずっと積んでいたすぴぱらをプレイしました。5月末に出た作品だから、3ヵ月以上放置していたことになりますが、minoriの全年齢新作と言うことで、相変わらずのハイクオリティムービーなどが話題になっていた作品ですね。特に積んでいた理由はなかったんだけど、崩した理由は簡単で、ついこの前まで開催していたゲーマーズのminoriミュージアムでグッズが売っていて、「あぁ、そういや積んでたっけ」と存在を思い出したからです。

正式名称はすぴぱら - Alice the magical conductor. STORY#01 Spring Has Come !と非常に長い本作ですが、確か全3部作構成なんだったかな? efのときも前後編だったから、別に不思議はないのだけど、全年齢でもそれをやるってのは少し意外だったかも知れない。所謂美少女ゲームメーカー、私はエロゲブランドという表現が好きだけど、この所はギャルゲー制作が流行っているのか、えろげのコンシューマーではなく、最初から全年齢向けのギャルゲーを作ることが多いですね。私もエロゲユーザーの例に漏れず、エロゲブランドの全年齢作品というものには少なからず抵抗感があったんだけど、これがやってみると凄く面白いのよ。ギャルゲーだから、エロイシーンとかそう言うのはないんだけど、efから続くCGを多用したシーン作りに、何より個性的なキャラクターによる会話がとても良かった。
主人公はこういったゲームにありがちな、何でもそつなくこなすタイプの、敬語系キャラクターなんだけど、キャラの強いヒロイン達を相手にすると、それが却って緩衝材のような感じになっており、個性同士のぶつかり合いにならないのは見事だと思った。桜やほたる、紅葉や六花、そして魔女アリスといった多くのヒロイン全員に対して、問題なく接することが出来るというのも……あれ、これ少し皮肉になるのかな? 嫌みにはならないだろうけど、この主人公にそういうことを言うと、ちょっと可哀想な気がしないでもない。

私はすぴぱらをファンタジー色のある学園モノだと思ってました。なにせ魔女が出てくる作品だし、魔法だの奇跡だのと行ったものは、それこそCIRCUS作品の頃から馴染み深いものでしたからね。まあ、D.C.なんかと違って純粋な魔法使い、あるいは魔女といった存在は、それこそアリスしか出てこなくて、他は彼女と契約して、自分の望みに見合った力を与えられている感じです。しかも、魔女との契約ですから代償や対価が付きもので、人魚姫が声を失ったように、アリスと取り引きをした者は、その魔法に匹敵する幸せな記憶が消えていきます。作中でこの代償を明確に支払っていたのは3人。一人は主人公、もう一人はその母である良子さん、そして最後は2章のヒロインほたるです。魔法と言っても様々なものがあり、それこそ魔女っ子のような変身能力もあれば、未来予知などの限定された力、奇跡という意味では今にも死にそうな子供を救ったりと、結構なんでもありになってます。
これらのことから、私はこの作品を単純な学園ファンタジーの一種だと考えていたのですが……そこは流石minoriと言うべきか、やられたとしか言い様がなかった。プレイして最初のプロローグみたいなシーンを見たときから、私の想像を超える何かを感じずにはいられなかったんだけど、2章に入った段階でその考えは確信に変わった。上で、ほたるを第2章のヒロインと書きましたが、では、すぴぱらもefと同じ章ごとに主人公とヒロインが変わるのかと言われれば、そうではないのです。主人公は一貫して、といってもまだ2章までしかありませんが、真田幸成が務めています。

最後までプレイしたとき、私はこのすぴぱらがSF作品だということを知りました。勿論、制作者側の意図は別にあるのかも知れませんが、私としては良く出来たSFだと思ったし、そう考えるとしっくり来るシーンがあまりにも多いんだよね。幸成とアリスの本当の関係や、真田六花の正体、そしてアリスは一体なにをしているのかなど、STORY#01だけでは分からないことが多すぎます。しかし、売り上げ的にminoriはすぴぱらで大敗して、続編の発売はハードルが高いらしい。とりあえず、「夏空のペルセウス」という18禁タイトルで凌ぐようですが……こちらも個人的には興味津々なタイトルなので、しばらくはminori作品をプレイし続けようと思います。これが一過性のブームじゃなければ、良いんですけど。

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