コミケの情報を収集していく中で、ふと、ご注文はうさぎですか?の新刊や新作グッズを出すサークルが、それなりにいる、ということに気付きました。まんがタイムきららMAXにて連載中の作品で、同雑誌ではきんモザと並ぶ二枚看板ですけど、アニメは昨年放送でしたか。昨今は二次創作の対象も消耗品のごとく消費されており、なかなか長く続くジャンルというのはないんですが、それを考えるとごちうさは、アニメの二期が決まっているとはいえ、息が長いですね。

所謂、まんがタイムきらら系の作品ってのは、あまり二次創作が盛り上がらないことで知られています。元々が四コマ雑誌だし、アニメは日常系が殆どですけど、これはどの作品についても同じことで、きんモザや、古くはひだまりでさえ、同人ジャンルとしてはさほどの人気、あるいは勢力は持っていませんでした。
唯一の例外にけいおんがありますけど、あれはきらら作品というよりは、京アニ作品という分類になり、アニメも決して日常系一辺倒ではありませんでしたから、ちょっと事情が違うんですね。特別なものというのは、どんなところにもあるものなんです。
まあ、それはともかくとしても、ごちうさの話。ごちうさはきらら系の同人ジャンルとしては異例と言ってもいいヒットが起こっており、大手や中堅、あるいはピコも含めて、結構なサークルが本を書いています。たとえば、このほどアニメの第二期が終了したばかりの、きんいろモザイク。こちらのジャンルの本がとらのあなにどれぐらいあるのか? 在庫のないものも含めて検索した結果、52件ほどヒットしました。対してごちうさの場合、こちらはアニメが終了してから1年以上、コミックスの4巻も未だ出ていませんが……検索ヒット数は122件と、一気にきんモザの倍以上の数になりました。
アニメ化以前はうちのサークル以外に本など出していませんでしたから、僅か1年と少しの間に100冊もの同人誌が出て、あるいはこの夏に出る予定がある、ということな訳で、ジャンルとしての成長ぶりはなかなかのものではないでしょうか?

ごちうさは、一般的なきらら系漫画に比べると、やや毛色が違う作品です。勿論、きらら系とて5~6誌もある訳ですから、そこには様々な作品が連載されているのだけど、アニメ化した作品に絞って考えてみると、それなりの共通点を見出すことが可能です。
これは上記では除外したけいおんにも言えることですが、きらら系アニメというのは総じて学園モノであることが多く、ひだまりだって、Aチャンネルだって、キルミーベイベーだって、その大半が学園を舞台にしています。
けいおんやハナヤマタのように部活動をメインに据えているものもありますし、逆に学園、学校を舞台にしていない作品といえば、ドージンワークや、後は夢喰いメリーぐらいなものではないしょうか? この2作品にしても主人公は学生なんですけど、前者は同人活動、後者は夢魔と呼ばれる敵との戦いが主軸であって、学園がその舞台になってないんですね。
ごちうさもまた、登場人物は全員学生ですけど、学校で物語が展開されることは驚くほど少なく、ハッキリ言って殆ど無いと思います。精々、ティッピーのコーヒー占いにおける災難がココアに降りかかったときぐらいで、後はラビットハウスや甘兎庵、それからフルールといったバイト先か、もっぱら木組みの家と石畳の街全体が、ごちうさという物語の舞台になってるんだよね。これはごちうさについて言及した日記で何度も書いてきたことだけど、ごちうさは街そのものがお話の舞台だからこそ、有り体な学園モノという体裁にはならず、作品の世界観そのものを広げていると思うんですよ。
これが、学園モノという狭い空間にとらわれない作品として、ある種の新鮮さを与えたのではないかなと。

似たような傾向として、きらら系ではありませんが、のんのんびよりにも同じことが言えます。あの作品の登場人物も基本的に学生ですが、学校生活は作品における一部分でしかなく、全体的に見れば田舎暮らしがメインですよね。田舎町そのものが作品の舞台として成立しており、そこからもたらされる様々なイベント、それはほんの日常の1ページに過ぎないかもしれないけど、読者、視聴者にとっては今までにないものとして新鮮味を受けるのでしょう。
とまあ、ここまで書いてきたのはあくまで作品の魅力であって、同人ジャンル云々の話ではないですね。ただ、私は作品としての魅力の高さが同人ジャンルの価値に結びつくこともあるだろうと考えているので、登場キャラクター達の可愛らしさもさることながら、そういった部分でごちうさは高く評価されたのではないか。後はまあ、単純に同人ジャンルとしての向き不向きもあるんだろうけど、要は二次創作の意欲どれだけ刺激できるかですよ。
今現在放送ているきらら系のアニメはがっこうぐらしと城下町のダンデライオンで、後者も又学園モノとは言いづらい作品だけど、夏コミでどの程度の発狂があるのかは気になるところ。

まあ、私は小説同人の人だったから、視覚的にあの作品の可愛らしさを表現することが出来なくて、ジャンルからは撤退気味なんだけど、又何かの機会があったら書いてみたいものです。最近は二次創作についての向き合い方も少なからず分かってきたので、冬までには色々と立て直したいと思う。どんな形にせよ、冬コミには参加したいから。

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